三角関係title

日本は財政破綻するのか?

日本で資産運用するうえで、避けて通れないのがこの問題です。
「将来日本は財政破綻するのか?」
「日本円を持っていて大丈夫か?」
とても重要な問題なので、ぜひ深く考えてみてください。

      (IMF, World Economic Outlook Database, Oct 2018より作成)

これは各国政府が抱える債務をGDPで割ったものです。
日本はGDPの2.5倍の借金を抱え、先進国で断トツの大きさです。既に破綻したギリシャをも上回っています。
これだけ見るといつ破綻してもおかしくないように見えますね。ところが、日本国債の金利は0%で、財政破綻する気配さえありません。

それは…


日本は自国通貨建ての国債のみを発行しているからです。


この図は政府が使うお金の流れを示しています。順に見ていきましょう。

1. 日本政府が国債を発行して、お金を借ります。
2. 政府はそのお金で橋を作ったり公務員に給料を払ったりします。
3. そのお金は受注者や受給者の銀行口座に振り込まれます。
4. 預金が増えた銀行はそのお金で日本国債を買います。

1と4は同じ矢印です。また、2と3は同時に起きます。
1,2,3の矢印は同じ金額でぐるぐる回っているだけなのです。
つまり、国債の買い手が現れなくなることは無いということです。

ここで言う「事業会社・個人」とは事業会社と個人の集合体であり、「銀行等」とは金融機関の集合体です。
個々の企業や個人、銀行の行動は個々の意思によるものですが、集合体の動きは個々の意思とは関係なく決まっているのです。

 ※しっくり来ない方は文末のQ&A集をご覧ください。


次に、ギリシャの例を見てみましょう。
先程との違いは4のプロセスです。
円を持った銀行は日本国債を買うしかありませんが、ユーロを持った銀行はギリシャが危ないと思えばドイツ国債を買えるのです。
自国通貨を捨て、ユーロに加入してしまったことがギリシャの最大の過ちだったのです。


もう一つ、アルゼンチンの例を見てみましょう。
アルゼンチンは自国通貨を持っていましたが、ドル建ての国債を発行していたのです。この場合、1,2,3のサイクルを回しても、自国通貨が安くなってしまえば借金を返しきれないのです。
経済状況悪化、通貨安、債務膨張という負のスパイラルに陥り、破綻しました。ロシアやブラジルも同じパターンで破綻しています。


今回の結論としては、

自国通貨建ての国債のみを発行している国は極めて安全である。

ということなのですが、下に再掲したこの三角関係はとても重要で、これを知っておくだけでいろんなことがわかるので、ぜひ併せて覚えておいてください。

この図を見ると、国債発行が続く限り、預金総額や預貸ギャップ(=預金-貸出)は増える一方だということがわかります。
このサイクルを知らずに、預金総額や預貸ギャップが預金者や銀行の意思によって動くと勘違いしてしまう人がとても多いのです。
個人攻撃はしたくないので具体例は避けますが、「預貸ギャップ」と検索して出てくる分析の多くは論理が間違っています。


それでは、もやもやしている方も多いと思うので、Q&A集を。

Q. お金を受け取った人や会社が預金せずに使ってしまったら?
A. 使った先の会社か個人の預金になるので、預金総額は変わりません。

Q. お金を受け取った人や会社が株を買ったら?
A. 株を売った会社か個人の預金になるので、預金総額は変わりません。

Q. お金を受け取った人や会社が預金ではなく現金を保有したら?
A. 確かにこのサイクルは崩れます。が、世の中に出回る現金の総額の変化幅は、国債発行額に比べて微々たるものです。影響はありません。

Q. お金を受け取った銀行が国債を買わずに融資したら?
A. 融資先の会社か個人の預金になるので、預金総額は変わりません。
 ※より正確に言うと、融資をしても預金は減らないので預金総額は増えるのですが、国債買い原資の総額(=預金-貸出)は変わりません。

Q. お金を受け取った銀行が国債を買わずにドルを買ったら?
A. ドルを売った会社か個人の預金になるので、預金総額は変わりません。

Q. 海外の人が円を持ったら?
A. 上の図に国境はありません。円の動きのみに着目しており、国内国外の区別はしていないため、円を海外の会社が海外の銀行に預金してもこのサイクルは成り立ちます。

Q. 日銀が国債を大量に買っているがそれはこの図ではどう説明する?
A. 日銀が銀行から国債を買う行為は、満期数年の政府の借金を満期1日の日銀の借金に替える行為なので、日銀と政府を併せて統合政府として考えると借金の総額は変わりません。


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