第4話 デジタル人材育成
デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation=DX)の流れが加速しています。最新のデジタル技術をどう活用していくか、多方面で研究・実践が進んでいます。今回はデジタル化と人材育成がテーマです。
デジタル化の流れは、新型コロナウイルスも加速させています。
新型コロナウイルスへの対応は、
(1)人と人との「接触」を制限した社会行動の要請
(2)「人命」と「経済」という矛盾する問題の解決
(3)国、自治体、企業、個人・・・それぞれの立場・あり方の考察
(4)成長の前に存続=持続性価値の再認識
等をもたらし、世界中が試行錯誤している状況です。
これは、人類レベルでの新たな “学び” が求められていると言っても過言ではありません。 当然、学校教育・企業内教育など、すべての学びの場でイノベーションが必要となっており、“学び方” 自体の変革も問われています。
企業では、新しい働き方(テレワーク等)に応じた組織・業務・人材マネジメントの変革が必要となっています。リモートでいかに仕事と人、成果をマネジメントするか、が課題になっていますね。その一環として、人材育成もデジタル化が加速している状況です。
それでは人材育成のデジタル化とはどんなイメージでしょうか?
簡単なところから考えてみましょう。
1.教材・学習方法
さまざまなウェビナー(Webinar)=オンラインセミナーが毎日行われています。集合研修が実施できなくなり、オンラインセミナーに切り替えた企業がたくさんあります。wishコロナの中で、何を集合研修とし、何をオンラインにするか、の切り分けが必要になっています。
そこで、現在行われている研修・セミナー等を以下の4つに整理してみました。
(1)A(アーカイブ):自習型
・いつでも、どこでも、少しずつ学べるセミナー動画等
(2)Ⅰ型リモート:多人数伝達型
・多人数に向かって知識を伝えるウェビナー等
(3)Ⅱ型リモート:情報共有型
・人数を絞ってディスカッションを行い、理解を深めるウェビナー
(4)D(ダイレクト):人間交流型
・人と人が直接交流して多様な相互刺激を得る集合研修・セミナー
効果的な研修・セミナーはこれらの組み合わせになるでしょう。
例えばA→D(あらかじめセミナー動画で学んでおき、集まって共有・議論し理解を深める)、Ⅰ→A(多人数のウェビナーで知識を得ておき、セミナー動画で自分なりにじっくり理解を深める)等です。
また、「教材」がデジタル化によって簡単に作成でき、かつ単に知識の説明だけではなく、習得内容に応じた確認テストや演習問題、気づいた点の要約なども簡単になるでしょう。
集合研修で行っていた「実習」がリモート化するわけです。
2.育成プロセスマネジメント
では、会社・職場での育成マネジメントのデジタル化はどうなるでしょうか?
ここでは育成マネジメントを簡単に
(1)個々人の成長目標の設定
(2)効果的な学習の仕掛け=学習~モニタリング~フォロー~結果確認
としておきます。
これらのマネジメントにおいては、
①学習開始の動機付け
②継続の動機づけ
③達成感、成長感の確認・自覚
につながることが必要です。
そのためにはデジタル技術を活用して
1)目標や前進度など、状態がリアルタイムで見える。
2)上司が部下を効果的にフォローできる。
3)必要なタイミングでお知らせやアラームが来て行動が促進される
こと、
見える化 & 行動促進刺激 & シグナルorアラーム機能
が重要です。
(私は、noteを始めて10日ほどですが、書きたい気持ちを高め、アクションを促す仕掛けに感心しています。最初はバッジに驚きました。ID登録(noteデビュー)、プロフィール作成、スキのお礼メッセージ設定など、アクションを起こすとバッジがもらえるのです。初めて記事を投稿したらスキリアクションの設定前に3人の方からスキをつけていただき、慌てて設定したりもしました。noteの仕掛けもデジタル技術の進化にともなって益々工夫され進化していくのでしょうね・・・。)
さて、多くの人がデジタル人材育成の効果を得るには、もう一つ重大な課題があります。それはデジタルリテラシーです。デジタル技術を当たり前のように使いこなせす力がないと効果につながりません。
しかし、少子高齢化の真っただ中にある日本社会では、デジタル化の流れについて行けない、ついて行きたくない人も、高い年齢層を中心にたくさん存在しています。
人生100年時代と言われ、誰もが新しいことを学び続けることも不可欠になっていて、世代間のデジタルリテラシーの格差は大きな社会問題になっています。
ちなみに、私の世代は
手書き→ワープロ→OA化/パソコン→ネット/IT・・・
をすべて経験してきた世代です!!
今となっては「手書きの時代」と言ってもイメージが湧かないでしょうね。
スマートフォンが登場した時も、
社会に出てから初めてこれを使う世代と、
生まれたときから既にこれが存在している世代とは、
想像以上に異なる人間なのかも知れない、と感じたものでした。
私自身、その時々の変化に何とか対応してきましたが、これから70歳、80歳と年を重ねる中でデジタル化のスピードについていけるかどうか、確信はありません。
デジタル技術の活用教育の充実も不可欠ですが、技術を誰もが使いやすいものにしていく工夫も重要な研究テーマと言えるのではないでしょうか。
教育のあり方には他にも多くの課題がありますが、デジタル化は教育の世界に一つの大きな探求テーマを投げかけたと言えるでしょう。
皆さんはどう感じるでしょうか?
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