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養生訓 巻第五 五官 鳳凰堂流解釈㉑

原文を現代文に改変
牙齒を磨き、眼を洗う法、朝ごとに先ず熱湯にて眼を洗い温め、鼻中を清め、次に温湯にて口をすすぎ、昨日よりの牙齒の滞りを吐き捨て、干して乾ける鹽を用いて、上下の牙齒と、はぐきをすりみがき、温湯を含み、口中をすすぐ事二、三十度、その間に先ず別の碗に温湯を、あら布の小篩を以て濾して入れ置き、次に手と面を洗いおわりて、口に含める鹽湯を、右のあら布の小篩に吐き出し、濾して碗に入れ、その鹽湯を以て目を洗う事左右各十五度、その後べちに入れ置きたる碗の湯にて目を洗い、口を漱ぐべし。これにて終わる。

毎朝かくのごとくにして、起こりたりなければ、久しくして牙齒動かず。老いても落ちず。蟲食わず。目明らかにして、老いに至りても目の病なく、夜細字を読み書く。これ目と齒とを保つ良法なり。こころみてそのしるしを得たる人多し。

予も亦この法によりて、久しく行う故、そのしるしに今八十三歳にいたりて、猶夜細字を書き読み、牙齒固くして一も落ちず、目と齒に病なし。毎朝かくの如くすれば、久しくして後は、習いて難しからず。牙杖にて牙齒を磨く事を用いず。

鳳凰堂流意訳
歯を磨き、眼を洗う法
毎朝、先ず熱湯で眼を洗い温め、鼻中を清め、次に温かい湯で口をすすぎ、昨日から残っている歯の中の滓を吐き捨て、干して乾いた塩を用いて、上下の歯と、はぐきをすりみがき、温かい湯を含み、口中を2〜30回すすぐ。
その間に先ず別の碗に温湯を、あら布の小篩で濾して入れ置き、次に手と顔を洗いおわったら、口に含んだ塩湯を、右のあら布の小篩に吐き出し、濾して碗に入れ、その塩湯で目を洗う事左右各15回、その後別に入れ置いた碗の湯で目を洗い、口を漱ぐと良い。これだけで終わる。

毎朝このようにして、怠りがなければ長期間行う事で歯はしっかりとし、老いても落ちなくなり、虫歯にもならない。

目ははっきりと見え、老いても目の病なく、夜に細字を読み書く事ができる。

これが目と歯を保つ良法である。試して結果が出ている人が多い。

かくいう私(貝原益軒)も、この方法を長く行っているからか、その証拠に現在八十三歳であるが、いまだに夜細い時を読み、書く事ができ、歯は堅く1つも落ちていない。目と歯の病がないのである。

毎朝このようにすれば、長く続けると習慣となり難しいことではない。爪楊枝や歯ブラシで歯を磨く事をしない。


鳳凰堂流解釈
前回、鳳凰堂流で大切な事は違うと書きましたが、貝原益軒も今回の項に書かれています。
しっかりと全文読んでから書くべきでしたが、1つずつゆっくりと読んでいるからこそ、分かる機微があります。

歯磨きは今の方法とは違いますが、鳳凰堂はこの方法の方が良いと感じるので、これから実践しようと思います。

目洗いも加えて。

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