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最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.14

『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2024年4月号」の「法律速報」に掲載のものです。


大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律

令和5年12月13日公布・⑥は公布後2年以内の政令で定める日、それ以外は公布後1年以内の政令で定める日施行

令和5年法律第84号

 ・大麻草から製造された医薬品の施用等を可能に
 ・大麻等の施用罪の適用等に係る規定の整備
 ・大麻草の栽培に関する規制の見直し   等

① 大麻取締法における大麻から製造された医薬品の施用・受施用等を禁止する規制及び当該規制に関する罰則の規定を削除する。

② 麻薬及び向精神薬取締法における麻薬の定義に大麻を追加する。

③ 「六a・七・八・十a―テトラヒドロ―六・六・九―トリメチル―三―ペンチル―六H―ジベンゾ〔b・d〕ピラン―一―オール(別名デルタ九テトラヒドロカンナビノール)及びその塩類」等を麻薬及び向精神薬取締法における麻薬に追加する。

④ その濫用による保健衛生上の危害が発生しない量として政令で定める量以下のデルタ九テトラヒドロカンナビノール及びその塩類を含有する物であって、それ以外の麻薬を含有しないものを、麻薬及び向精神薬取締法における麻薬から除外する。

⑤ 大麻取締法の題名を「大麻草の栽培の規制に関する法律」に改める。同法は、大麻草の栽培の適正を図るために必要な規制を行うことにより、麻薬及び向精神薬取締法と相まって、大麻の濫用による保健衛生上の危害を防止し、もって公共の福祉に寄与することを目的とする。

⑥ 大麻草の栽培に関する免許について、都道府県知事の免許を受けて、大麻草から製造される製品(大麻草としての形状を有しないものを含み、種子又は成熟した茎の製品その他の厚生労働省令で定めるものに限る。)の原材料を採取する目的で大麻草を栽培する「第一種大麻草採取栽培者」、厚生労働大臣の免許を受けて、医薬品の原料を採取する目的で大麻草を栽培する「第二種大麻草採取栽培者」及び大麻草を研究する目的で大麻草を栽培する「大麻草研究栽培者」に区分する。

官報の発行に関する法律

令和5年12月13日公布・原則公布後1年6月以内の政令で定める日施行

令和5年法律第85号

 ・官報の発行主体、掲載事項、発行の方法(ウェブサイト掲載)等
 ・官報の発行に係る措置を補完するための措置
 ・官報の発行をすることができなくなった場合の措置   等

① 官報の発行は、この法律の定めるところにより、内閣総理大臣が行う。

② 日本国憲法改正、法律及び法律に基づく命令、条約並びに詔書の公布等は官報をもって行うことを定めるとともに、その他官報に掲載する事項について定める。

③ 官報の発行は、電気通信回線に接続して行う自動公衆送信を利用して公衆が官報掲載事項について閲覧することができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。

④ ③による自動公衆送信により送信される情報は、当該情報の安全性及び信頼性を確実に確保するための措置並びに当該情報が内閣総理大臣の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置のいずれもがとられたものでなければならない。

⑤ ③の措置をとるときは、併せて、当該措置に係る官報掲載事項を記載した書面を内閣府の掲示場に掲示し、かつ、当該官報掲載事項を内閣府の事務所に設置した電子計算機の映像面に表示したものの閲覧をすることができる状態に置く措置をとるものとする。

⑥ ③の措置は、必要かつ適当な期間、継続して行うものとするほか、官報掲載事項のうち法令等については、当該期間等の経過後においても引き続いて、公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとるものとする。

⑦ 内閣総理大臣は、求めに応じ、書面等による官報掲載事項の提供を行うものとする。

⑧ 内閣総理大臣は、災害等の事情が生じたことにより、③の措置をとることができなくなったときは、官報掲載事項を記載した書面を内閣府の掲示場に掲示することにより官報の発行を行うことができる。

⑨ ⑥の期間等が経過した後の公文書館への移管、書面等による官報掲載事項の提供等に係る業務の委託、内閣総理大臣以外の者が官報掲載事項を記録したデータベースを構成する場合における内閣総理大臣の承認等について定める。

国立研究開発法人情報通信研究機構法の一部を改正する等の法律

令和5年12月15日公布・原則令和6年4月1日施行

令和5年法律第87号

 ・ID・パスワードに脆弱性があるIoT機器の調査の継続的な実施
 ・調査の対象となるIoT機器の範囲を拡大
 ・NICTの信用基金の清算   等

① 国立研究開発法人情報通信研究機構(以下「機構」という。)の業務の範囲に、その研究等の成果の普及として、サイバーセキュリティの確保のための措置を十分に講じていないと認められる電気通信設備の管理者等に対して助言等を行う業務を追加する。また、総務大臣が機構の当該業務に関する中長期目標の策定・変更等をしようとする際に、サイバーセキュリティ戦略本部の意見を聴かなければならないこととする。

② 機構が令和5年度末までに限り行うこととされているID・パスワードに脆弱性がある電気通信設備の調査を行う特定アクセス行為の実施等に係る業務について、令和6年度以降も、サイバー攻撃手法の変化に応じて機動的に実施できるようにするため、当該業務を、総務大臣があらかじめ認可した実施計画に定められた期間等において実施できる等の規定を整備する。

③ デジタル社会の形成に向けた機構の業務範囲の見直しの一環として、機構の業務の特則等を定めた特定通信・放送開発事業実施円滑化法を廃止し、同法に規定する機構の業務を実施するための機構の信用基金及び債務保証勘定を清算・廃止する。

国立大学法人法の一部を改正する法律

令和5年12月20日公布・①~③、⑥は令和6年10月1日、④⑤は令和6年4月1日施行

令和5年法律第88号

 ・運営方針事項の決議及び法人運営の監督等を担う運営方針会議の設置
 ・国立大学法人等の資金調達方法の対象拡大及び資産管理方法の弾力化
 ・国立大学法人の統廃合   等

① 国立大学法人のうち事業の規模が特に大きいものとして政令で指定するものを「特定国立大学法人」とする。特定国立大学法人には、中期目標についての意見、中期計画の作成等に関する事項(以下「運営方針事項」という。)について決議するとともに、決議した内容に基づいて適切に運営が行われているかどうかについての監督を行う機関として、運営方針会議を置く。運営方針会議は、特定国立大学法人の運営が決議した運営方針事項の内容に基づいて適切に行われていないと認めるときは、学長に対し、必要な措置を講ずることを求めることができる。

② 運営方針会議は、3人以上の運営方針委員及び学長で組織する。運営方針委員は、学長選考・監察会議との協議を経て、文部科学大臣の承認を得た上で、学長が任命する。

③ 特定国立大学法人以外の国立大学法人は、特別な事情によりその運営に関して監督のための体制を強化する必要があるときは、文部科学大臣の承認を受けて、運営方針会議を置くことができる。

④ 国立大学法人等は、先端的な教育研究の用に供する知的基盤の開発又は整備に必要な費用に充てるため、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。

⑤ 国立大学法人等は、その所有する土地等の第三者への貸付けについて、あらかじめ文部科学大臣の認可を受けた貸付計画に基づいて土地等の貸付けを行う場合には、現行制度上、個別の貸付けごとに必要となる文部科学大臣の認可を要せず、届出によって行うことができる。

⑥ 国立大学法人東京医科歯科大学と国立大学法人東京工業大学を統合し、国立大学法人東京科学大学とする。

特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律

令和5年12月20日公布・②は公布後3月以内の政令で定める日、それ以外は公布後10日を経過した日施行

令和5年法律第89号

 ・法テラスの業務の特例
 ・宗教法人による不動産の処分等の所轄庁への通知及び公告の特例
 ・宗教法人による財産目録等の作成・提出及び閲覧の特例   等

① 著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をしたことを理由として、所轄庁等の公的機関により解散命令の請求が行われ又は事件の手続が開始された宗教法人を「対象宗教法人」といい、解散命令請求等の原因となった不法行為、契約申込み等の取消しの理由となる行為その他の行為及びこれらと同種の行為であって、対象宗教法人又はその信者等によるものを「特定不法行為等」という。

② 法テラスは、特定被害者法律援助事業として、特定不法行為等の被害者について、資力を問わず、民事事件手続の準備及び追行のために必要な費用の立替え等を行うとともに、これらの償還及び支払を猶予し、かつ、一定の場合を除き免除できるものとする。

③ 所轄庁は、相当多数の被害者が見込まれ、財産の処分等の状況を把握する必要があると認める対象宗教法人を指定宗教法人に、指定宗教法人の要件に該当し、財産の隠匿又は散逸のおそれがあると認める対象宗教法人を特別指定宗教法人に、それぞれ指定できることとし、これらの宗教法人に対し不動産の処分等を少なくともその1月前に通知させ、その処分等を公告するほか、財産目録等の作成及び所轄庁への提出を四半期ごとに行わせる。通知をせずになされた不動産の処分等は、無効とする。

④ 被害者は、所轄庁に対し、特別指定宗教法人に係る財産目録等の閲覧を求めることができる。

⑤ この法律は、施行の日から3年を経過した日に効力を失う。政府は、本法施行後3年を目途に、本法の延長及び財産保全の在り方等につき検討を加え、必要に応じ所要の措置を講ずるものとする。


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