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最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.8

『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2023年10月号」の「法律速報」に未掲載のものです。


医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律の一部を改正する法律

 令和5年5月26日公布・公布日から1年以内施行

令和5年法律第35号

・仮名加工医療情報の作成・利用に係る仕組みの創設
・匿名加工医療情報と公的データベースとの連結   等

① 仮名加工医療情報(※)の作成事業を行う者(法人に限る。)は、当該事業を適正かつ確実に行うことができるものと認められる旨の主務大臣の認定を受けることができるものとする。
 ※ 一定の措置を講じて他の情報と照合しない限り、個人を特定できないように医療情報を加工して得られる個人に関する情報と定義されている。氏名・ID等の削除は必要とされるが、匿名加工医療情報とは異なり、特異な値や希少疾患名等の削除等は不要とされる。

② ①の認定を受けた者(認定仮名加工医療情報作成事業者)は、医療情報の提供を受けた場合には、法令に基づく場合等を除き、認定を受けた仮名加工医療情報作成事業の目的の達成に必要な範囲を超えて当該医療情報を取り扱ってはならないものとする。

③ 認定仮名加工医療情報作成事業者は、主務省令で定める基準に従い、仮名加工医療情報を作成しなければならないものとするとともに、仮名加工医療情報を取り扱うに当たっては、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)等の規定による調査への回答に必要な場合を除き、仮名加工医療情報の作成に用いられた医療情報に係る本人を識別するために、他の情報と照合してはならないものとする。

④ 認定仮名加工医療情報作成事業者は、その管理する仮名加工医療情報については⑥の認定仮名加工医療情報利用事業者に提供する場合及び法令に基づく場合を除き、提供された医療情報については法令に基づく場合等を除き、第三者に提供してはならないものとする。

⑤ 認定仮名加工医療情報作成事業者から仮名加工医療情報の提供を受け、それを利用して医療分野の研究開発を行う事業を行おうとする者(法人に限る。)は、当該事業を適正かつ確実に行うことができるものと認められる旨の主務大臣の認定を受けることができるものとする。

⑥ ⑤の認定を受けた者(認定仮名加工医療情報利用事業者)は、法令に基づく場合を除き、医療分野の研究開発に必要な範囲を超えて、提供された仮名加工医療情報を取り扱ってはならないものとするとともに、提供された仮名加工医療情報を取り扱うに当たっては、その作成に用いられた医療情報に係る本人を識別するために、他の情報との照合等をしてはならないものとする。

⑦ 認定仮名加工医療情報利用事業者は、法令に基づく場合及び医薬品医療機器等法等の規定による医薬品の製造販売の承認等を受けるために提供する必要がある場合を除き、提供された仮名加工医療情報を第三者に提供してはならないものとする。

⑧ 認定匿名加工医療情報作成事業者(匿名加工医療情報作成事業を適正かつ確実に行うことができるものと認められる旨の主務大臣の認定を受けた法人)は、高齢者の医療の確保に関する法律の規定により匿名医療保険等関連情報の提供を受けることができる者等に対して、作成した匿名加工医療情報(※)について、匿名医療保険等関連情報等と連結して利用することが可能な状態で提供することができるものとする。
 ※ 一定の措置を講じて特定の個人を識別することができないように医療情報を加工して得られる個人に関する情報であって、当該医療情報を復元することができないようにしたものと定義されている。

⑨ ⑧により提供された匿名加工医療情報(連結可能匿名加工医療情報)の提供を受け利用する者(連結可能匿名加工医療情報利用者)は、その取扱いに当たっては、当該医療情報に係る本人を識別するために、他の情報との照合等をしてはならないものとする。

⑩ その他題名の改正(題名を「医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報及び仮名加工医療情報に関する法律」とする。)、認定仮名加工医療情報作成事業者の事業等に係る個人情報の保護に関する法律の適用、認定仮名加工医療情報作成事業者等の委託を受けて医療情報等を取り扱う事業者についての認定及びその規制等を定める。

令和五年三月予備費使用及び令和五年度予算に係る子育て関連給付金に係る差押禁止等に関する法律

令和5年6月2日公布・同日施行

令和5年法律第42号

・令和五年三月予備費使用及び令和五年度予算に係る子育て関連給付金の支給を受ける権利についての差押えの禁止   等

① 令和五年三月予備費使用及び令和五年度予算に係る子育て関連給付金(※)(子育て関連給付金)の支給を受けることとなった者の当該支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないものとする。
 ※ 令和5年3月予備費使用に係る子育て世帯生活支援特別給付金及び令和5年度予算に係る出産・子育て応援給付金をいう。

② 子育て関連給付金として支給を受けた金銭等は、差し押さえることができないものとする。

③ 租税その他の公課は、子育て関連給付金として支給を受けた金品を標準として課することができないものとする。

④ ①~③は、法施行前に支給を受け、又は支給を受けることとなったものについても適用するものとする(※法施行前に生じた差押え等の効力は妨げない。)。

生活衛生関係営業等の事業活動の継続に資する環境の整備を図るための旅館業法等の一部を改正する法律

令和5年6月14日公布・公布日から6月以内施行

令和5年法律第52号

・旅館業の営業者による宿泊者等に対する特定感染症のまん延の防止に必要な一定の協力の要請の仕組みの創設
・旅館業における感染症のまん延防止の観点からの宿泊拒否事由の明確化
・生活衛生関係営業等の営業譲渡による営業者の地位の承継   等

① 旅館業の営業者は、宿泊しようとする者に対し、旅館業の施設における特定感染症(※)のまん延の防止に必要な限度において、特定感染症国内発生期間(※特定感染症の区分に応じて期間が定められている。)に限り、特定感染症の感染の防止に必要な一定の協力を求めることができるものとする。
 ※ 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律に定める一類感染症、二類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症のうち一定のもの及び新感染症が該当する。

② 旅館業の営業者が宿泊を拒むことができる事由のうち、「宿泊しようとする者が伝染性の疾病にかかっていると明らかに認められるとき」を「宿泊しようとする者が特定感染症の患者等であるとき」に変更するものとする。

③ 旅館業の営業者が宿泊を拒むことができる事由として、「①の協力の求めのうち一定のものを受けた者が正当な理由なくこれに応じないとき」及び「宿泊しようとする者が、営業者に対し、その実施に伴う負担が過重であって他の宿泊者に対する宿泊に関するサービスの提供を著しく阻害するおそれのある要求として厚生労働省令で定めるものを繰り返したとき」を追加するものとする。

④ 旅館業の営業、食品衛生法上の公衆衛生に与える影響が著しい一定の営業(飲食店営業等)、理容所の営業、興行場営業、浴場業、クリーニング所の営業、美容所の営業又は食鳥処理の事業についての営業譲渡が行われた場合には、改めて許可の取得等をすることなく、譲受人は、それぞれの営業者としての地位を承継するものとする。

⑤ その他旅館業における③の宿泊拒否事由に係る指針の策定、④による営業者の地位の承継後の都道府県知事による調査の実施、宿泊者名簿の記載事項の見直し等を定める。


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