SI及びAIソリューション事業を担うITベンチャー企業【株式会社トリプルアイズ】
最終更新日:2024/5/13
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
合計資金調達額 9億4400万円
(年次の記載はなし)
企業概要
事業概要
同社グループは、 同社、 連結子会社(株式会社シンプルプラン及び株式会社所司一門将棋センター)の計3社で構成されており、 AIソリューション事業を主な事業として取り組んでいる。
同社のセグメントは、①AIソリューション事業、②研修事業である。 AIソリューション事業はSI部門とAIZE部門から構成されている。
【AIソリューション事業】
(1)SI部門
SIとはシステムインテグレーションの略で、顧客の使用する情報システムの企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一貫して請け負うサービスのことである。
SI部門の主なサービスとしては、Webシステム開発、インフラ・ネットワーク構築、情報システム構築などが挙げられる。金融、 流通、 不動産、 サービス、 医療等の様々な業界において実績がある。
(2)AIZE部門
AIZEとは、同社が独自に開発したAI画像認識プラットフォームの名称である。
AIZE部門の主なサービスとしては、顔認証マーケティングサービス、AIに係る開発、カスタマイズなどが挙げられる。独自に開発したAIエンジンによるサービスを展開しており、画像認識を中心とし、なかでも顔認証のサービスを充実させている。また画像認識のみならず言語処理、需要予測にも活用されている。顔認証では、正面静止画像であれば認証率99%という高精度を誇る。もちろん、個別の企業ニーズに応えてカスタマイズも可能である。
【研修事業】
同社グループの研修事業は連結子会社である株式会社シンプルプランが事業として取り組んでおり、セミナー研修業務を提供している。
ビジネスモデル図解
事業における強み
①あらゆる工程に対応できる技術者を揃えており、システムの設計から、システム開発、システム運用のためのインフラ構築、運用・保守まで一連のサービスをワンストップで提供できる体制を構築している。
②顧客のニーズに合わせて、 柔軟に対応し、 高クオリティかつコストパフォーマンスの高いサービスを提供することで、 競合他社に対して優位性を築いている。
③AI、 ブロックチェーン*、 IoT等の研究開発成果を活かした最先端技術によるソリューションを提携先SIerと協働し、顧客先に提案できるのも大きな特徴である。AIエンジンを独自に設計、 構築することができるSIer・システム開発会社として、 顧客先のニーズに最適なAIシステムをトータルで提供し差別化を図っている。
*データが地理的に離れたサーバーに分散保持され、一定の形式や内容のデータの塊(ブロック)を改ざん困難な形で時系列に連結していく技術。
市場規模
【市場の概況】
システムインテグレーション(SI)市場は、2020年に3,032億米ドルの規模に達した。PRTIMESによると、2021年から2026年の間に14.21%のCAGR(年平均成長率)で市場が成長すると予想されている。
【市場の動向】
ビッグデータ、SaaSなどに関するDXに伴い、さまざまな組織で業務の複雑性が増している。その結果、システムインテグレーションなどのIT・AIソリューションの需要が高まっている。
さらに、複数のアプリケーション間でリソースを共有することができるため、交通機関や石油・ガスなどの業界でもシステムインテグレーションの用途が拡大している。
現在、新型コロナウイルスの感染防止のため、多くの企業はリモートワークを採用していることもあり、システムインテグレーションの需要はさらに高まっている。
【ベンチマークとなる企業】
Accenture Plc
富士通株式会社(古河グループ)
HCL Technologies Limited
IBM Corporation
Tata Consultancy Service Limited
Wipro Limited など
マネタイズに関して
【業績推移】
売上高は2020年の新型コロナウイルスの感染拡大にも関わらず、右肩上がりである。しかし、経常利益は2020年までマイナス続きであり、2021年にプラスに転じた。
【事業全体の収益性】
BtoB:主要取引先は、株式会社キューブシステム・株式会社NTTドコモ・株式会社ヨークベニマル・株式会社クロスキャット・テックファーム株式会社などの大手企業である。
【事業別の収益】
(2020年度)
AIソリューション事業 売上高:20億7990万円 利益:5042万円
研修事業 売上高:3190万円 利益:852万円
【キャッシュポイントの額と頻度】
顔認証技術を搭載した非接触型の自動検温装置AIZE Biz+においては、初期費用18,000円、月額費用1,800円であり、利用人数によっても費用が変わる。
【固定費】
労務費
経費
【変動費】
外注費
製造費
経営層
代表取締役:山田 雄一郎
取締役:桐原 永叔
取締役:加藤 慶
社外取締役:飯塚 健(※2023年8月時点退任済み)
常勤監査役:篠原 博
社外監査役:圡屋 憲
社外監査役:鈴木 規央
スキルマトリクス
ビジョン
ビジョン
テクノロジーに想像力を載せる
トリプルアイズは言葉で説明されたこと、つまり想像を全てシステム化することを目指す企業である。
エンジニア成長第一主義
同社はエンジニアの成長に全集中することを宣言している。
人事制度設計
【採用】
新卒採用:総合職を募集している。
中途採用:エンジニア・営業部門を現在募集している。
【福利厚生】
健康保険(関東ITソフトウエア健康保険組合)、厚生年金、雇用保険、社員表彰制度、資格奨励制度、各種研修制度、社内イベント、クラブ活動
インターン生による考察
同社は、コロナ禍における従業員に対する取り組みを公開しているなど、ESGに対する意識が強く、実行力もある企業であることが感じられた。
事業に関して、SI領域ではITに関わる幅広い知識・人材が必要であり、同社は他社から人材・技術を確保しているため、提携先頼りにならないかどうかが懸念点だと考えられる。また人事的な観点では、役員に女性がいないこと、平均勤続年数が低いことが問題点として挙げられる。それに加え、同社も述べているように、AIエンジニアの育成・人材確保も大きな課題だろう。
最後に
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