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惑わしの音のかんざし ~魔法骨董屋【鈍色】第二話~

[店主の日記] ☆ : 絹糸のように細い雨が降る夜。
店主は再び魔法骨董の声を聞くために、自分用の書き物机の、鍵付きの引き出しを開け、蜂蜜色のペンデュラムを耳につけた。

[メイン] ☆ : 道具の形:身につけるもの

[メイン] ☆ : 魔法の効果:操縦

[メイン] ☆ : 1d6 【魔力】 (1D6) > 1

[店主の日記] 店主 : やあ、こんばんは。

[店主の日記] ☆ : 店主が声をかけたのは、その手の中で輝く「かんざし」。雨雲と雨粒を模したらしい意匠が、しゃらりと音を立てた。

[店主の日記] 魔道具 : 「・・・私の声が、聞こえるのですか」

[店主の日記] 店主 : ええ。

[店主の日記] 魔道具 : 「・・・驚いた。惑わしの音ではなく、私の声が聞ける人間がいたなんてな」

[店主の日記] 店主 : 『惑わしの音』?

[店主の日記] 魔道具 : 「私の雨粒が揺れる度に鳴る、この音です。これのあるせいで、私はこの店へ売られたのだから」

[メイン] ☆ : 1d6 【物語】 (1D6) > 4

[店主の日記] 店主 : その話を、詳しく聞かせてもらっても?

[店主の日記] 魔道具 : 「構わんよ」

[メイン] ☆ : 黒:持ち主やその隣人、あるいはあなたにとって好ましくないこと。
5:持ち主が代わった時のこと。合意はあったのだろうか?
(スペードの5)

[店主の日記] 店主 : ありがとう。ではまず、今までにあなたの持ち主が変わったことはあったのかどうかを聞かせてください。

[店主の日記] 魔道具 : 「それはそれはたくさんの回数があった。もちろん私の同意など無い。私を身につけた者は、どんな人間でも虜にする、なんて噂が立ってな。幾度も幾度も人から人へ、その手を渡り歩いたよ」

[メイン] ☆ : 赤:持ち主やその隣人、あるいはあなたにとって好ましいこと。
Q:修理した人間のこと、その形を直したのか?それとも魔力を込めなおしたのか?
(ハートのQ)

[店主の日記] 店主 : ・・・あなたには複数回、魔力の込め直しがされた痕跡があるように思うのですが。

[店主の日記] 魔道具 : 「ああ、その通りだ。私は今までに3回、いや4回だったか、とにかくそのくらいの回数、私を作った魔具職人の元へ戻ったことがある。その時の創造主の嬉しそうな顔ったらなかったね。私が世の役にたてていると思っていたようでね、『自分の手で世界を良い方へと変えているのだ』と考えていたようだよ」

[メイン] ☆ : 赤:持ち主やその隣人、あるいはあなたにとって好ましいこと。
3:人間があだ名をつけたり、新たな使い道を探していた。うまくいったのだろうか?
(ハートの3)

[店主の日記] 店主 : それはあなたにとって、嬉しいことだった?

[店主の日記] 魔道具 : 「全くもってその通り! 私の音に『惑わしの音』という字名をつけられたのも、きっとそれだけ持ち主達が、己の望みを叶えることができた証だろうよ」

[メイン] ☆ : 黒:持ち主やその隣人、あるいはあなたにとって好ましくないこと。
A:どのようにして造られたのか?魔力を込めながら造られたのか?職人の手によって造られてから魔法をかけられたのか?
(スペードのA)

[店主の日記] 店主 : そう。ではきっと、あなたは皆の幸福を願って作られたのでしょうね。

[店主の日記] 魔道具 : 「いいや、残念ながらそうではない。私は嫉妬から生まれたんだ。周囲にいる魔具職人や魔法鍛冶達に、何としてでも追いつきたいってね。私の部品は一つ一つに魔力が込められているだろう? これは創造主が、生まれつき少しの魔力しか持っていなかったからなんだ。そうして作られた魔具が、創造主が死んだらどうなるか。それは知っているだろう?」

[店主の日記] 店主 : ・・・あなたに魔力を注ぎ足せる者がいなくなったということは、あなたの魔力は消えてゆくしかない。

[店主の日記] 魔道具 : 「そうだ。部品一つ一つに魔力を込めるのは、それこそ膨大な労力が必要だからな。そのうえ元々そこに込められていた魔力と反発しないように注ぎ足さなければならない。私の創造主は魔力が少ない代わりに、とても繊細な方法で魔力を込めるのが得意だった。それ故に、同じ技術を持つ者が見つからなくてな」

[メイン] ☆ : 最期の質問:あなたが誇りに思っていることは?
:あなたが好きになったものは?
(ハートの10)

[店主の日記] 店主 : そうだったのですね。では、最期に。あなたの好きだったものと、あなたの誇りを教えてくれませんか。

[店主の日記] 魔道具 : 「そりゃあ、私の創造主に作られたこと、そして創造主に愛されていたことさ! 私は自分の出自を誇りに思っている。創造主のお気に入りの作品としてこの世界に存在できる私自身のことが大好きだ。だから、私は、ここで・・・眠らなければならないのが、少し、寂しいな・・・でも、眠れば、私も創造主の元へ、逝けるのだろうか・・・」

[店主の日記] ☆ : それきり、魔性とまで云われたかんざしは、もう言葉を発することは無かった。

[店主の日記] 店主 : ・・・最期に、ここへと来てくれてありがとう。どうか、ゆっくりと休んで。

[店主の日記] ☆ : 店の外では、先程までの優しい音色が噓のように、空よりの水は力強く地面を蹴って、その音を響かせていた。

~第二話、終了~

第二話、プレイログ

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