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『カンパニーワイドミーティング』の目的

はじめまして。事業推進室の天野です。

今回は、カンパニーワイドミーティングという全社会議の目的について書きたいと思います。


■ 社外に言えることと社内に言うこと

もともとゲームやアニメのキャラクターに使われた用語で、最近では広く浸透した言葉に「ツンデレ」というものがあります。他人がいるときはツンツンしてぶっきらぼうなのに、2人になるとデレデレと好意的な態度をとる人のことで、このツンデレが良いとされるのは、他人に見せている態度と自分だけに見せてくれる態度に落差があることによるのではないでしょうか。

ところで、会社には「社外に対して言えること」と「社内に言うこと」の2つがあります。

一般的には社外に対して言えることは限定されており、社内に言うことの方が情報量は多くなります。一方で、企業規模が大きくなると情報統制が難しいということもあり、両者の情報量は近づいていき、自分の会社の戦略やその進捗について、社外の人と同じレベルでしか知らなかったりします。

色々な考え方があると思いますが、想定通りにいっていないといったネガティブなことも含めて、会社は社員に対してはオープンに情報を開示すべきだと思います。そうしないと、社員としても情報を正しく把握し、行動することができないからです。つまり、社外に対して言えることよりも多くの情報を社員に伝えていなければなりません。

社外にツンツンする必要も、社員にデレデレする必要もないのですが、社外の人に見せる顔と社員に見せる顔は異なっていた方が良いように思います。

今回は、この情報開示のオープンネスのひとつとして、カンパニーワイドミーティングを取り上げたいと思います。

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■ ヒエラルキー型組織とネットワーク型組織

バリューコマースでは、毎月、カンパニーワイドミーティングを実施しています。多くの会社が実施している月次の全社朝礼のようなものです。この場で、会社および事業の状況、市場環境、方向性(ビジョン・戦略)が共有されるのですが、なぜそれらを共有しているのでしょうか?

結論からいうと「社員の自律を尊重しているから」です。

このことを説明するために、少し遠回りになりますが、元米軍司令官のスタンリー・マクリスタルの組織論を紹介したいと思います。詳しく知りたい人は、彼の著作『Team of Teams』(日経BP社)を読んでみてください。

マクリスタルは米軍司令官としてイラクのテロ組織(アルカイダ)と戦ったのですが、世界で最も優秀とされる精鋭部隊であったにもかかわらず、寄せ集めの集団のアルカイダに苦戦しました。その理由は、アルカイダが一流の組織であるため力が及ばなかったということではなく、効率性を重視した軍隊の組織構造がスピードと柔軟性に欠けたからだと言います。

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アメリカ軍の特任部隊は、縦割りのヒエラルキー型組織を採用していました。すべての情報はトップに集約され、トップが意思決定をおこないます。このような組織の場合、情報経路を遮断してしまえば、情報も指示も流れなくなり、組織が機能しなくなります。

一方で、アルカイダは各自がスマホで連絡を取り合い、迅速に攻撃をおこない、リアルタイムに姿形を変え動いていく、分散型でクモの巣状の(Webはクモの巣の意味ですね)ネットワーク化された組織でした。そのため、アメリカ軍は後手にまわったというわけです。

計画と規律が成功の鍵を握るのではなく、メンバー個々人に権限を与え、現場で敏捷に自主的に行動する組織が奏功したということです。「意識の共有」と「実行権限の付与」によって、複雑な事象に対応できるだけの適応力が生まれるというわけです。

■ カンパニーワイドミーティングの目的

先ほど、カンパニーワイドミーティングを実施しているのは「社員の自律を尊重しているから」であると言いました。ここまで読んでいただいた人は理解できたと思いますが、バリューコマースでは「意識の共有」をしたうえで、現場の意思決定については「実行権限を付与」していこうとしています。

この意識の共有の場がカンパニーワイドミーティングです。

社員の自律を尊重するといっても、各人が好き勝手にふるまうと、それぞれの力は分散してしまいます。そのため、一定の枠を設けたうえで、自律を尊重しなければなりません。ある一定の枠を設けるからこそ、実行権限を付与していくことができるのです。この一定の枠こそが戦略です。

どのような会社にも企業理念があります。そして、企業理念にそって、社会に対してどのような貢献をするかを明確にします。これがビジョンです。

戦略はこのビジョンを実現するための方針です。そのうえで、現場で戦略を実現するための目標設定と戦術を決めます。

この戦略の共有の場があるからこそ、大胆に現場への権限移譲が可能となるのです。

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