訪問リハビリと私
私は作業療法士の資格を取得した後、地方にある医療の現場で10年従事。
その後、法人内の介護保険部門へ配属になりました。
そんなこんなで通所・訪問リハビリで4年以上経過したんですが、医療・介護それぞれのリハビリに携わったことで、より訪問リハビリを魅力に感じたというお話をしていきたいと思います。
医療と介護の現場
医療の現場で働いていて感じたことは、病院や施設内で行うリハビリの重要性と限界です。
日々のリハビリ介入によって対象者の機能を上げ、ADL(日常生活動作)の自立度を高め、在宅環境の指導を行い、退院してもらう。
しかし、在宅環境でその能力を維持しながら生活していくことがどれだけ難しいかということを、医療現場にいる人は気づきにくいです。
介護保険分野のリハビリに関わることに不安はありましたが、利用者が実際に過ごしている環境で直接介入できるところに大きな魅力を感じて、移動を希望していたのですが5年目に回復期病棟の設立、7年目に訪問リハビリのOT・PTの廃止、8年目に地域包括ケア病棟の専従配置があり、希望が通らないまま年月が過ぎていきました。
介護保険分野への配属
10年目にして、通所リハビリへという思わぬ形で介護保険分野での配属が決まりました。
そこでは、医療保険でのリハビリと違うことばかりでした。
・介護保険と医療保険という枠組みの違い
・在宅生活を続けられるように支援を行うという持続的な目標
・要支援もしくは要介護がついている方が利用者※疾患名が必要ない
・通所リハビリは生活の一部として、交流の場として
・集団リハビリや自主トレ・作業活動の場所を提供
・地域サービスとしての立ち回り
通所リハビリは個別リハビリではないため、どうしても一人一人に対して関わってあげられる時間が少ないです。
自分が個人的に3人以上の集団が苦手だったこともあり、兼務する形でも訪問リハができないかと考え始めました。
訪問リハビリの再始動、働く上での魅力は・・・
通所リハビリ配属になったものの、訪問リハビリへの想いはあり、
経営陣に掛け合って訪問リハビリを再始動させてもらいました。
そして、利用者さんと関わる中で悩みは尽きませんが、
訪問リハビリをやっていてよかったという魅力を感じています。
・自分でリハビリというサービスを売り込む必要がある
まず、ケアマネさんや本人・家族に訪問リハビリというサービスがあることを知ってもらうことから始まります。
医療現場では、ほとんど地域の方と関わることがないので新たな交流、発見がありました。
・利用者の生活空間で困っていることに対応できる
これが私の一番やりたいことでした。
病院を退院したものの、できないことが多くて困っているという声を多く聞きます。すぐには解決できないこともありますが、日々変わっていく身体状況を踏まえて、どう動いたらいいかを一緒に考えていくこと。
そして、利用者さんが動くことへの自信をつけてもらえることが嬉しくてたまりません(笑)
・個別リハビリで満足度が高く、感謝の言葉をもらえる
マンツーマンのリハビリは利用者にとっても満足度が高くなりやすいと思います。
「いい人が来てくれてよかった」
「歩く時も楽になって、買い物にも出られるようになった」
「話せる人がいて少し落ち着いた、ありがとう」
利用者さんと関わり、何らかの効果を実感できるようなリハビリをしなければという責任感が強くなります。それに応えるように感謝の気持ちや利用者さんの笑顔を返してくれます。それによって、私たち療法士が励まされ、元気をもらえているような気がします
・身体のリハビリだけがリハビリだけではない
「お話しすることもリハビリ」と言ってくれる利用者さんもいます。
精神的な部分が身体や動作に大きく影響することもわかっているので、それもそうかと思います。
もちろん、身体の機能向上も大切なことですが、不安を取り除くことや自信をつけてもらう(自己効力感を得てもらう)こと、地域サービスの紹介、病気についての知識や栄養面などなどの利用者の教育。
自分で時々『なんでも屋さんなのかな?』と思うこともあるくらいですが、幅広い面で利用者さんをサポートできることもこの仕事ならではと思います。
・その人の生活が最重要で面白みがある
訪問リハビリを行っていると、利用者の生活で面白いエピソードに出会います。
90歳を超えても除雪機を使って除雪をするので、雪が待ち遠しい
車いす生活でマッサージばかり希望していたのに、歩けるようになってからはホールまで歩くようにしていると積極的な発言が増えた
パチンコ行くのが楽しみで、負けたときは店員に給料を払ってきたと言う
こういった利用者さんの発言を聞くと、嬉しい気持ちになったり、ほっこりしたり、生命の輝きというか人生をしっかり生きているなぁと感じるんです。
・最後に
医療・介護のリハビリに携わったうえで、
地域の中の療法士として立ち回り、利用者をやりたいことの手助けができ、感謝までされる。自分にとっては病院勤務以上にとてもやりがいのある仕事だと思っています。
私の恩師は「作業療法士は生活療法士だ」と言っていましたが、それを体現しているのが訪問で携わる療法士なんだと自信をもって言いたいと思います。
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