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英語なまりのコージ 英語教師コージ誕生 自分が勉強することと人に教えることは違う

ほうれんそうのタマちゃんと梅ちゃんが
近所の公民館を借りて塾をやっていたことは
この前、お話しました。この塾は、あまりにも
評判が良くて、中学1年生の英語の講師が足らなく
なったことがありました。それまでは、梅ちゃんが
中2の歴史をやりながら、中1の英語を
やる。同時にタマちゃんが小学生の理科と
中3の国語をやるという過疎の山間の学校のような
授業をしていたのです。突然、近所の奥様たちが
10人ほど来られて、「うちの子も・・・」
と言って来たものですから、困りました。
各学年せいぜい3人から5人が、中1だけ10人に
なってしまったのです。
そこで梅ちゃんタマちゃん困ったあげく、
「英語だけでも・・・」
「仕方ない・・・やってもらうか」
と言うことで、主役の登場となったのであります。
「呼ばれた飛び出てジャッジャジャジャーン」
というハクション大魔王のようなセリフと体型の
コージが初めて中学1年生の教壇に立ちました
「こっちの英語ってのは、どんな教え方をしているか
ミーはぜんぜん知らない。だから、ミーの習ったとおりやる。
a pen    ひとつのペン
This is a pen.これは、一つのペンです」
なんてコージが始めるとブーイングが飛びました。
ブーブー・・・
生徒G君「それは、玉田先生に習いました」
コージは
「アイム ソーリー.では疑問文を教える」
また、ブーイングです。
ブーブー・・・
生徒S子「アイム ソーリーなんて、まだ習ってません」
生徒全員「そうだ!そうだ!!」
コージも、さすがに困って
「アイム ソーリーはミーの口癖ね」
生徒N子「ミーってのもですか?」
コージ「イエス」
生徒M子「その、イエスの後にはアイ ドウーかアイ アム
をつけなくていいんですか?省略形ですか?」
などなど細かい突っ込みに中1とは言え、油断大敵と
考えたコージは作戦変更して
「では、自分のファミリーを英語で紹介してください」
と一人一人起立させて自己紹介させることにしました。
10が一人一人、たどたどしい英語で話して行きます。
会話なら絶対に負けないと自信満々のコージです。
生徒R太「マイファミリー、イズ、ファーザー、
マザー、リトルブラザー、リトルシスター、
エンド、グランドマザー」
コージ「私の家族は、お父ちゃん、お母ちゃん、妹、弟、
お婆ちゃんです。オーケーねえ」
コージ上機嫌です。ところが
生徒S子ちゃんの時、コージは困ってしまいました
S子ちゃんは、指を折りながら
「マイ マザー イズ ツー 間違えた スリー
マイ ブラザー イズ ファイブ アンド シスター イズ フォー
エンド グランドマザー イズ ファイブ いや シックス やったかな?・・・」
S子ちゃんは、大きな会社の社長さんの娘さんで、お妾さんの
家族たちと一緒に住んでいるのです。
それで、コージは悩んだのです。
・・・本妻の子は、どれなんだろう?
うううん、家庭の事情を聞くとヤバイかなあ。
泣かれたら、大変だ。苦労してるんだろうなあ・・・
こんな子供に苦労させやがって・・・
さて、どうして訳すか・・・
悩んでるコージを見て、生徒たちが騒ぎ始めました
生徒G「先生、訳してよ」
生徒全員「早く、早く」
ワーワーアワアー・・・先生の癖にわかりよらへん・・・ワーワーワー・・
あんまり大騒ぎになったので、隣の部屋で理科を
教えていたタマちゃんが飛んできました。
タマ「どうした?」
コージ「実は・・・・・」
タマ「そのとおり訳せばいいじゃないか・・・
ハイハイ・・・みんな静かに・・・
お父さんが一人お母さんが3人弟が5人妹が4人
お婆ちゃんは6人・・・たくさんの家族でよかったねえ」
生徒全員「さすが、玉田先生」と納得しています。
口の悪い生徒Gは
「新しいセンコー、3から数えられへん」
とコージをバカにする始末です。
コージは悩んで損をしてしまいました。
 
その夜、コージはいろは食堂で焼きそばを食べながら
チューハイを浴びるほど飲みました
「1・2・3・4・・・・1000・・・10000
クソー・・・1億・・10兆・・・おら、死ぬまで数えるぞ」
旧型とはいえ人工知能ですから当たり前ですが、26万語3000ページの研究社新英和大辞典を丸暗記しているしているコージは、教えることでは、タマチャンや梅ちゃんの足元にも及びませんでした。その後、かなり人間の子供のことを理解できるようになりましたが。
大学を卒業してから高校で英語を10年教えたコージも最初は、こんな調子でした。

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