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(3)医心方 巻二十七 養生篇 導引第五 鳳凰堂流解釈

養生内解釈からの引用
日の出に向かって薬指を揉んで温め、その指で目を押さえる。14回行ったら止める。

また、黄昏時になったら、目頭、目尻の四ヶ所を指さす。これを「存神光満」と呼ぶ。

また、魂の門を捉え、魄の戸を押さえること。これを握固と呼ぶ。握固は人の魂魄を安定させる。魂門、魄戸は両手の母指の付け根の内側と、爪甲の近くにある。ここから精気を外に漏らさないようにしっかりと備える事が、視力を保ち、歳を取らず、白髪を黒髪に戻す方法となる。もししっかりと終日親指を握っていれば、邪気も様々な毒気も体内に入る事ができない。

鳳凰堂流解釈
日の出に向かう事は、太陽の光を充分に浴びる事で、現代的には光のエネルギーに対しての効果だけが言われがちですが、温かな日差し、特に日の出は身体に希望や幸せなどのプラスイメージを浴びる事にもなります。
薬指は東洋医学では心包経という経絡が関わる指。心を包む膜へエネルギーを充満させた上で目をケアします。

黄昏時に目頭、目尻を押さえる意義は、

目は人体で1番気を使う場所。疲れも早いので、できるだけ気を送る為に経穴に意識を置くためで、目頭は晴明、目尻には太陽と言う経穴があります。

鳳凰堂はこれによって1日の間に疲れた目、前頭骨、鼻骨等を緩めて、視神経の過剰な働きをリセットするものと考えています。

疲れ目の時に目頭をギュッと押さえるようなものではなく、あくまでも軽く触れてそこ(目)にある神に光を満たす(存神光満)為に行います。

魂の門、魄の戸については、東洋医学では背中の経穴(ツボ名)で知られていますが、ここでは母指の爪甲と母指の付け根(遠位中手骨)にあると書かれているので別のものです。

母指は手太陰肺経が流れるところですので、東洋医学的には肺の粛降(気を降ろす事)をコントロールすることで、妄りに気を出さないようにするものだと考えています。

またいつも暁に向かって眼をマッサージし、終わったら歯を36回叩く。そして舌で丹念に歯を14回以上撫でる。その後口中をうがいし、唾液を口に満たして3回飲んで止める。また14回歯を叩いたら、一度で一気に1回飲み、これを三回行って止める。

また、朝起きたら東を向いて坐り、両手を摩擦して温かくし、その手で額の上から頭の頂まで撫でる。これを18回行ったら止める。存泥丸という。
また起床した際に外が澄みきって美しいようであれば、両手で両耳の端を挟み、その手を14回上下させる。こうすると耳が遠くならない。

また手を擦って熱くし、その手で顔を上から下へ撫でる。これによって邪気をなくし、顔を輝かせる。

また手を擦って熱くし、身体を上から下へ撫でる事を乾浴という。この方法は、風邪や寒さ、流行の熱病、頭痛になりにくくなり、病気になりにくくなる。

鳳凰堂流解釈
玉泉、甘露を作り出す為の過程を書いています。
朝日に向かって眼をマッサージする。
鼻から息を吸い、口蓋の奥に溜めた後、口から吐く。その後、歯を叩く。ここで口腔内の気を動かし、濁気を散らせてうがいをする。濁気が少なくなったらまた舌で口中を動かす。
舌は心の穴と呼ばれ、自身の心が一意専心身体に向くと同時に、舌の根にある経穴、現代では金津と玉液と呼ばれる部位がしっかりと動き、津液(唾液)が出ます。この唾液を下丹田まで送るようなイメージで飲み込むまでがセットになります。

次は、頭のマッサージについて。太陽のエネルギーを掌にいただく事は、朝日に向かって眼をマッサージする事と同じ意味があります。頭部は前から後ろへ、顔面部は中央から外方へ流れるように触るのが基本となり、気の流れに準じています。女性や髪の多い方であれば櫛で梳かすのも良いでしょう。

次は耳のマッサージについて。ここでは耳挟んで上下に動かす事が書かれていますが、外方へ軽く引くのも良いです。

そして、顔、身体全体と上から下へ触っていく。妄りに押したりするよりも触って流すだけの方が良いです。但し頼りない、押したいという人は徐々に触れるだけにしていくと良いです。

服気導引抄の説
就寝してから起床する際には、てぬぐいや厚手の生地の白い絹で首の付け根周りや耳の後ろをぬぐうこと。円を描くように行い、ほかほかするまでやる。櫛で梳かす場合は時間や場所など限定せず、出来るときにやれば良い。


鳳凰堂流解釈
ここは解釈するまでもありませんが、肌触りの良いもので、首周りや耳の後ろを拭うという行為は、使い終わった気を優しく元へ戻してあげる意味合いを持っています。ほかほかしてきたら、気が巡り血流がついてきている証拠です。

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