見出し画像

SI及びAIソリューション事業を担うITベンチャー企業【株式会社トリプルアイズ】


資金調達額の推移

合計資金調達額 9億4400万円
(年次の記載はなし)

企業概要

会社名 株式会社トリプルアイズ (英名:TRIPLEIZE CO., LTD.)
所在地 [本社] 〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台三丁目4番地 龍名館本店ビルディング12階
設立 2008年9月3日
代表 山田 雄一郎
役職員数 227名
資本金 8億8051万5千円
決算月 8月
事業内容 システムインテグレーション及びAIプラットフォームの提供
上場市場 東証グロース
上場日 2022/05/31

事業概要

同社グループは、 同社、 連結子会社(株式会社シンプルプラン及び株式会社所司一門将棋センター)の計3社で構成されており、 AIソリューション事業を主な事業として取り組んでいる。同社のセグメントは、①AIソリューション事業、②研修事業である。 AIソリューション事業はSI部門とAIZE部門から構成されている。

【AIソリューション事業】
(1)SI部門
SIとはシステムインテグレーションの略で、顧客の使用する情報システムの企画、設計、開発、構築、導入、保守、運用などを一貫して請け負うサービスのことである。
SI部門の主なサービスとしては、Webシステム開発、インフラ・ネットワーク構築、情報システム構築などが挙げられる。金融、 流通、 不動産、 サービス、 医療等の様々な業界において実績がある。
(2)AIZE部門
AIZEとは、同社が独自に開発したAI画像認識プラットフォームの名称である。
AIZE部門の主なサービスとしては、顔認証マーケティングサービス、AIに係る開発、カスタマイズなどが挙げられる。独自に開発したAIエンジンによるサービスを展開しており、画像認識を中心とし、なかでも顔認証のサービスを充実させている。また画像認識のみならず言語処理、需要予測にも活用されている。顔認証では、正面静止画像であれば認証率99%という高精度を誇る。もちろん、個別の企業ニーズに応えてカスタマイズも可能である。

【研修事業】
同社グループの研修事業は連結子会社である株式会社シンプルプランが事業として取り組んでおり、セミナー研修業務を提供している。

ビジネスモデル図解

※SIerとは、System Integratorの略で、システムインテグレーションのサービスを提供する企業のこと。

事業における強み

①あらゆる工程に対応できる技術者を揃えており、システムの設計から、システム開発、システム運用のためのインフラ構築、運用・保守まで一連のサービスをワンストップで提供できる体制を構築している。
②顧客のニーズに合わせて、 柔軟に対応し、 高クオリティかつコストパフォーマンスの高いサービスを提供することで、 競合他社に対して優位性を築いている。
③AI、 ブロックチェーン*、 IoT等の研究開発成果を活かした最先端技術によるソリューションを提携先SIerと協働し、顧客先に提案できるのも大きな特徴である。AIエンジンを独自に設計、 構築することができるSIer・システム開発会社として、 顧客先のニーズに最適なAIシステムをトータルで提供し差別化を図っている。

*データが地理的に離れたサーバーに分散保持され、一定の形式や内容のデータの塊(ブロック)を改ざん困難な形で時系列に連結していく技術。


市場規模

【市場の概況】
システムインテグレーション(SI)市場は、2020年に3,032億米ドルの規模に達した。PRTIMESによると、2021年から2026年の間に14.21%のCAGR(年平均成長率)で市場が成長すると予想されている。

【市場の動向】
ビッグデータ、SaaSなどに関するDXに伴い、さまざまな組織で業務の複雑性が増している。その結果、システムインテグレーションなどのIT・AIソリューションの需要が高まっている。さらに、複数のアプリケーション間でリソースを共有することができるため、交通機関や石油・ガスなどの業界でもシステムインテグレーションの用途が拡大している。現在、新型コロナウイルスの感染防止のため、多くの企業はリモートワークを採用していることもあり、システムインテグレーションの需要はさらに高まっている。

【ベンチマークとなる企業】
システムインテグレーション市場における主要な企業としては、Accenture Plc、富士通株式会社(古河グループ)、HCL Technologies Limited、IBM Corporation、Tata Consultancy Service Limited、Wipro Limitedなどが挙げられる。

マネタイズに関して

【業績推移】

ipokiso.comをもとに作成。

売上高は2020年の新型コロナウイルスの感染拡大にも関わらず、右肩上がりである。しかし、経常利益は2020年までマイナス続きであり、2021年にプラスに転じた。

【事業全体の収益性】
BtoB:主要取引先は、株式会社キューブシステム・株式会社NTTドコモ・株式会社ヨークベニマル・株式会社クロスキャット・テックファーム株式会社などの大手企業である。

【事業別の収益】
(2020年度)
AIソリューション事業 売上高:20億7990万円 利益:5042万円
研修事業 売上高:3190万円 利益:852万円

【キャッシュポイントの額と頻度】
顔認証技術を搭載した非接触型の自動検温装置AIZE Biz+においては、初期費用18,000円、月額費用1,800円であり、利用人数によっても費用が変わる。

【固定費】
労務費
経費

【変動費】
外注費
製造費

経営層

代表取締役:山田 雄一郎
1982年6月11日生まれ
2005年12月 新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)入所
2018年6月 一般社団法人日本ラクロス協会監事 就任
2020年8月 当社 入社
2020年9月 当社 執行役員CFO就任
2020年11月 当社 取締役CFO 経営戦略本部副管掌就任
2021年3月 当社 代表取締役就任(現任)
2021年11月 首都圏ソフトウェア協同組合理事就任(現任)

取締役:桐原 永叔
1970年10月27日生まれ
1994年4月 個人事業主として出版関係に従事
2004年4月 有限会社洋洋編集 入社
2006年9月 株式会社幻冬舎メディアコンサルティング 入社
2009年9月 眞人堂株式会社設立 取締役就任
2010年5月 眞人堂株式会社 代表取締役就任 株式会社ソフィアホールディングス 取締役就任
2019年6月 当社による眞人堂株式会社の吸収合併により、当社入社
2019年12月 当社 取締役 経営管理本部担当就任
2020年9月 当社 取締役 AIZE事業戦略本部担当就任(現任)
2020年12月 当社 取締役 SI事業戦略本部担当就任(現任)
2021年9月 当社 取締役 営業戦略本部担当就任(現任)

取締役:加藤 慶
1981年2月8日生まれ
2003年4月 株式会社ベンチャー・リンク(現株式会社C&I Holdings)入社
2007年12月 新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人)入所
2018年1月 株式会社パネイル 入社
2018年4月 株式会社MAYAホールディングス取締役CFO管理本部長就任
2019年3月 株式会社すららネット 取締 役(監査等委員)就任(現任)
2020年1月 株 式 会 社 ラ イ ナ フ 監 査 役 就 任(現任)
2020年9月 株式会社XTIA 取締役管理本部長就任
2021年7月 当社 執行役員CFO就任
2021年9月 当社 取締役CFO 経営戦略本部担当就任(現任)

社外取締役:飯塚 健
1980年11月3日生まれ
2005年12月 新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入所
2015年6月 Kudan株式会社 取締役CFO就任
2019年12月 当社 取締役就任(現任)
2020年10月 Kudan Vision株式会社代表取締役就任(現任)
2021年2月 BPM株式会社監査役就任
2021年7月 Kudan株式会社取締役(現任)

常勤監査役:篠原 博
1947年5月13日生まれ
1966年4月 日本コロムビア株式会社 入社
1967年11月 富士建物管理株式会社 入社
1970年4月 東京ソフトウェア株式会社 入社
1971年12月 株式会社日刊スポーツ新聞社 入社
1974年1月 フリーランスにてシステム開発の請負に従事
1982年4月 株式会社アプリケーションズ(現株式会社アイオス)入社
1984年10月 株式会社エムアイエスインターナショナル 入社
1992年7月 横商エンジニアリング株式会社(現 横河商事株式会社)代表取締役社長就任
2002年10月 首都圏コンピュータ技術者協同組合 理事就任
2007年10月 首都圏コンピュータ技術者協同組合の株式会社への組織変更に伴い、首都圏コンピュータ技術者株式会社 取締役就任
2011年11月 首都圏コンピュータ技術者株式会社 監査役就任
2013年9月 個人事業主としてIT関連企業の経営顧問、エンジニア支援活動等に従事
2018年11月 当社 常勤監査役就任(現任)

社外監査役:圡屋 憲
1973年11月9日生まれ
1999年10月 中央監査法人(旧みすず監査法人) 入所
2007年8月 新日本監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入所
2015年10月 あいわ税理士法人 入所(現任)
2017年9月 当社 監査役就任(現任)
2018年4月 株式会社アト 監査役就任

社外監査役:鈴木 規央
1971年6月8日生まれ
1993年10月 太田昭和監査法人(現 EY新日本有限責任監査法人) 入所
2002年4月 パートナーズ国際会計事務所 入所
2006年10月 シティユーワ法律事務所 入所
2014年12月 株式会社うるる 監査役就任(現任)
2015年6月 株式会社ソフィアホールディングス 取締役就任
2018年1月 渥美坂井法律事務所・外国法共同事業 パートナー(現任)
2018年11月 当社 監査役就任(現任)
2021年7月 株式会社Linc’well 監査役就任(現任)

スキルマトリクス

※スキルマトリクス図とは取締役の素養・経験及び取締役会におけるバランスを一覧表にまとめたものである。各社で開示されているガバナンス内容を元に僭越ながら推測させて頂いた。要求水準・選定定義に関しては企業により差が生じるため、ここではCGCで求められている水準・選定定義を元に設定した。

ビジョン

「テクノロジーに想像力を載せる」
トリプルアイズは言葉で説明されたこと、つまり想像を全てシステム化することを目指す企業である。

「エンジニア成長第一主義」
同社はエンジニアの成長に全集中することを宣言している。


人事課題推測

【基本情報】
従業員:197名
平均年齢:35.5歳
年間給与:439万円
平均勤続年数:3.6年

【採用】
新卒採用:総合職を募集している。
中途採用:エンジニア・営業部門を現在募集している。

【福利厚生】
健康保険(関東ITソフトウエア健康保険組合)、厚生年金、雇用保険、社員表彰制度、資格奨励制度、各種研修制度、社内イベント、クラブ活動

インターン生による考察

同社は、コロナ禍における従業員に対する取り組みを公開しているなど、ESGに対する意識が強く、実行力もある企業であることが感じられた。

コロナ禍においてもリモートワークが困難な業種で従業員の方々に安心して働いてもらうために、自動検温機50台を機器代・初期費用など総額1,424万円分を無償提供する

https://www.3-ize.jp/information/1664/

事業に関して、SI領域ではITに関わる幅広い知識・人材が必要であり、同社は他社から人材・技術を確保しているため、提携先頼りにならないかどうかが懸念点だと考えられる。また人事的な観点では、役員に女性がいないこと、平均勤続年数が低いことが問題点として挙げられる。それに加え、同社も述べているように、AIエンジニアの育成・人材確保も大きな課題だろう。

さいごに

スタートアップ・ベンチャーにおける人事マネジメントはこちらから

弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから

ボード・スキルマトリクス分析によるこれからのエクセレントカンパニー要件調査結果はこちらから