とある法律職

ー法律をもっと身近にー 略歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など。いち法律職の目を通してニュースや時事を見たときの景色を、法律コラムっぽく書いてます。 ▶ブログ「法律ファンライフ」運営中https://houritsushoku.com/

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    最近の記事

    ポテチを食べ続けると最後に残るもの

    意外と長くなかったような気もする、今年の夏も終わりの雰囲気。最近はちょっと肌寒い日もある今日このごろ。 自粛期間が長いと、外に出ないから夏が短く感じるのでしょうかね。仕事もリモートだし。 そんな休みの日にポテチを食べながらネトフリを見ていると、ふと、昔の職場で一緒だった、先輩弁護士のことを思い出しました。 最初の頃の職場の先輩だったんですけど、一心不乱に仕事をしているとき(いわゆる集中タイム)の様子に、ある特徴があったんですよね。 ポテチの好きな人で、仕事をしながら(

      • コンテンツが「資産」である法律的な理由

        昨今の情報発信ブームのなかで、コンテンツは「資産」であると盛んに言われていますが。 ふと、コンテンツが資産である理由というのは、法律・会計的にも一応説明できるような気がしたので、それをちょっと書いてみたいなと思います。 コンテンツは無形固定資産いくつか会社を転職していると、商標とかのグループ管理体制もいろいろだなあ…と思って、へー、と思いながら仕事をしているのですが。 商標権って、BS上は無形固定資産に計上されてるんですよね。 そういえば、コンテンツというのも、法律的

        • 「Dr.STONE」の通信機自作と「通信」の意味

          アニメ「Dr.STONE」、最初はあんまりピンと来なかったのだけど、科学好き少年のクロム、物づくり大好きおじいちゃんのカセキが出てきたあたりからおもしろくなってきて、結局全部見てしまった。 第2期ではついに原始の世界(文明崩壊後の世界)で通信機を自作してしまう。これをアニメのストーリーに持ってくる発想がすごい。ここからどうやってつくんのよ、と見ている方もちょっとワクワクしてしまう。 ツカサとの戦いに備え、「バトルは情報戦から!」という感じで、でっかい通信機を自作して背中に

          • 「ブルーピリオド」と著作権クレジット

            「ブルーピリオド」(山口つばさ)おもしろい。遅ればせながら読んでるけどおもしろい。 親族で美大に行った人がいて(東京藝大ではない)、何となく予備校らしきものに行ってデッサンしていたのは知っていたんですけど、こういうことをしていたのか…と思うと、今更ながら感動したり。たしかに、石膏像のデッサンが量産されている時期などがあったような気がする。 YOASOBIの「群青」の原作にもなっているように、青春群像劇という感じで(筆者の印象)、シンプルにすごくおもしろいのだけど、 作中

            「柱合会議」に見るお館様の名裁きと証明責任

            GWの余韻もあり、アニメを見ながらブログをのんびり書いていると、AbemaTVで「鬼滅の刃」の名場面のひとつ、柱合会議(第23話)が流れてきた。 やっぱ面白いやん…と思いながら、お館様の裁きを見て、話としても面白いし、けっこう説得力もあるよなあ…と思って、 なぜだろう?もしガチで法律的に考えてみたときにどうなるのだろう、ということを考えてみたので、試しに書いてみたいと思う。 柱合会議(第23話)というのは、お館様を迎えての「柱合会議」(鬼殺隊最強の剣士である「柱」たちが

            リモートワークのときにテンションを上げる!おすすめのアニメ曲6選

            すっかりリモートワークにも慣れてきた昨今、軽く音楽をかけながら仕事をしている人も多いのではないかと思う。 無音よりも少し雑音があった方が集中できるという話も聞いたことがあるし(ほんまかどうか知らんけど)、ストレスが少ない感じがするので、自分も、普段は、radikoかスタバジャズを小さい音でかけている。 しかし、普通のテンションでなく、気合いを入れたいときや、なんか今日は調子が上がらない、というときもある。そういうときにエナジーを充填するときのアニメ曲・おすすめ6選を書いて

            「パラディ島の悪魔」と正義は人それぞれ

            アニメ「進撃の巨人」がファイナル・シーズンを迎えてますね。コレほんと面白い。映像も疾走感があってカッコいい。終わると思うと悲しい。 そのエピソードのなかで、印象的だったシーンがあった(エピソード5-66:強襲)。 「パラディ島の悪魔」と正義の相対性調査兵団が、立体起動装置でヒュンヒュン飛び回りながら「顎(あぎと)の巨人」に襲い掛かる場面を、巨人側の視界から描いたところ。 こいつら、人間のくせに巨人であるオレを殺そうとしているのか…!これが「パラディ島の悪魔」か! って

            法務が早すぎる

            「探偵が早すぎる」というドラマがあるのだが(2018年)、サブスクを見てるとリコメンドに出てきたので、久々に見てみた。 滝藤賢一さんと広瀬アリスさんのW主演のドラマで、遺産争いで命を狙われる主人公を探偵が守るという設定のコメディなのだが、半沢直樹にも負けず劣らずの2人の顔芸もあったりして(笑)。当時好きだった。 だいたい推理ドラマは、コ○ンくんでも、金◯一くんでも、人が死んでから出てくるので、冷静に考えると屍が累々である(笑)。しかし、「探偵が早すぎる」は、事前事前に探偵

            名称の権利化とブランディング戦略(後編)|大学の名称変更と不正競争防止法

            前の記事では、名称の権利化とブランディング戦略【前編】ということで、商標権による名称の保護について書いてみました。 本記事では、じゃあ商標登録してないときは何もいえないの?という話を書いてみたいと思います。 結論からいうと、このときは不正競争防止法という別の法律での保護を検討することができます。これは商標法とはまた別の法律ですので、商標登録していないときでも使うことができます。 これも少し前になりますけど、こんなニュースがありました。 ▷「京都芸術大」名称使用可 市立

            名称の権利化とブランディング戦略(前編)|お金配りと商標権

            今回は、名称の権利化はブランディング戦略だと思う、という話を書いてみたいと思います。 商標って法律の話でしょ、法務部さんお願いね…みたいな感じのこともあったりするかなと思うんですけど、そういうだけの話ではない(と思う)んです。 名称の権利化は、経営戦略の話と密接に絡んでいると思うんですよね。 潜在的な可能性も含めてどの方面に進出し、そのうちどの方面に重点的にコストをかけるか、という選択の問題が発生するので。 名称を法的に保護するものっていくつかあるんですけど、中心は、

            結婚しないと「いけない」の?|「結婚」制度をシステム的に見たときの意味

            先日、元でんぱ組.incの最上もがさんが妊娠を発表されてましたね。ニュースによれば、結婚する予定はないということでした。 ▷最上もが、第1子妊娠を報告「新しい命を授かりました」 結婚の予定なし、今後の活動は“マイペース”に(オリコン)(2020/11/12) 理由はわからないですし、筆者自身は是とか非とかの感想はないですが、このニュースを見たとき、これから結婚しないという選択をする男女は増えていくんだろうなぁと思いました。 結婚の社会的意味は普遍的になくなることはないと

            【改正論レビュー】発信者情報開示制度の改正論|11月最終取りまとめ案

            ネット誹謗中傷の問題に関して、発信者情報開示制度の改正論が引き続き注目されていますね。 先日、総務省の「発信者情報のあり方研究会」から、11月を目途といわれていた最終取りまとめの案が出されていました。 ニュースとしては、たとえばこちら。 ▷ネット中傷、訴訟しなくても投稿者を開示 総務省が検討朝日新聞デジタル(2020/11/12) 最終とりまとめ(案)の原文は、こちらから。 ▷発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回)配布資料|総務省HP(2020/11/12

            同一労働同一賃金って何?|均等待遇・均衡待遇の考え方

            最近、いわゆる非正規訴訟と呼ばれる一連の事件の判決がニュースになったりして、同一労働同一賃金という言葉を改めて見聞きすることも多くなった気がします。 「同一の労働なら同一の賃金にせよ」ってことなんでしょ?と言われれば、まあそうなんですけど笑、もうちょっと踏み込んで説明しつつ、気軽に読めるものってあまりない気もします。 ということで、法律ニュースのプチ解説のつもりで、若干だけ深堀りしてみたいと思います。 同一労働同一賃金って何?最近の法改正で突然出てきたように見えますが、

            「ひき逃げ」って法律的にはどういうもの?|道路交通法上の救護義務違反

            「ひき逃げ」って呼び方はよく聞きますし、ニュースでもちょくちょく見かける気がします。 が、意外と、法律的にどういう中身なのかというのは、あんまりニュースやネット記事で見ない気もします。 ということで、これは法律的には何なのか?ということを書いてみたいと思います。 道路交通法上の救護義務違反「ひき逃げ」というのは社会的な通称で、法律上は、道路交通法上の救護義務違反・報告義務違反というものになります。 報告義務違反は物損の場合でも問題になり得るので、厳密には、救護義務違反

            ドコモTOBのリーガルの話|9/30ツイートの続き

            ドコモTOBの件で、9/29適時開示を見ると、リーガルが豪華すぎて思わず吹いてしまい(笑)、以下のようなツイートをしました。 Twitterだけだとちょい書き足りないので、続きをnote に書いてみたいと思います。 ******************** 上記ツイートの説明的に、若干だけ業界事情に触れると、 いわゆる「◯大法律事務所」のネームバリューはいわずもがなという感じです。 <関東の5大法律事務所> NA(西村あさひ法律事務所) NOT(長島・大野・常松法律

            昭和の価値観とインフルエンサーの「根性よりも仕組み化」論にみる憲法の価値相対主義

            最近は、インフルエンサーの方などの間で、意思の強さや根性に頼るべきではなく仕組み化するべきだ、というのが流行ってますね。 こないだからちょくちょく、Kindleアンリミテッドで懐かしの「魁!!男塾」とか「将太の寿司」を全巻読めることに気づいて、久々にイッキ見したんですけど、まさに「昭和の価値観」という感じで、努力・根性・勝利という感じだった。 江田島塾長の価値観は、「わしが男塾塾長江田島平八である!」に集約されている笑。彼は、宇宙空間から宇宙服と酸素ボンベだけで地球に帰還