政党や政治家による署名活動の是非

しばらく前、日曜に大通り沿いのスーパーに行ったところ、その店先の歩道でどこかの政党が大阪万博反対の演説をしていました。それは別に良いのですが、合わせて反対の署名活動もしていたのですが、署名活動を政党や政治家が音頭を取って行うのって、なんか署名活動の本来の趣旨とズレている気がします。

署名活動は本来は、政治上の権限も権力も持ち合わせない庶民が、政治に対して直接的な影響力を及ぼすためのものだったはずです。特に地方自治におけるリコールなんかはその代表格です。

リコールと言えば、数年前の愛知県知事リコールを巡る署名偽造問題は、政治家や実業家、芸能人など著名人を巻き込んだ活動だったのですが、一体署名活動とはなんなのか、と思ってしまうこともあります。

偽造した署名を大量に集めないと(というか創作しないと)、それだけ多くの署名が集まらないのだったら、その請願に価値が無いどころか、むしろ逆にリコールの対象者が正当だという証明をしかねません。ホント、馬鹿をやったものです。

リコール成立のハードルが都市部では非常に高くなっていることは確かですが、リコールの結果は選挙に基づく結果を覆すことになるのですから、ハードルが高いことは当然のことです。

そういうリコールに必要な署名活動にしろ、あるいは法的拘束力のない署名活動にしろ、日頃見かけるものは政党や政治家・議員が行うケースがほとんどです。

愛知県知事リコール署名運動は、いわゆる保守系の人たちが中心になって行われましたが、むしろ普段見かけるのは、共産党などの左派系の人たちの方が多いでしょうか。

どちらにしても、署名による法的効力や社会的影響力を目的としているわけですが、冒頭に書いたように、政治的な権力・権限を持つ政党や議員が、一般民衆が政治に関与するために用意されている署名活動を利用して、その政治思想や行動を実現するというのは、どこかおかしいように思います。

署名活動を無意味なものにする、法的拘束力を無くす、リコール制度を廃止する、といった形で署名活動の問題点を解決するわけにはいきません。一般の民衆による政治参加を禁止することになってしまいます。

少なくとも、政党や現役議員やその関係者が署名活動の中心を担ってはいけないルールにすべきなんじゃないですかね。

彼らには、一般人にはない権力を選挙によって与えられているのですから。

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