養生訓 巻第四 慎色慾 鳳凰堂流解釈②

原文を現代文に改変
男女の交接の期は、
孫思邈が千金方に曰く、
人年二十者は二十日に一泄す。
三十者は八日一たび泄す。
四十者は十六日に一泄す。
五十者は二十日に一泄す。
六十者精を閉じて泄さず。もし體力盛んならば、一月に一たび泄す。
氣力すぐれて盛んなる人、慾念をおさえ堪えて久しく泄さざれば、腫れ物を生ず。

六十を過ぎて慾念起こらずば、閉じて泄すべからず。

若く盛んなる人も、もしよく忍んで一月に二度漏らして、慾念起こらずば長生なるべし。

今案ずるに、千金方に言えるは、平人の大法なり。

もし性(生まれつき)虚弱の人、食少なく力弱き人は、この期に関わらず、精氣を惜しみて交接稀なるべし。

色慾の方に心うつれば、悪しき事癖になりて止まず。法外のありさまはずべし。ついに身を失うに至る。慎むべし。

右千金方に、
二十歳以前を言わざるに、意(こころ)あるべし。

二十以前血氣生發して、いまだ堅固ならず、この時しばしば漏らせば、發生の氣を損じて一生の根本弱くなる。

鳳凰堂流意訳

男女の夜の営みのタイミングについては、孫思邈が千金方に次のように書いている。

二十の者は二十日で一回出す。
三十の者は八日で一回出す。
四十の者は十六日で一回出す。
五十の者は二十日で一回出す。
六十の者は精を閉じ出さず。もし体力が盛んであれば、1ヶ月に一回出す。

氣力が非常に盛んな人は、慾念をおさえ堪えて長い間出さなければ、腫れ物ができる。

六十を過ぎて慾念が起こらなければ、閉じて出してはいけない。

若く盛んな人も、もしよく堪えて1ヶ月に二回漏らし、慾念が起こらなければ長生きする。

今このことを考えると、千金方に書いているのは一般的な大法である。

もし性質(生まれつき)が虚弱の人の場合、食が少なく力が弱い人は、このタイミングに関わらず、精氣を惜しんで夜の営みや自慰をなるべく少なくするべきである?

心が色慾にうつれば、身体に悪い事が癖になりて止まらなくなる。法から外れた様相は恥ずべき事であり、最終的には全て失う事になる為、慎むべし。

以上は千金方では二十歳以前のことを書いていないが、その意図を汲んで考えると、二十以前は血氣が生發する時期であり、まだ堅固になっていない。この時にしばしば漏らすと、發生の氣を損じ一生の根本が弱くなるのである。

鳳凰堂流解釈
生命力の根幹である腎気の盛衰、養生で1番大切なのはこの精力の温存、だしどころ。

ここでは男性の精子について話していますが、女性についても考えておくべき。

精力(腎精)は言わば、命の滴(しずく)。

使いすぎると、腰、足首、顎、歯等に必ず影響が出てきます。

陰陽転化して、腰、足首、顎、歯等に異常が起これば腎精(莫大なエネルギー)の使いすぎに注意すると言う事が大切です。

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