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養生訓 巻第五 五官 鳳凰堂流解釈㉔

原文を現代文に改変
瓦火桶(かわらひおけ)と云う物、京都に多し。桐火桶の製に似て大なり。瓦にて作る。

高さ五寸四分、足はこの外なり。縦のわたり八寸三分。横のわたり七寸、縦横少長短あるべし。或いは形丸くして、縦横なきもの良し。

上の形まるき事桐火桶のごとし。めぐりにすかしまどありて火氣をもらすべし。

上に口あり。ふたあり。ふたの廣さ横三寸、たて三寸餘なるべし。まるきも良し。

ふたに取っ手あり。ふた二、三の内、一は取っ手なきが良し。やわらかなる炭を入れ置き、用いんとする時、宵より小なる炭火を二、三入れて、臥さんとする前より、早く衾の舌に置き、伏して後足を伸べて温むべし。

上氣する人は速く遠ざくべし。足温まらば火桶を足にて踏み退け、足を引きて屈め伏すべし。

翌朝起きんとする時、又足の伸べて温むべし。

又ふたの熱きを木綿袋に入れて、腹と腰を温む。ふた二、三こしらへ置き、とりかえて後腰を温むべし。取っ手なきふたを以ては、腰を温む。腰の下に敷くべし。温石より速やかに熱くなりて自由なり。急用に備うべし。

腹中の食滞、気滞を巡らして、消化しやすき事、温石並びに藥力より早し。甚だ要用の物なり。この事知れる人少なし。

鳳凰堂流意訳
京都には瓦火桶というものが多くある。桐火桶に似て大きく、瓦で作る。
高さ五寸四分、足はこの外にある。縦のわたり八寸三分。横のわたり七寸、縦横に少し長短ある方が良い。或いは形丸くして、縦横均等なものが良い。
上の形まるさは桐火桶と同じように。
周りに透かし窓があり、火氣の状態が見える。上に口があり、ふたがある。

ふたの広さ横三寸、たて三寸あまりになるのが良いが、まるくても良い。

ふたに取っ手がある。

ふた二、三の内、一つは取っ手がないのが良い。

やわらかな炭を入れて置き、用いようとする時、宵から小さな炭火を二、三入れて、寝る前に、早く布団の下に置き、横になった後足を伸ばして温める。

上氣する人は早めに遠ざけると良い。

足が温まったら火桶を足で踏み退け、足を引いて曲げ寝る。

翌朝起きようとする時、又足を伸ばして温めると良い。

又ふたが熱い時に木綿袋に入れて、腹と腰を温める。

ふたを二、三こしらへておき、とりかえて後腰を温めると良い。

取っ手がないふたで腰を温める。
腰の下に敷くと良い。

温石より速やかに熱くなり自由度も高い為、急用に備えておくと良い。

腹中の食滞や気滞を巡らせて消化しやすくなり、温石や薬より早い。

非常に重用されるものだが、この事を知っている人が少ない。


鳳凰堂流解釈

瓦火桶と言うものが、貝原益軒イチ押しの商品のようですが、現在では湯たんぽ、カイロ、とりわけ最近はUSB充電のカイロ等がある為、不要のものとなっています。

注意が必要なのは、何をやるにしても汗をかくと気は消耗しているので、位置を変えたり、止めたりする必要があります。

            養生訓巻五 五官 鳳凰堂流解釈 終

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