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金融商品の売り手と買い手の利益相反関係

現在、話題になっている郵便局のかんぽ生命保険の問題とも絡んできますが、金融商品に限って言えば、その商品を買う人が損をすることが売る人の利益になる、という構造的な利益相反関係が存在します。

具体的にいうと、「この銘柄(投信・保険)を買うとお得ですよ!」というセールスをかけるとして、それを売るだけでインセンティブが売り手にもたらされます。そして買い手がその後どれだけ損をしたとしても、かつての売り手には何の損もありません。ここに諸悪の根源があります。

レストランで腐った食材を使った料理を提供することはありませんが、金融商品の売り手が腐ったような金融商品を顧客にオススメすることはよくあります。なぜレストランは腐った料理を出さないのでしょうか?

料理人のとしての誇りとかお客さんのためとかいうのは当たり前ですが、食品衛生法によって厳しい取り締まりがあり、食中毒を出したら営業禁止処分が下されるからです。そして、その処分が解けた後、そのお店に来る客が激減するはずだからです。

一方、金融商品を取り扱う業者、店舗、営業担当者に関してももちろん金融庁や公正取引委員会がチェック・処分を下しはしますが、郵便局に限らず顧客に対して不利な商品を平気で売りさばく企業が減らない以上は、処分もチェックも不足しているということでしょう。

厳罰化だけで犯罪が無くなるわけではありませんが、罪と罰のバランスが取れていないのであれば調整は必要でしょう。ただ、この問題は顧客側、消費者側が注意していれば防げる問題でもあります。

保険にしろ株式にしろ投資信託にしろ、こういった金融商品の大半は販売時(購入時)に商品本体の価値とは別に手数料がかかることが多いです。その手数料はどこに入るかと言えば、その金融商品を作っている金融機関と、売っている金融機関、そして直接の売り手である営業担当の歩合になります。つまり、販売手数料が発生しないとそれらの売り手がたやすく利益を確保できないということでもあります。

はっきり言うと、売り手が売りたい商品は売り手の利益が多いものであり、買い手にとって有利な商品ではない、ということです。金融商品の売買に関しては、この原則を頭に入れておけば、そうそう騙されることはありません。営業との個人的な交友やら感情の問題やらあるとは思いますが、それを優先して買うのであれば損を出しても文句を言うべきではないでしょう。残念ながら金融商品の売買においてはWIN-WINの関係というのはほぼ成り立たないものだという覚悟が必要です。

人を見れば疑え、というのは酷い話でもありますが、金融商品を売り込んでくる人がいたら十分に注意して考える必要がある、そもそも旨い話はない、というくらいは頭に入れておいた方が良いでしょう。

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