見出し画像

今この時の気持ちや動きを大切に

はじめまして
和寒町特別養護老人ホーム芳生苑です。
私たちは、北海道の小さな町の特養で、ご本人を尊重する『動き出しはご本人から』の介護実践をすすめています。
これから、このnoteというツールを活用し、ご利用者との日々のかかわりや介護実践の様子など、少しご紹介できればと思います。

 私たちは、ユニット型の新しい施設が全国各地で整備される中、依然として多床室の古い施設でサービスを提供していますが、常に私たちの思いは新鮮で、ご利用者の動きを認めその可能性を信じて毎日のケアをすすめています。
 と、言葉にするのは簡単ですが、この考え方が当たり前となるまでには、日々進んだり戻ったりしながら、とても長い時間を要しました。

20210719ミニ研修再修正

『動き出しはご本人から』と言う介護実践は、平成29年度から日本医療大学保健医療学部リハビリテーション学科 大堀具視教授にご指導を受けている取組で、実践を続けて5年目に入りました。全国各地、考え方に共鳴した施設や病院などが、芳生苑と同じようにこの実践に取り組まれています。

ご利用者の動きを待てなかった私たち

 5年前、当時の自分たちのかかわり方が、どんな感じだったかもう覚えていないくらい今のかかわり方が普通になっているというスタッフがいました。
本当に長い期間取り組んできたのだと思います。
当時のケアは、特に可もなく不可もなく、やるべきことはできていたと思いますが、その時はご利用者自身ときちんと向き合えていたのだろうかと今あらためて感じます。
色々な研修を受けて、その時だけテンションが上がるけれど、数か月経つとどんな素晴らしい介護技術も用具もなかなか自分のものになりませんでした。結局は、スタッフの気持ちの中にストンと落ちていなかったのだと、後で気づきました。
スタッフは、当初、動き出しでさえ毎年恒例の外部講師研修のひとつとしかとらえていませんでした。

画像2

ご利用者を信じ、いつしか慌てなくなった私たち

私たちの言葉や考え方が変わったのは、「ご利用者の思いを受け止め待つ」という介護実践がケア全般や職場づくりに浸透し、空気のように当たり前になったからだと思います。
たとえば、ご利用者が、真夜中、突然起きてこられたとしてもそのことを問題視するのではなく、「ご自分で車いすに移ることができた」、「ご自分で起きてこられた」と解釈が変わり、ご本人が自分でできたことを認める言葉に変わっていったのです。

画像3

以前は、起きてくることを問題視し、ご本人の主体的な動きを尊重する目を持てずにいました。
確かに不安定な状況の方は、危険のないように充分に対応しますが、私たちの基本的な考え方が変わることはありません。
何か信仰しているわけでも何でもありませんが、介護保険の理念でもあるその人本人を尊重するということ、それに尽きるのです。
頭では誰もが理解していますが、日常で意識しているか、行動に移しているか、これまで私たちはできていたとは言い難く、介護者本位の介護になっていたと感じます。

画像4

当然、それはともに働く仲間に対しても、相手を認め受け止めていくことができるようになり、忙しい時間の中でも利用者はもちろん職員間で、みんなで笑って話している姿がよく見られるようになりました。
実際には、未熟な部分は沢山あって、全ての職員が同じ方向を向けるようになるには、まだもう少しかかると思います。
そんなところも、今後ご紹介していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?