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2023年1月20日~22日に開催された、武蔵野美術大学大学院造形構想研究科クリエイティブリーダーシップコースの修了制作展において、岩嵜ゼミは「岩嵜ゼミの本棚」という展示をしていました。今回はその企画の中で紹介した岩嵜ゼミの輪読本と、ゼミ生による推薦本を紹介していきたいと思います。(文責:M2野崎)

輪読本

大学院の岩嵜ゼミに所属するメンバーの研究テーマは多岐に渡りますが、皆の研究の土台として、以下6つの本を全員で輪読していました。M2のゼミ生による紹介文とともにご紹介します。


コンヴィヴィアリティのための道具

イヴァン イリイチ (著), 渡辺 京二 (翻訳), 渡辺 梨佐 (翻訳)

ゼミ生コメント(五十嵐悠)
イリイチは、カタチの有るモノだけでなく、カタチのない制度なども道具と呼びます。私達は、この道具に支配されていることがあります。ちょうどいい道具とは?という観点で、展示を見るとおもしろいかもしれません。


ドーナツ経済
ケイト・ラワース (著), 黒輪篤嗣 (翻訳)

ゼミ生コメント(小川望)
ドーナツ経済何事もちょうどいいバランスというものがあります。運動もやりすぎると身体を壊してしまいますよね。経済も同じで、闇雲に成長しすぎてしまうと地球の環境が壊れてしまいます。解決の秘訣はドーナツにあり!?


日々の政治
エツィオ・マンズィーニ (著), 安西洋之 (翻訳), 八重樫文 (翻訳)

ゼミ生コメント(山本莉央)
デザインとは誰の、何のためのものなのか?そんな問いを紐解く1つの方向性を提示してくれます。正真正銘、デザインの本質を語る、必読書です。


これからの「社会の変え方」を、探しにいこう。――スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー ベストセレクション10
SSIR Japan (編集)

ゼミ生コメント(野崎琴未)
「社会を変える」と聞くと壮大なものに感じるかもしれません。けれど社会を変えていくのは一つの実践だったりします。この本はそんな「社会」を前進させるアプローチ、リーダーシップのヒントが詰まった一冊です。


コモンズ思考をマッピングするーポスト資本主義的ガバナンス
山本 眞人(著)

ゼミ生コメント(明石啓史)
新自由主義的な「囲い込み」に対抗して、いかに自立共生的なコミュニティを構想できるか。領域横断的にコミュニティとガバナンスの未来を考えるヒントとなる一冊です。


パーパス 「意義化」する経済とその先
岩嵜博論(著), 佐々木康裕(著)

著者である岩嵜教授のコメント
未来のビジネスのあり方はどのようなものなのだろうという問題関心のもと書いた書籍です。社会的責任と成長の両立を目指すパーパスドリブンな企業が増えるともっと世界はよくなるのではないでしょうか。


ゼミ生のおすすめ本

岩嵜ゼミに所属する個性豊かな6名のM2メンバーに、それぞれの研究や思想に大きな影響を与えたおすすめの本を紹介してもらいました。


ケアのロジック―選択は患者のためになるか

アネマリー モル (著), 田口 陽子 (翻訳), 浜田 明範 (翻訳)

ゼミ生コメント(明石啓史)
糖尿病外来の調査をもとに、「やってみる」ことを通して管理不可能な事象に向き合う「ケアのロジック」が描かれる。現実のままならなさを受け入れ、試行錯誤することはデザインにも重要な観点ではないでしょうか。 


『未来を変えた島の学校――隠岐島前発 ふるさと再興への挑戦』
山内 道雄 (著), 岩本 悠 (著), 田中 輝美 (著)

ゼミ生コメント(五十嵐悠)
ムサビでの学生生活を通じて、たくさんの実験と失敗を繰り返しました。その経験から「失敗や挑戦に対する寛容性」について考えるようになりました。島のお母さんの言葉が胸に刺さります。


集合的創造性ーコンヴィヴィアルな人間学のために
松田 素二 (著, 編集)

ゼミ生コメント(小川望)
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざの通り、みんなで協働することによって豊かな創造性が発揮され、厄介な問題も解決に導けるのです。ムサビではそんな集合的創造性を感じる瞬間にたくさん立ち会えます。


ファンカルチャーのデザイン
岡部 大介 (著), 日本認知科学会 (編集)

ゼミ生コメント(コウシェンジュ)
推し活におけるアイデンティティの不可視化や再構築など、流動的に変容させながら価値を創り出していくところにヒントもらいました。リアリティーのある内容とゆるっとしたイラストを合わせて楽しめます。


『Anthro Vision 人類学的思考で視るビジネスと世界』
ジリアン・テット (著), 土方奈美 (翻訳)

ゼミ生コメント(野崎琴未) 
文化人類学の「ものの見方」の活用可能性について書かれています。自分が持っている物差しを手放して世界を眺めてみませんか。一般化できない複雑な社会という対象をデザインしていく全ての人におすすめの一冊です。


「You and I eat the same:On the countless Ways Food and Cooking Connect Us to One Another」
Chris Ying (Author), René Redzepi (Author), MAD (Author)

ゼミ生コメント(山本莉央)
文化人類学的な観点から、食を探求する。身近な領域を違う視点から捉えるデザインの真髄が詰まった、編集とクリエイティブも魅力的な一冊です。

おわりに

いかがでしたでしょうか。「美大」というイメージとは少し違うセレクションだったかもしれません。このように岩嵜ゼミでは、デザイン・クリエイティブの思考法・方法論を活用して、社会に対して働きかけていくような研究に取り組んでいます。どの本も「デザイン」をしていく上で大きな力になると思いますので、是非読んでみてください!

本棚制作風景

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