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5分で分かる子宮頸がん 21「HPVワクチンって本当に有効なの?」

感染すると子宮頸がんを引き起こすHPV(ヒトパピローマウィルス)ですが、HPV自体には200種類以上の型が存在します。ただその全てが子宮頸がんを引き起こすわけではなく、日本で主に子宮頚がんを引き起こしているのは次の6つの型になります。 ¹

表1  日本で子宮頸がんの原因となっている主なHPV型とその割合

図1

日本で承認されているHPVワクチンは「16、18型」に対して有効な2価HPVワクチンと「16、18、6、11型」に対して有効な4価HPVワクチンの二つです。
では実際にHPVワクチンはどのくらい有効なのでしょうか?
今回の記事では2019年に新潟大学が行った、「2価HPVワクチン接種群と2価HPVワクチン非接種群のHPV感染者割合」の調査報告を紹介していきます。² 

表2  新潟県で行われた2価HPVワクチン接種によるHPV感染率の比較

図2

※高リスク型HPV:16/18/31/35/39/45/51/52/56/58/59/68型のHPV
表は論文より改変して引用²
調査対象は新潟県の新潟/長岡/上越/柴田/見附/山上市に住む1993年4月~1997年3月に生まれた当時20~22歳の女性1,814人です。

また調査時点でのワクチン接種群と非接種群の性交渉経験有無の差は以下の表の通りでした。

表3 ワクチン接種群と非接種群の性交渉経験割合

図3


性交渉経験の有無を考えると、ワクチン非接種群はワクチン接種群に比べHPV感染リスクが1.1倍高いことになります。しかし、2価HPVワクチンが防ぐことができるとされているHPV16/18型の感染率を表2の結果で比較してみると、ワクチン非接種群はワクチン接種群に比べ11倍(0.2%→2.2%)となっています。

したがって、新潟県で行われた調査に基づくと2価HPVワクチンはHPV16/18型に対して有効と言えるのではないでしょうか?



参考文献
1:Azuma, Y., Kusumoto-Matsuo, R., Takeuchi, F., Uenoyama, A., Kondo, K., Tsunoda, H., Nagasaka, K., Kawana, K., Morisada, T., Iwata, T., Aoki, D., & Kukimoto, I. (2014). Human papillomavirus genotype distribution in cervical intraepithelial neoplasia grade 2/3 and invasive cervical cancer in Japanese women. Japanese journal of clinical oncology, 44(10), 910–917. https://doi.org/10.1093/jjco/hyu112
2:Kudo, R., Yamaguchi, M., Sekine, M., Adachi, S., Ueda, Y., Miyagi, E., Hara, M., Hanley, S., & Enomoto, T. (2019). Bivalent Human Papillomavirus Vaccine Effectiveness in a Japanese Population: High Vaccine-Type-Specific Effectiveness and Evidence of Cross-Protection. The Journal of infectious diseases, 219(3), 382–390. https://doi.org/10.1093/infdis/jiy516

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