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ソリューションビジネスを掲げるITスタートアップは本当に解決をもたらすのか?

ウォールストリートジャーナルにこんな記事がありました。

料理宅配サービス、需要急増でもなぜ儲からない
https://jp.wsj.com/articles/SB12076302647651404700904586382963218056764
コロナ特需もコスト増加で利益は縮小

特需が起きても儲からないビジネスはそもそもビジネスではなくて慈善事業といった方が近い気がします。じゃあその赤字を誰が負担しているのかといえば、多額のお金を突っ込んでいる出資者、Uberで言えばSoftBankのビジョンファンドです。

日本のSoftBankの携帯利用者が支払ったお金の一部が回り回ってUberの配達員の報酬に補填されているとも言えなくもないということになります。

じゃあそもそもなんでこんな赤字前提の状況が常態化しているのかと突っ込みたくもなります。記事中にはマーケティング費用や配達員確保のための報酬にも費やしているとあります。しかし、こういった料理宅配サービスの根本的な問題は、そもそも画期的な商売ではないということです。

同じく記事中にありますが、飲食店側もわざわざ宅配サービスに多額の手数料を費やすよりも自前の配達員を抱えていた方が良いかもしれないと思い始めています。

このサービスにはそもそもイノベーションは存在していません。ただ単に中抜きしているだけです。ITを用いて中抜きがやりやすくなっただけの話であり、参入障壁はゼロに近い業界です。同じくビジョンファンドが失敗したウィーワークも同様ですが、買収や合併でシェアを独占して利益率を上げようとしても、またすぐに中小の新企業が出てきて利益を奪われることが目に見えています。

ITスタートアップが社会問題の解決というよりは、社会問題の解決を掲げてベンチャー企業としての成功(上場もしくは買収)を模索するためのものになっているのでしょうか。何かが当たればいいというくらい、世の中には膨大な数のスタートアップ企業が立ち上がっています。それらの企業が「社会問題解決のためのソリューション」を提供するというビジネスを行っていますが、本当に社会にとって必要なものは少ないかも知れません。

そもそも本当に問題が存在したのかという疑問すら持ってしまいます。料理宅配サービスがあれば便利と言えば便利ですが、投資家が数百億円も費やして支援しないといけないほど社会に必要とされているのでしょうか?

第一、本当に必要であればそれほどの支援がなくてもビジネスとして成立するはずですし、支援しないといけないのであればそれはビジネスではなく福祉の問題として政府や自治体の範疇でしょう。

ITベンチャーは大量にありますが、むりやりニッチな分野を見つけて必要以上に問題を大きく取り上げているような気がしてなりません。

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