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《生き様》の残像達
わたしを支え続けている人達の残像が、
いつも私の脳裏に焼き付いている。
そして、倒れかけた私の手を未来へと引っ張り、背中を押し続ける。
あなたの生き様があったから、
七転び八起き、否、一万回転んでもなお生きている。
▶︎マシンガントーク、女性、悠々自適生活
「セミリタイアしたから忙しいのよ」彼女は言った。
いわゆる悠々自適生活なのだと言いつつも、暇ではなく、
彼女の時間軸は常にハイスピードで回っていた。
彼女からしたら小娘程度の私には、その言動全てが
「新鮮」そのものだった。
アクティブシニア、というやつだろうか?
はたまた、セミリタイアと言いつつ、実は働いているんだろうか?
会う度に謎は深まるばかりだったが彼女のマシンガントークは
生き生きと生命力に溢れ、瑞々しく笑いを誘った。
人生を楽しむって、こういうことなのかも、
そんな風にせわしなく動いていて疲れている様子がまるでないのだ。
「この底無しのエネルギーはどこから湧くのだろう?」と彼女の顔を眺めて
軽快なトークに身を委ねていると、毎回数時間が一瞬なのだった。
行方知らずだが、元気だろうか。
人生を味わい尽くすってこんな感じなのかも、と思った。
▶︎異国の地の英雄、テレビの虫、垂れ目の笑顔
祖父は、遠いアフリカの地の英雄だった。
多くを語らずまま亡くなったけれども、古い新書にその姿が刻まれていた。
一つの国の歴史を大きく変えた祖父が遊びに行くといつも
テレビの前に寝っ転がり、
ひたすらテレビを観ている姿は酷く滑稽に映っていた。
この人生を、祖父はどんなふうに振り返っているのだろう?と
思いながら私は横に座るのだった。
一度だけ、祖父が垂れ目の笑顔で言った。
「よく考えてるねぇ、すごいじゃないかー」
もう先がそう永くは無さそうな祖父に、
将来のビジョンを語ってみた時のリアクションだった。
偉大な祖父の足元にも及ばない小さな挑戦を、
ただただ全肯定をしてくれた言葉と表情が
今でも絶望感に打ちひしがれた時に、真っ先に背中を押すのだった。
「私の孫じゃろ、できるよ」と。
▶︎手紙、弱った心、ぬくもり、お猿
忘れられない9歳の誕生日。
とにかく母は怒り狂っていた。なのに理由はもう忘れてしまった。
そして祝ってもくれなかった。
悲しくて、こんな家から一刻も早く抜け出したい気持ちで
居場所を失っていた私の机に置かれた手紙。
父からのバースデーカードだった。
震える手でカードを開けた途端、
視界は一気に霞んだ。
あの瞬間のぬくもりをずっとずっと感謝と共に覚えている。
手紙の中でニコニコと笑ったお猿が
切なくて切なくて、苦しかったけど暖かい、
ほろ苦い誕生日の記憶。
大切にしてきた、生き様の残像たちが今日も私の背中を押すのです。
そっと、やさしく。
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