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現金給付はイケナイことですか?

お肉券とかお魚券とか旅行券とか、ギャグで言っているとしか思えないような経済対策が噂されていますが、まあ一応は正式に発表されるまではなんとも言えないかとは思います。というか、政権や自民党が少しずつリークして、世間の反応を探る観測気球としてマスメディアを使っているような感じもします。

ただ、どの案も芳しい評判は得られていません。今回のようなパンデミックだけではなく、大規模災害や金融恐慌などが起きたときに必ず案として俎上に上がっていながら効果が無いとよく言われるのが、国民への直接の現金給付です。

現金給付の問題点としては、
・消費ではなく貯金に回されて効果が出ない
・富裕層にまで配る必要は無いし、制限を付けると給付に手間暇がかかる
・財政が悪化する
・ダメージを受けた産業にお金が回るとは限らない
といったものでしょうか。

いろいろ批判はありますが、今回の経済対策案とメディア・国民からの批判は、生活救済と経済回復という二つの目的を混同しているためのギャップから生まれていると思います。

現在急務なのは非正規労働者・零細企業・個人事業主などの、生活に必要な収入を急に得られなくなった人への対応のはずです。その対策としては特定の消費と引き換えできるクーポン券や割引などではなく現金給付しかありません。いわば生活保護の拡大版です。

ウイルスの問題が完全に収束しないまでも、ある程度落ち着いてきたところで、業績が急落した旅行や飲食や各種業界などへの支援が必要になりますが、そちらの方は逆に企業への直接的な給付ではなくて、少なくともそれら企業への銀行からの融資条件の緩和、既存融資の返金猶予というよくある支援策は必要です。それ以外に出来ることがあるのであればやるべきです。例えば、一部の人が主張するような消費税減税ではなく、既に企業が受け取っていて納付前の消費税の納付期限の延期もあるべきでしょう。あるいはいっそのことこの消費税を益税化すれば、それだけで粗利の10%はプラスになりますね。

税抜50万円のモノを仕入れて税抜60万円で売った場合、消費税込みで計算すると55万円で仕入れて66万円で売ります。差額の粗利は11万円ですが1万円は消費税です。免税事業者のような益税として企業の手元に残る形にすれば直接的な企業支援になります。

ただ、さすがにそこまではやらないでしょう。消費税のうちの地方消費税分は国から自治体に補填しないといけないでしょうし。

現金給付が貯金されてしまって経済効果が無い、という意見がありますが預金に回った分は銀行などの金融機関が国債を購入して、結局国家財政に戻ります。もちろん財政赤字が増える問題はありますが、そこを気にしていると効果的な対策を打てません。

また、現金ではなく何かに引き換えられるクーポン券にしたところで、消費した分と同額を預金に回される可能性もあります。クーポン券の分だけ純粋に消費が増えるという理屈もおかしいはずです。

今一番大切なのは、現金だろうとクーポン券だろうと生活に必要なお金がない人の救済です。いちいちクーポン券を印刷して配布して利用する、という作業にかかる経費や時間が惜しいはずです。

現金給付が不要な金持ちに渡すことは確かに無駄と言えば無駄ですが、そこで年収制限を導入してチェックするだけでもやっぱり時間がかかります。それに富裕層の中には年収がそれほど高額ではなくても多額の資産を持っていて豊かな生活を送れている人もいます。そういうタイプの富裕層は年収が少ないとされて結局受給対象になってしまいます。

結局どうやっても貧しい人だけを素早く適切に救えないのであれば、多少の無駄が出たとしても金持ちにも一律現金給付を素早くした方がいいです。本当に困っている人が救われないよりはマシです。

結局何のために財政出動してお金を出すのか、ということが議論しすぎで変な方向に行っているような気がします。

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