無敵の無所属議員の無謀さに感じる無力感

東京都議会議員の問題を全国ネットのテレビ番組で取り上げられても、私のような大阪在住の人間にとってはどうでもいい話なのですが、木下富美子都議会議員の件は無所属議員の無敵さを知らしめることになりました。

都議会ではなく国会の話ですが、以前、丸山穂高前衆院議員(当時は現職でしたが)が北方領土を巡る問題発言によって国際問題にもなりかねない事態を起こしましたが、所属していた維新の会が丸山議員を指導や監督やらせずにさっさと党籍を剥奪してしまったことで、議員辞職もなしについ先日の満期まで議員を務めることになりました。

その時に書いたのがこのnoteですが、

議員がやらかしたときに所属する政党が、党のイメージを守るために当該議員を除名にしてしまうと、その後、誰もその議員をコントロール出来なくなります。もちろん法律上は、国会議員はリコールできないものの除名という懲罰は可能ですし、地方自治体の議員は議会による除名に加えて、有権者のリコールも可能です。ただ、除名にしろリコールにしろ簡単には出来ません。

禁固刑を下されればもちろん失職ですが、裁判が長期化すればそもそも議員任期の方が先に満期を迎えるでしょう。リコールにしても当選後1年経たねば実施できませんし、膨大な署名を集める必要があります。

簡単に議員の資格を失わないようになっているのは、こういう問題が起きると腹立たしいものに思えますが、有権者の投票によって当選した議員という資格は民主主義国家では非常に重要です。

ロシアやベラルーシのような、議会はあれど政権批判かまびすしい野党議員を簡単に政府が公では議会から除外し、裏ではこの世から除外しているような強権国家を見ていると、議員の資格が簡単に失われない仕組みがあることが、民主主義国家の証しでもあります。

とはいっても、問題を起こした議員をそのままにするわけにもいきません。だからこそ、所属する政党が硬軟織り交ぜてあらゆる手練れ手管で自ら辞職させるようにもっていかないといけないのですが、かつての維新の会の失敗を都民ファーストの会も繰り返してしまいました。

民主主義国家として、法に基づかない理屈を設けて議員を失職させることが容易になってはならないのであり、だからこそ政党は所属議員のコントロールが出来ないといけません。

本来、何らかの政治的主張を実現するために議員になります。ただし、一人だけでは実現が難しいため、似ている主張の人たちが集まって政党を作ります。だからこそ政党から離脱した無所属議員は政治的主張を実現するのが難しく、多少の配慮はあれど政党所属の議員に比べると出来ることは限られます。

それでも、無所属でもいいから議員として活動する人は、既存政党に対してのアンチテーゼとして存在するためか、既存政党に所属していて何かをやらかして追放されたかのどちらかとなります。

戦時中に行われた翼賛選挙において、大政翼賛会の推薦を受けずに当選した議員も事実上は無所属みたいなもので、当時の軍事政権へのアンチテーゼでもありました。

反軍演説の斎藤隆夫、東條内閣打倒に動いた中野正剛、憲政の神様と呼ばれる尾崎行雄などは確固たる信念をもって翼賛選挙を戦ったでしょうけれど、無所属議員がやらかした人のモラトリアムみたいになる現状は悲しいものですね。

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