診断メーカーからの依頼③

あなたの書く小説

この春、ようやく自分たちの店がオープンした。
名前はぺこぱん、パン屋さんだ。

相方はパン職人シュウペイ、同じ会社の後輩だった。
彼はずっとパン屋をやりたいと言っていたのだが、俺がその夢に乗っかったというわけだが、よく飲みに行っている居酒屋の常連客、飯野さんに背中を押され、一大決心をした。

ただ、タイミングが悪すぎた様だ。このご時世、外出するのが規制されているため、新しい店である俺らの店には全然お客さんが来なかった。
仕方なく、近くの多摩川沿いでビラを配る日々。配った人の記憶に残る様にとにかく明るくビラを配っている。どうかこのビラで、来てくれる人が現れます様に。

今日、久しぶりにお客さんが来てくれた。なんと、多摩川沿いでビラを渡した男性が、お子さんを連れて来てくれたのだ。
思わず名前を聞いてしまった。安倍さんというそうだ。
「本当にこのパン美味しいねー」
という安部さん一家の言葉を聞くとパン屋開いてよかったと本当に嬉しく思うし、シュウペイのパンが人に認められたこと本当に後輩の夢がかなって良かったと思う。

今日も安部さんが来てくれた。が、ちょっとした事件が起こった。
まず、安部さんだが、なんと俺たちの背中を押してくれた飯野さんの会社の先輩であることが判明した。いやぁ、世間は狭いな。そしてますます大事なお客様になった。
あともう1つ、飯野さんからのパンの予約の件だ。会社のハイキングが最近の情勢により中止になったから、予約をキャンセルして欲しいという電話がきてしまった。しかも予約日の前日だったからもうコッペパンは作り始めていた。電話を忘れていたととても誤ってくれたが、いや、このご時世でハイキング予定通りする訳ないのだからこちらから電話をかけるべきだった。だが、くよくよしていても仕方がない。なんとか売る方法を考えなければ…かと思いきや、2時間後、また飯野さんから電話がかかってきた。
飯野「いや、先ほどキャンセルしたコッペパンの件なんですけど、、なんとかなったのでやっぱりキャンセルをキャンセルするっす!」
俺(松陰寺)「えぇ、大丈夫なんですか?」
飯野「いや、この情勢に前日に電話した僕が悪いっすし、やっぱり2人には夢に向かって頑張ってほしいっすから!!」
どうやってコッペパン100個をどうにかしたのかは聞かなかったが、飯野さん、本当にありがとう!俺たちは本当に人に恵まれている!!
お世話になった人たちのためにも、絶対2人でパン屋を成功させてみせる!


モデル
今日放送だったTOKYO FMのラジオドラマ『あ、安部礼司』に出ていたゲストキャラ使わせてもらいました。

とんでもねーくらいぺこぱ回でした。