12月10日の夢

5時47分、目が覚めた。正確にはそれ以前にも何度か目が覚めていたように思えるが、それらの正確な時間については確認できていない。

とにかく長く、酷い夢を見た。以下のような感じである。

 

私は暗闇の中に体育座りをしている。徐々に目が慣れると、周囲の輪郭がはっきりしてくる。

目の前には巨大な窓があり、室内にいることがわかる。また、その窓の外には、永遠の海が広がっている。すると太い低音が聞こえ、それが日本語の意味を成しており、声のする右隣を見ると知らない黒人がいる。夢の中では知り合いのようで、2人で会話をしている。

しばらくの安寧の後、海の向こう側からロケットが発射した。それでようやく、対岸が存在することに気がついた。黒人は私との会話に夢中で気が付かないようだったが、私はロケットが空中でぐにゃりと折れ曲がるのを見た。その瞬間、本能的に生命の危機を感じとり、黒人に向かって「爆発する!」と叫んだ。黒人は私に真摯なようで、私を抱き寄せて共に床に伏せる形となった。それとほとんど同時に、人工的な熱風が強く吹き、顔や体の表面だけが突如高温になるのを感じた。その一撃の後、対岸を見ると空にオレンジや青の光がパチパチと弾けている。殺戮の光が宝石のように街に散らばっていく。私はそれをこの世で一番美しい景色のように感じて一瞬見とれたが、この衝撃で海がどんな反応をするかを経験則として認知していた。しかし、それを悟った瞬間には既に第一の波が私たちを襲う。膝上ほどの高さの波が来て、その勢いに押され窓と反対側にある壁にぶつかった。黒人は波に恐怖を感じていないようで、ヘロインを注射した猿みたいな叫び声をあげる。それに驚くと同時に、死の予感が私の心拍数を上げていく。貴重品を集めようとするが、空間に2つ存在するキャビネットには何故か現金が散らばっており、それをかき集めなければならない。しかし私の持ち物はどこにも見当たらない。その間、黒人はニーナ、セレーナ、アイリーン、などの名前を呼んでいる。ここはコテージのような場所らしく、二階部分から白人の黒髪ボブの女性、ウェーブのかかったブロンドの女性などが出てくる。何の集まりなのか。

 

推測していると場面が転換する。

ホテルの一室らしき場所であるが、その中にベッドや机などの家具が一切見当たらないホワイトキューブである。そこで黒人の乱交パーティーが行われている。

横たわってシックスナインをしている様々な人種の男女が数珠つなぎに整列しており、その動物的欲求の匂いと整然とした光景に吐きそうになる。すると前場面で登場した黒人がその場の女性を全員四つん這いにして並ばせる。そしてその一人一人の性器に人差し指を入れていく。その場の女性は動かないが、誰かの唾液か、自身の体液で性器がてらてらと光っているのが見える。黒人は「こいつはだめだ」とか「こいつはいい」とか言っている。

私はまた吐き気を覚える。ただその光景から、黒人が何らかの権力者であることがわかる。一通りそれが終了すると、黒人は徐に消毒液を手に取り、入り口付近にある絵画に吹きかけようとする。私は何故か必死になってそれを止めようとする。しかし黒人は何も言わず、口角を上げた状態で容赦なく噴射する。それを見た私は消毒液を黒人から奪いとり、涙で顔面をぐちゃぐちゃにして叫びをあげながら大量消毒液をかけて絵画を汚す。

その後、黒人と2人きりになった。すると黒人は「やめたければ3月末でやめればいい。それは自分自身でしか決められないことだ。」という。恐らく私はこの乱交パーティーに参加させられることになっているらしい。私は、「これをすることは別に怖くない。でも、嫌とか、嫌じゃないとか、そういう問題ではなくて、例えばさっきの絵に消毒液をかけるのが倫理的におかしいとか、そういう理性まがいのものを押し付けてくる人間がわからない。理性と動物的欲求のバランスは人によって違うと思うの。」と言う。黒人は優しさを表情に浮かべて「すごくよく分かるよ。」と共感してくれる。

 

その後、私は台所で仕事をしている。恐らく乱交パーティーには参加せず、料理係をすることになったのではないかと推測される。人が慌ただしく動いている忙しない状況で、私は何か技巧的な形をしている器を落としてしまう。その器は壊れなかったものの、中に入っていたお酒が溢れてしまう。それは黒人が好んで飲んでいるもののようで、その場の誰からも責められることはなかったが、空気が澱む感覚がある。黒人にそれを報告すると、1本4万円するという。私は「一度には払えない。」と答える。すると、気にしなくてよいと言って私の肩に手を回すが、その真偽がわからず体から汗が吹き出す。黒人はただ残った酒を飲んで気持ちよくなっている。

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