howari

monogataryを主に小説を書いています。読書好き。ハンドメイドアクセサリーのネッ…

howari

monogataryを主に小説を書いています。読書好き。ハンドメイドアクセサリーのネット販売もしてます。 https://monogatary.com/user_page/story/e314ac3e-0d0b-11eb-9b85-0242ac120002

記事一覧

howariとおやじの日記

2024年、4月30日。 私ことhowariは、おやじと初めて対面することとなる。名前が呼ばれ、とある乳腺外科の診察室の扉を開ける。「あまりいい結果ではありませんでし…

howari
8時間前
2

妻の寝顔〜奇妙な短編小説〜

 去年から持ち越した事柄をぼんやり浮かべながら、妻の作った雑煮を食べていた。やわやわに蕩けた餅がカツオ節やら、かまぼこに絡んでいる。それらを一緒に食べるのが好き…

howari
9日前
4

日傘の女〜ホラー短編小説〜

 照りつける太陽が、露出した肌をぢりぢりと焦がす。連日の猛暑日。交差点の向こう側のビルを見上げる。各地の最高気温を告げるアナウンサーの顔を見て、反吐が出そうにな…

howari
2週間前
2

幸せになれる家~ホラー短編小説~

『先生。ぼく、今幸せなんだ』  健太くんはそう言って笑った。目の下には黒ずんだクマ。頬はひどく窪んでいた。でも、その表情は、至福に満ち溢れたものだった。  しか…

howari
2か月前
7

樹海ドロップ~短編小説~

 たっぷりと水分を含んだ布地がふくらはぎに吸いつき、足枷のようになっている。濡れたズボンの裾から滴る雨雫。それが肌の表面を沿って流れ、靴下を重くさせるのを感じる…

howari
2か月前
4

「斬首の森」(著/澤村伊智)読書感想文

4月24日発売の澤村伊智さんの最新刊。発売日に買いに行き、25日にようやく読み終えました。読みたてホヤホヤの感想文を書きたいと思います。 〈「斬首の森」あらすじ〉 鬱…

howari
2か月前
5

自己紹介

はじめまして。howariと申します。 monogataryを主に小説を書いています。 ホラー映画苦手だし怖がりなのですが、ホラー小説を主に書いています。なぜか、ホラーを書きたく…

howari
2か月前
38
howariとおやじの日記

howariとおやじの日記

2024年、4月30日。
私ことhowariは、おやじと初めて対面することとなる。名前が呼ばれ、とある乳腺外科の診察室の扉を開ける。「あまりいい結果ではありませんでした」乳腺外科の先生が言う。その一声の意味がよく分からないまま、私は画面に映し出された白黒の写真を見つめる。続けて先生が口を開く。
——「乳がんです」
この日記は、howariとおやじ(乳がん)との壮絶(?)な戦いを綴ったものである。(

もっとみる
妻の寝顔〜奇妙な短編小説〜

妻の寝顔〜奇妙な短編小説〜

 去年から持ち越した事柄をぼんやり浮かべながら、妻の作った雑煮を食べていた。やわやわに蕩けた餅がカツオ節やら、かまぼこに絡んでいる。それらを一緒に食べるのが好きだ。ただの吸い物ではなく、具に膜を貼るように絡んでくる餅がないといけない。それを喉に通すことで正月が来たのだ、と感じるのだ。

 久しぶりに妻と過ごす休日を噛み締めながら、雑煮を飲みほす。すると、コトと朱色の茶碗が置かれ、ふいに妻が立ち上が

もっとみる
日傘の女〜ホラー短編小説〜

日傘の女〜ホラー短編小説〜

 照りつける太陽が、露出した肌をぢりぢりと焦がす。連日の猛暑日。交差点の向こう側のビルを見上げる。各地の最高気温を告げるアナウンサーの顔を見て、反吐が出そうになる。
 そんなん聞きたくない。余計に暑さが増すだけだ。競ってなんになる。くだらない。
 それよりも、それよりも、僕は——。
 傷だらけの鞄の持ち手を握りなおす。今日もサイアクな一日だった、と黒々と光る地面に目を落とす。
 あの場所が嫌いだ、

もっとみる
幸せになれる家~ホラー短編小説~

幸せになれる家~ホラー短編小説~

『先生。ぼく、今幸せなんだ』

 健太くんはそう言って笑った。目の下には黒ずんだクマ。頬はひどく窪んでいた。でも、その表情は、至福に満ち溢れたものだった。
 しかし、三日後。健太くんは行方不明になる。学校の下校中に忽然と姿を消したのだ。
 それだけじゃない。他のクラスでも行方不明の生徒がいるし、この町に住む人々も行方不明になっている。
 警察が色々と調べているが、まだ不明者は見つからないし、原因も

もっとみる
樹海ドロップ~短編小説~

樹海ドロップ~短編小説~

 たっぷりと水分を含んだ布地がふくらはぎに吸いつき、足枷のようになっている。濡れたズボンの裾から滴る雨雫。それが肌の表面を沿って流れ、靴下を重くさせるのを感じる。
 足が思うように、前方へ進まない。もう歩けない。しかし、私があれを見つけないと。あの子が。私のかわいいあの子が——助からないのだ。

 ふっふっ、と冷たい息の隙間から、諦めにも似た笑みが漏れた。見つかるわけないじゃない。もう30年も前の

もっとみる
「斬首の森」(著/澤村伊智)読書感想文

「斬首の森」(著/澤村伊智)読書感想文

4月24日発売の澤村伊智さんの最新刊。発売日に買いに行き、25日にようやく読み終えました。読みたてホヤホヤの感想文を書きたいと思います。

〈「斬首の森」あらすじ〉
鬱蒼と暗い森の中に立つ合宿所。ある団体の〝レクチャー〟を受け洗脳されかけていたわたしは、火事により脱出する。男女五人で町へ逃げ出そうとするが、不可解な森の中で迷ってしまう。翌朝、五人のうちのひとりの切断された頭部が発見される。頭部は、

もっとみる
自己紹介

自己紹介

はじめまして。howariと申します。
monogataryを主に小説を書いています。
ホラー映画苦手だし怖がりなのですが、ホラー小説を主に書いています。なぜか、ホラーを書きたくなる…自分でも自分の心理を理解できないですね(笑)その他、恋愛やミステリー、ファンタジー、コメディなども書きます。
いつか自分の小説が本になり、書店に並ぶことを夢見て執筆を頑張っています。
https://monogata

もっとみる