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ふるあか

それはしづかに舞いおちる
ひらひらとはらはらとやさしく
すこしづつ
土色の大地はやがてそまり
高貴なじゅうたんを織るように
すこしづつしづかに
しづかにすこしづつ

まるくなった少年の
まるくなった体躯のまわりを
まるく囲んですこしづつ
埋めていく
千切られた紙片はぼやけて
消えてしまったよ

からっぽになったはらっぱのまんなかで
泣きくずれた少年の
ひざ小僧はあかい
ひざ小僧はないて
苦痛に顔を歪めている
ええ、小僧はそこにおりますよ
さっきからずっと
うまれたときからずっと

しんしんと舞いおちたそれは、
ほそい月に照らされて
しんしんと
埋めつくす
そしてやがて何もかも染めちまって、
泣いた少年もおほいかくして、
そこはいちめん真っ赤になった。

だれもいなくなって、
赤い花びらだけが堆積して、
積もった花びらだけが、
からっぽのはらっぱに在った。

赤色が、
在るだけだった。

しんしんと赤い花びらが
やさしく
しづかに
ふった。
ふりつづいた。
やむことはなかった。

溢れた

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