見出し画像

窓からのながめ

Swiat poema naiwne (世界 ポエマ•ナイヴネ)

Czealaw Milosz (チェスワフ•ミウォッシュ)

つかだみちこ
石原 耒    訳

窓からの眺め(Z okna)

野原があって林があってまた野原が広がる

そのむこうに 

広大な水面が横たわり鏡のように白く輝いている

黄金の大地は低く沈んで

鉢に浮かぶチューリップのよう

父が言う

ここはヨーロッパなのだ

よく晴れた日にはすべてが手にとるように見はるかせる

いくどとなく押し寄せた洪水の後で今は煙っているが

家なのだ

人々の

犬や猫の

そして馬たちの

いくつもの塔がほら

色とりどりの街の上に映え

いくすじもの細い流れが銀色の糸となってからみあい

山の月が鷲鳥の羽根毛のように
あそこもここも

大地を覆っている

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?