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最新の成立法律や法改正の情報をお届け!『法律の動向』Vol.13

『法律の動向』では、法律実務家向けの隔月刊誌「法律のひろば」や、自治体職員向けの月刊誌「地方財務」の掲載記事から、最新の成立法律や法改正に関する情報を厳選してお届けします!
※本記事は、「法律のひろば2024年2月号」の「法律速報」に掲載のものです。


性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律

令和5年6月23日公布・公布日施行

令和5年法律第68号

・性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進を図る目的
・国、地方公共団体及び事業者等の役割
・措置の実施等に当たっての留意   等

① 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解が必ずしも十分でない現状に鑑み、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の役割等を明らかにするとともに、基本計画の策定その他の必要な事項を定めることにより、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性を受け入れる精神を涵養し、もって性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に寛容な社会の実現に資することを目的とする。

② 「性的指向」とは、恋愛感情又は性的感情の対象となる性別についての指向をいう。

③ 「ジェンダーアイデンティティ」とは、自己の属する性別についての認識に関するその同一性の有無又は程度に係る意識をいう。

④ 性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策は、全ての国民が、その性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティを理由とする不当な差別はあってはならないものであるとの認識の下に、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを旨として行われなければならない。

⑤ 国は、④の基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

⑥ 地方公共団体は、④の基本理念にのっとり、国との連携を図りつつ、その地域の実情を踏まえ、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策を策定し、及び実施するよう努めるものとする。

⑦ 事業主は、④の基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその雇用する労働者の理解の増進に関し、普及啓発、就業環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該労働者の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

⑧ 学校(幼稚園等を除く。)の設置者は、④の基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関するその設置する学校の児童等の理解の増進に関し、家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境の整備、相談の機会の確保等を行うことにより性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する当該学校の児童等の理解の増進に自ら努めるとともに、国又は地方公共団体が実施する性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

⑨ 政府は、基本理念にのっとり、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画を策定しなければならない。

⑩ この法律に定める措置の実施等に当たっては、性的指向又はジェンダーアイデンティティにかかわらず、全ての国民が安心して生活することができることとなるよう、留意するものとし、この場合において、政府は、その運用に必要な指針を策定するものとする。

我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法

令和5年6月23日公布・公布日施行

令和5年法律第69号

・財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れ
・外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れ
・防衛力強化資金の設置   等

① 令和5年度以降における我が国の防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持に必要な財源を確保するための特別措置として、財政投融資特別会計財政融資資金勘定からの一般会計への繰入れの特例に関する措置及び外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れの特別措置並びに独立行政法人国立病院機構及び独立行政法人地域医療機能推進機構の国庫納付金の納付の特例に関する措置を講ずるとともに、防衛力強化資金の設置等について定める。

② 令和5年度において、財政投融資特別会計財政融資資金勘定から、2,000億円を限り、一般会計に繰り入れる。

③ 令和5年度において、外国為替資金特別会計からの一般会計への繰入れをするほか、同特別会計から、約1兆2,000億円を限り、一般会計に繰り入れる。

④ 独立行政法人国立病院機構は、令和5事業年度において、422億円を国庫に納付する。また、独立行政法人地域医療機能推進機構は、令和5事業年度において、324億円を国庫に納付する。

⑤ 防衛力の抜本的な強化及び抜本的に強化された防衛力の安定的な維持のために確保する財源を防衛力の整備に計画的かつ安定的に充てることを目的として、当分の間、一般会計に防衛力強化資金を設置する。この資金は、財務大臣が管理することとし、防衛力整備計画対象経費の財源に充てる場合に限り、予算の定めるところにより、使用することができる。

民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律の一部を改正する法律

令和5年6月30日公布・②及び⑥は公布日施行、それ以外は公布後9月以内の政令で定める日施行

令和5年法律第72号

・目的規定等の改正
・資金分配団体による助言又は派遣の明記
・活動支援団体の創設
・指定活用団体の業務の追加
・指定活用団体の事務に要する経費に係る特例の期限の延長   等

① 国及び地方公共団体が対応することが困難な社会の諸課題の解決並びに民間公益活動の自立した担い手の育成等を図ることを法律の目的として明記する。

② 休眠預金等交付金に係る資金の活用に関する基本理念において、経済社会情勢の急速な変化の例示として国際化の進展を追加する。

③ 資金分配団体の定義として実行団体に対し助成等に付随する助言又は派遣(民間公益活動の実施のための助言又は民間公益活動に関する知識及び経験を有する者の派遣をいう。)を行うことを明記する。

④ 指定活用団体から休眠預金等交付金に係る資金を原資とする助成等を受ける団体として、活動支援団体(民間公益活動を行う団体又は民間公益活動を行おうとする団体若しくは個人に対し助言又は派遣を行う団体をいう。)を創設する。

⑤ 指定活用団体の業務に、ⅰ資金分配団体に対し、助成等を行うこと、ⅱ活動支援団体に対し、助言又は派遣に必要な資金について助成等を行うこと、ⅲ資金分配団体又は実行団体に対し、助成等に付随する助言又は派遣を行うことを追加する。

⑥ 指定活用団体が休眠預金等交付金を人件費その他の事務に要する経費に充てることができる特例期限を5年間延長する。

金融商品取引法等の一部を改正する法律

令和5年11月29日公布・原則として公布後1年以内の政令で定める日施行

令和5年法律第79号

・有価証券とみなされる権利の範囲の見直し
・四半期報告書制度の廃止
・ソーシャルレンディング等のファンドに関する規定の整備
・契約締結前等の顧客への情報の提供等に関する規定の整備
・インサイダー取引や開示書類の虚偽記載等の違反行為をした者に対する課徴金納付命令に係る審判手続のデジタル化
・顧客本位の業務運営の確保
・資産形成の支援に関する施策を総合的に推進するための基本方針を策定
・金融経済教育推進機構の創設   等

① 有価証券とみなされる権利の定義に不動産特定共同事業契約(当該不動産特定共同事業契約に基づく権利が、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示されるものに限る。)に基づく権利を含めることとする。

② 上場会社の期中の業績等の開示について、現在の3か月ごとから6か月ごとに頻度を落とすこととし(四半期報告書制度の廃止)、上場会社に対して、四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付ける。

③ ソーシャルレンディング等のファンドについて、出資対象事業の状況に係る顧客への情報提供が契約等において確保されていない場合における募集等を禁止する。

④ 金融商品取引契約の締結前等における顧客に対する情報提供義務について、従来書面によることを原則としていたところ電磁的方法によることも可能とするとともに、金融商品取引業者等が契約締結前に顧客に対し情報の提供を行うときは、顧客の知識、経験、財産の状況及び当該金融商品取引契約を締結しようとする目的に照らして、当該顧客に理解されるために必要な方法及び程度により、説明をしなければならないことを規定する。

⑤ インサイダー取引や開示書類の虚偽記載等を行った者に対する課徴金納付命令に係る審判手続について、電磁的記録による審判手続開始決定、映像と音声の送受信による通話の方法による審判手続、電子情報処理組織を使用する方法による申立て等、電磁的記録の送達、電磁的事件記録の閲覧等に係る規定を整備する。

⑥ 顧客等の最善の利益を勘案しつつ、顧客等に対して誠実かつ公正に業務を遂行する義務を金融サービスを提供する事業者及び企業年金等の実施者に共通する義務として新設する。

⑦ 金融経済教育の推進等による金融リテラシーの向上、金融機関による顧客本位の業務運営などを推進する観点から、「国民の安定的な資産形成の支援に関する施策の総合的な推進に関する基本的な方針」を策定(閣議決定)するとともに、金融経済教育を行う「金融経済教育推進機構」を設置する。

情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための社債、株式等の振替に関する法律等の一部を改正する法律

令和5年11月29日公布・③は公布後1年6月又は3年6月以内の政令で定める日、それ以外は公布日施行

令和5年法律第80号

・特別法人出資証券のデジタル化
・非違行為をした公認会計士等に対する課徴金納付命令に係る審判手続のデジタル化
・既存株主の口座情報を求める通知に係る期間の規定の見直し
・投資法人、特定目的会社、有限責任監査法人登録簿等のインターネット公表   等

① 日本銀行の出資証券を含む特別法人出資証券を振替制度の対象として追加し、その振替手続について、規定を整備する。
② 発行者が株主等に振替株式等の交付先の口座情報を求める通知に係る期間について、発行者が株主等への通知を行う期限ではなく、株主等が発行者に口座情報を通知すべき期間を規定する。
③ 財務書類の虚偽証明等を行った公認会計士等に対する課徴金納付命令に係る審判手続について、電磁的記録による審判手続開始決定、映像と音声の送受信による通話の方法による審判手続、電子情報処理組織を使用する方法による申立て等、電磁的記録の送達、電磁的事件記録の閲覧等に係る規定を整備する。
④ 有限責任監査法人登録簿、上場会社等監査人名簿、投資法人登録簿及び特定目的会社名簿のインターネットによる公衆縦覧について、公衆の縦覧に供することにより個人の利益を害するおそれのあるものを除くための規定の整備を行う。


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