大阪主夫

大阪在住の主夫です。そのCDを買うべきか、借りるべきか(借りた場合はどのカセットテープ…

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大阪在住の主夫です。そのCDを買うべきか、借りるべきか(借りた場合はどのカセットテープに録音するか)、それが大問題だったあの頃に聴いてきたアルバムを中心に、好きなところやまつわる思い出を書いていきます。

記事一覧

らしくはなかったかもしれないけど完成度は高かった 『Persistance Of Time』 ANTHRAX

アンスラックスならおそらく、『Among The Living』か『Spreading The Disease』が代表作となっていると思います。もちろん私も大好きですし、これらに『State Of Euphoria…

大阪主夫
2週間前
13

音や見た目の変化よりも充実した楽曲群が肝だった 『Achtung Baby』 U2

私くらいの世代(1972年生まれ)にとって、好き嫌いに関わらずU2は大きな存在だろうと思います。 初めて聴いたU2は1987年リリースの『The Joshua Tree』で、当時はその背…

大阪主夫
3週間前
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アルバイトの思い出と 「California Dreaming」 THE MAMA’S & THE PAPA’S

今回は音楽とそれにまつわる少し苦い思い出を。 学生の頃、近所の蕎麦屋さんでアルバイトをしていました。卒業までの4年間、スキー場で働く冬の間を除いて、ずっとここで…

大阪主夫
1か月前
17

タイトル通りの優しい音楽が美しく響き渡る『Good Dog, Happy Man』 BILL FRISELL

決してジャズに精通しているわけではないので難しいアルバムは敬遠していますが、それでもビル・フリゼールの何枚かは相当な愛聴盤です。 中でも、1999年リリースの『Good…

大阪主夫
1か月前
13

メタル・ゴッドでなければ何の問題もなかった 『Turbo』 JUDAS PRIEST

ジューダス・プリーストが16作目のリリースを2024年3月に控えています。ファンからは“メタル・ゴッド”と称され、まさしくヘヴィ・メタルを象徴するバンドの新譜を楽しみ…

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2か月前
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バンドの圧にふっ飛ばされた Queens Of The Stone Age の大阪公演

Zeppなんばへ、クィーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(QOTSA)を観に行ってきました。あまりの凄さにしばらくの間、余韻的放心状態になりました。いやもう、痺れたのな…

大阪主夫
2か月前
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彼らにとっての英雄だったエド・シーラン

京セラドームでエド・シーランを観てきました。 きっと若い人ばかりだろうと思っていましたし、実際そうでしたが、想像していたよりは幅広い年齢層だったことに安心しまし…

大阪主夫
3か月前
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ジャンルを超えた音楽の集大成となった大作 『Spirit Trail』 BRUCE HORNSBY

いやもう、「なぜこのアルバム・ジャケットなのか?」と思いますが、きっとブルース・ホーンスビー流のユーモアなのでしょう。「だとしても裏ジャケットで良かったんじゃな…

大阪主夫
3か月前
17

確かなテクニックをベースにユーモアも溢れる『Confessions』 Dweezil Zappa

ドゥイージル・ザッパが1991年にリリースした『Confessions』は、父親であるフランク・ザッパ譲りの変なリズムやテクニックを見せながらも、ポップ・センスやユーモアに溢…

大阪主夫
4か月前
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きらびやかな時代の出会いに感謝 『Back In The High Life』 STEVE WINWOOD

スティーヴ・ウィンウッドはそれがヴォーカルであれオルガンであれギターであれ、この世の誰と共演することになっても気後れする必要のない存在だろうと思いますが、“High…

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5か月前
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聴くジャンルをひろげてくれた 『For Emma, Forever Ago』 BON IVER

いまやインディーズの枠を遥かに飛び越えて、テイラー・スウィフトをはじめとする著名アーティストとのコラボレーションでも知られることになったボン・イヴェールの1st ア…

大阪主夫
5か月前
14

グレイトフル・デッドを嗜みたい

グレイトフル・デッドをわかる人のミュージック・ライフはきっとより豊かだろうと羨ましくなり、あこがれます。 「グレイトフル・デッドは?」と聞かれたら「嗜む程度です…

大阪主夫
5か月前
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哀しさや儚さが美しく表現されていく 『Plans』 DEATH CAB FOR CUTIE

デス・キャブ・フォー・キューティー(DCFC)は1997年にシアトルの北側にあるワシントン州ベリンガム(ワシントン州って西海岸なんですね)で結成されています。バンド名は…

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6か月前
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オーケストラと聴衆の迫力に圧倒された 『ベートーヴェン交響曲第7番』 カルロス・クライバー

確か中学生の頃だったのと思うのですが、NHK-FMでベートーヴェンの全交響曲を一挙に放送するという特番がありました。音楽の授業でしかクラシックを聴いたことがない私でし…

大阪主夫
7か月前
23

完全なるソロ作品ならではの音が心地良い 『Both Sides』 / Phil Collins

フィル・コリンズはスーパースターでした。 私の知るフィルは『No Jacket Required』や『Invisible Touch』(ジェネシス)からのシングルを立て続けにヒットさせていた、…

大阪主夫
7か月前
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“2000年代も全然悪くない” と思わせてくれた 『By The Way』 RED HOT CHILI PEPPERS

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)もすっかり大御所になりましたね。 ジョシュ・クリングフォッファーがジョン・フルシアンテの代わりに加入したのはつい最近…

大阪主夫
7か月前
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らしくはなかったかもしれないけど完成度は高かった 『Persistance Of Time』 ANTHRAX

アンスラックスならおそらく、『Among The Living』か『Spreading The Disease』が代表作となっていると思います。もちろん私も大好きですし、これらに『State Of Euphoria』を加えてよく聴いたものです。中でも『Among The Living』が持つ威力はすごくて、高校の学祭で友人のバンドが “Indians”を演った時にはそれはそれは盛り上がりました。良い思い出です。 この辺りのアルバム群が最もアンスラックスらしさが発揮された頃に

音や見た目の変化よりも充実した楽曲群が肝だった 『Achtung Baby』 U2

私くらいの世代(1972年生まれ)にとって、好き嫌いに関わらずU2は大きな存在だろうと思います。 初めて聴いたU2は1987年リリースの『The Joshua Tree』で、当時はその背景や意義を全く知らずにいましたが、そんな中学生の私にも「何か崇高なものが鳴っている」ように感じられました。聴き込むほどに引き込まれていき、すっかりU2のファンになりました。 過去作を貪るように後追いしながら『Rattle And Hum』(1988年)のリリースを迎えます。これもさほどその

アルバイトの思い出と 「California Dreaming」 THE MAMA’S & THE PAPA’S

今回は音楽とそれにまつわる少し苦い思い出を。 学生の頃、近所の蕎麦屋さんでアルバイトをしていました。卒業までの4年間、スキー場で働く冬の間を除いて、ずっとここで働かせてもらいました。 店長は私の父親と同じくらいの年齢で、まさしく札幌でのお父さんのような存在になりました。店長の家族や他のバイトと一緒に食事へ行ったりしましたし、店長と2人で飲みに行ったこともありました。バイトに来ている学生にはいつも親切に接してくれる店長でした。 私は主に夜のシフトで、普段は店長と私を含めた

タイトル通りの優しい音楽が美しく響き渡る『Good Dog, Happy Man』 BILL FRISELL

決してジャズに精通しているわけではないので難しいアルバムは敬遠していますが、それでもビル・フリゼールの何枚かは相当な愛聴盤です。 中でも、1999年リリースの『Good Dog, Happy Man』は、それがジャズかフォークかカントリーかというような定義づけを超えて、音楽が好きなら誰でも楽しめるアルバムになっていると思います。アルバムジャケットとそこにつけられたタイトルが表す通りの、優しい音楽に癒される62分です。 ビル・フリゼールはおそらくジャズ・ギタリストとして認識

メタル・ゴッドでなければ何の問題もなかった 『Turbo』 JUDAS PRIEST

ジューダス・プリーストが16作目のリリースを2024年3月に控えています。ファンからは“メタル・ゴッド”と称され、まさしくヘヴィ・メタルを象徴するバンドの新譜を楽しみにしている方もたくさんいらっしゃるでしょう。 ジューダス・プリーストの代表作と言えば、『British Steel』(1980年)や『Screaming For Vengeance(復讐の叫び)』(1982年)、50歳前後だと『Painkiller』(1990年)を挙げる人が多いかもしれません。 私が一枚選ぶ

バンドの圧にふっ飛ばされた Queens Of The Stone Age の大阪公演

Zeppなんばへ、クィーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ(QOTSA)を観に行ってきました。あまりの凄さにしばらくの間、余韻的放心状態になりました。いやもう、痺れたのなんのって。 ライブ当日、Zeppなんばまで出かけるついでに日本橋方面の中古CD店を見てみようと目論んだ私は、初めてのZeppを通過しながら日本橋方面へ向かうことにしました。 結構な雨の日だったのですが、Zeppへ近づくと既に傘を差した人達の行列が!開場まで2時間以上はあるのに!これが1階スタンディングの前方

彼らにとっての英雄だったエド・シーラン

京セラドームでエド・シーランを観てきました。 きっと若い人ばかりだろうと思っていましたし、実際そうでしたが、想像していたよりは幅広い年齢層だったことに安心しました。1人で来ている同じ年くらいの人も見かけましたし、さすが現代のアイコン、エド・シーランです。 1stアルバム『+』はとても気に入ってよく聴きましたし、激売れした『×』や『÷』までは結構聴いていました。 ただ、それ以降のアルバムは聴いておりませんで、そんな私が観に行っても良いものかと気後れしていましたが、追加公演

ジャンルを超えた音楽の集大成となった大作 『Spirit Trail』 BRUCE HORNSBY

いやもう、「なぜこのアルバム・ジャケットなのか?」と思いますが、きっとブルース・ホーンスビー流のユーモアなのでしょう。「だとしても裏ジャケットで良かったんじゃないか?」と凡人である私などは思ってしまいますが、裏ジャケットはなんとご丁寧にこのおじさんの口元のアップ。写っているのは叔父のチャールズ・ホーンスビーなんだそうです。 私はブルース・ホーンスビーが大好きでして、ハードロック/ヘヴィメタルに入れ込んでいた時期でも新譜が出ればチェックしていました。好きなアルバムはたくさんあ

確かなテクニックをベースにユーモアも溢れる『Confessions』 Dweezil Zappa

ドゥイージル・ザッパが1991年にリリースした『Confessions』は、父親であるフランク・ザッパ譲りの変なリズムやテクニックを見せながらも、ポップ・センスやユーモアに溢れる曲が満載の楽しいアルバムです。 アルバムはエクストリームのヌーノ・ベッテンコートと共同でプロデュースされています。収録曲でもいろんなところからヌーノの声が聴こえてきて、⑷ The Kiss に至ってはメイン・ヴォーカルです。少し前にFoo Fightersへ加入したジョシュ・フリースが多くの曲でドラ

きらびやかな時代の出会いに感謝 『Back In The High Life』 STEVE WINWOOD

スティーヴ・ウィンウッドはそれがヴォーカルであれオルガンであれギターであれ、この世の誰と共演することになっても気後れする必要のない存在だろうと思いますが、“Higher Love”で初めてスティーヴ・ウィンウッドの曲を聴いた中学生の私は、高らかな声で歌う彼が10代半ばから活躍している天才だなんてことはもちろん知りませんでした。「なんと洒落た、大人の音楽なのか!」とただただ衝撃を受けたのを覚えています。 本作がリリースされたのは1986年。当時は4枚目のソロ・アルバムという認

聴くジャンルをひろげてくれた 『For Emma, Forever Ago』 BON IVER

いまやインディーズの枠を遥かに飛び越えて、テイラー・スウィフトをはじめとする著名アーティストとのコラボレーションでも知られることになったボン・イヴェールの1st アルバム『For Emma, Forever Ago』がリリースされたのは2007年。それまで私が聴いてきたものとは少し違う、不思議な音楽でした。 ボン・イヴェールは一応、バンド名ということになっていますが、その実態はほとんどジェスティン・ヴァーノンのソロ・プロジェクトと考えていいと思います。名前はフランス語のBo

グレイトフル・デッドを嗜みたい

グレイトフル・デッドをわかる人のミュージック・ライフはきっとより豊かだろうと羨ましくなり、あこがれます。 「グレイトフル・デッドは?」と聞かれたら「嗜む程度です」と答えられるくらいになりたくて、特にここ5年くらいは結構な頻度でデッドを聴いておりますが、まったくもって「わかった」とは言えそうもありません。 30年の歴史があるグレイトフル・デッドはメンバーの移り変わりはあるものの、ジェリー・ガルシア(ギター)、ボブ・ウィア(ギター)、フィル・レッシュ(ベース)、ロン・マッカー

哀しさや儚さが美しく表現されていく 『Plans』 DEATH CAB FOR CUTIE

デス・キャブ・フォー・キューティー(DCFC)は1997年にシアトルの北側にあるワシントン州ベリンガム(ワシントン州って西海岸なんですね)で結成されています。バンド名はビートルズのテレビ映画「マジカル・ミステリー・ツアー」に登場するBonzo Dog Doo-Dah Bandの曲に由来しているんだそうです。 (↑いきなり別のバンドの曲ですみません) ベン・ギバード(ヴォーカル/ギター)とクリス・ウォラ(ギター)が中心となって活動してきたバンドが、5枚目にしていよいよメジャ

オーケストラと聴衆の迫力に圧倒された 『ベートーヴェン交響曲第7番』 カルロス・クライバー

確か中学生の頃だったのと思うのですが、NHK-FMでベートーヴェンの全交響曲を一挙に放送するという特番がありました。音楽の授業でしかクラシックを聴いたことがない私でしたが、どういうわけだか興味を持ち、「ここはひとつ、全て録音してやろう」と意気込んだのです。 ベートーヴェンの交響曲は第一番から第九番まであります。おそらく番組プログラムにそれぞれの演奏時間が書いてあったのでしょう。録音に備えて、できる限り余りが出ないような時間のカセットテープをかき集めた記憶があります。 用意

完全なるソロ作品ならではの音が心地良い 『Both Sides』 / Phil Collins

フィル・コリンズはスーパースターでした。 私の知るフィルは『No Jacket Required』や『Invisible Touch』(ジェネシス)からのシングルを立て続けにヒットさせていた、とんでもないおじさん。あの風貌であんなにも売れていたわけですから、いかにその曲の数々が素晴らしかった(時代に合っていた)かの証明だろうと思います。それはもう本当にものすごくて、SNSも音楽配信サービスもない時代でしたから単純に比較はできませんが、いまでいうならエド・シーランくらいにスタ

“2000年代も全然悪くない” と思わせてくれた 『By The Way』 RED HOT CHILI PEPPERS

レッド・ホット・チリ・ペッパーズ(レッチリ)もすっかり大御所になりましたね。 ジョシュ・クリングフォッファーがジョン・フルシアンテの代わりに加入したのはつい最近のことだと思っていましたが、あれも2011年のこと。再びのジョン電撃復帰から既に2枚リリースされている現在、本作『By The Way』(2002年)は大昔ってことになりますね。おじさん、気絶しそうです。 彼らのデビューは1984年ですから、私の年齢なら「最初からずっと聴いてました」と言えたらかっこよかったのですが