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マルセイのバターサンド

懐かしい味の食べ物を食べた。
たしか、マルセイのバターサンドと言う。
昔、もう20数年前に私が1年だけ札幌で支社長生活をやったことがあった。とても商売がうまくいったので、人生で1番ビジネスが楽しかった時代だった。
その時1番最初に社員で来てくれた若い女の子が、私のことを実の父親のように慕ってくれて、時々お菓子を持ってきてくれた。
それがマルセイのバターサンドだった。
「このマルセイのバターサンドは北海道のお土産なんですよ
なんて教えてくれた。
「へーそうか」
当然、私は白い恋人たちを思い出すのだが、彼女はマルセイのバターサンドが好きだった。
食べてみたらとても上品な甘みがあって、私も気に入って、「ときどき、買ってきてくれるかな」
ってと言って、私がそこにいる間の1年間で何度か月に1度くらいかな買ってきてくれた。
月日は流れた。
そんなビジネスも人事異動のせいで離れることになった。
そんな輝いた日々も忘れかけた。
つい最近また、ぐうぜん、そのバターサンドを食べることがあった。
「何のお菓子かなぁ。懐かしいな」
と思っていると、あの頃のことを思い出した。
そんな時、長男がどこぞの娘さんを連れてくるとか言い出した。
「へー最近優しくなったな」
と思ったらそういうことになっていたんだな。
やっぱり大人になっていたんだなと。
私が札幌にいた頃は乳飲み子だった息子ももう一人前になっている。
立派なビジネスマンだ・
私より数段上の人生を歩んでいる。
ただその娘さんにふとお話ししたくなった。
マルセイのバターサンドにちなんだお話だ。
うちの息子はこのバターサンドの味なんですよ。
あいつが北海道の大学を母校にするようになったのも何かの縁かなと。
こんな人間なんですよ。
北海道のお土産と聞いたら誰でも白い恋人たち思い出しますが、うちの息子はこのバターサンドのような人です。
このバターサンドは2番手なんですよ。
白い恋人たちがお土産のシェアで30%だとしたら、バターサンドは今は27%になっています。ずっと二番手なんです。目立たないんです。息子は派手さはありませんが、地道に努力します。いずれバターサンドが白い恋人たちに追いつく時が来ると思うんです。息子もそういう奴です。よかったら応援してやってください。

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