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金で連れてきた人は金で出ていってしまう

コロナ給付金誤送金事件で逮捕された容疑者は、山口県阿武町の空き家バンク制度や補助金制度を利用して移り住んだことも報道されていましたが、現在の日本の地方では多くの自治体で、移住を促す支援金制度が設けられています。

一時的に出費をしても、移住してくる人が増えて自治体の人口を維持し、経済的な効果もある方がいい、という判断に基づいて支援金を出しているのでしょうけれど、事はそう簡単には進んでいないそうです。

支援金を得た移住者が、お金を得られる(補助を得られる)期間が過ぎたら、また別の自治体に支援目当てに引っ越していってしまう、ということがあるという報道を見かけました。まさに金の切れ目が縁の切れ目を地で行くような状況なんでしょう。

まさに支援金ホッピングとも言うべき存在の人たちで、本来の支援金の趣旨を踏みにじっているような行動ではありますが、残念ながら違法行為を行っているわけではありません。移住の自由を制限するようなことは憲法上も認められません。

かくして、支援金を目当てに移住を繰り返す人と、支援金を出しても人が定住してくれない自治体という残念な結果が生まれます。

お金で連れてきた人はお金で連れていかれるのですよね。

プロスポーツ選手がチームを転々と移籍していくのにも似ているように思えます。あるチームが高額の年俸と移籍金(違約金)を支払ってトップ選手を獲得しても、またさらに費用を払うチームにその選手を奪われてしまう、という構図が、ヨーロッパのサッカー選手なんかにはよく見られます。

金で取った人は金で取られます。

日本ではそんな殺伐としたことはない、ということも言えません。

自治体と移住者とスポーツ、というキーワードを思い浮かべると、国体を開催する都道府県が優勝するために、選手を期限付きで移住させてきたことに思い当たります。

国体用に移住してきた選手の場合は、開催後によそに出ていくことは最初から織り込み済みでしょうけれど、金で移住者を雇っているという理屈では移住支援金の場合も同じでしょう。

国体選手の場合は成績というリターンを開催県に返しているのですが、支援金目当ての移住者は短期的に人口増になるだけで、多分リターンは生まれません。

だからといって支援金を出さずに移住者が増えるのか、と言われたら返す言葉も無いのですが、余所の自治体で支援金を受けていた人には支援金を出さない、という協定を全自治体が結ぶことくらいしかないんじゃないですかね。そんな協定が成立し得るのかと言われたら、これまた返す言葉が無いのですけれど。

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