見出し画像

自主トレーニングの壁

リハビリを提供する中で、頻繁に立ちはだかる壁があります。
老若男女すべての人に立ちはだかる壁といってよいかもしれません。
それは「運動習慣をつける」ということです。
今回は、心理面から運動習慣をつけてもらう一助を考えていきます。

運動習慣をつけるということ

理想的な体形や健康的な体でいるために、「運動しないと!」と思い立つことがありませんか?
しかし、始めるまでに腰が重たかったり、始めたものの数日で辞めてしまったりすることが何度あったことでしょうか?
これは、何かを習慣にしようとする人にとって大きな壁であります。
考えてみてほしいことは、自分でも開始・継続することが難しい運動を利用者さんに「やってくださいね」という言葉かけだけではやってもらえなくて当然だということです。

しなきゃいけないのはわかっているけど・・・

みんな「運動したほうがいいに決まっている」ということは分かっているんです。でも、できない人が多いんです。
そこで必要になってくるのは「気合!」ではありません。
運動を始めやすくするためのちょっとしたテクニックです。

トレーニングにかける時間、強度、頻度を指導する

ある研究では、トレーニング内容だけ指導した場合とトレーニングの内容に加えて実施時間・強度・頻度を指定した場合、後者のほうが自主トレーニングが定着したという研究があります。
メニューだけ指定するのではなく、どの程度やったらよいか?ということが明確になることで、やる人も能動的に注意しながら行ってもらえるようです。

トレーニングのタイミング

いつやるのか問題ですね。
何時にやろう!と決めてしまうと、気づいたら時間が過ぎていたなんてことが頻繁に起こります。
そこで、
目が覚めたら→そのままベッドの上で準備運動
食後の内服を飲んだら→運動を始める
というように、「○○した後に」と普段していることにプラスして習慣づけたい運動を行うようにすると良いです。
もしくは、日常生活の中で意識したり追加して動いてもらうのもポイントです。
・用を足しに一度立ち上がったらすぐに座らず、余計に歩いてみる。
・調理中時間があるときにつま先立ちをやってみる
といった感じですね!

開始までは短い時間で

これも大事な部分で、準備が必要な運動は始めるのが面倒になります。
自分でも考えてみてください?
すぐ近くにあるスマホはすぐ手に取って動画をみたりするのに、
ランニングのために着替えてとか、トレーニング用品を2階に取りに行って・・・ってよっぽど運動へのモチベーションが高くないとやらないですよね?(笑)
そう、ここで言いたいことは、
運動するために必要な物は目につく範囲に置いておくこと、
比較的すぐに取り組めるように手順は簡単なものにすること

がポイントです!

フィードバックを定期的に

闇雲に頑張ることは、モチベーションの低下を招きます。
ただでさえ加齢とともに身体機能は徐々に低下していきます。
そんな時必要なのが、
利用者さんが自主トレを報告してくれた時のセラピストの心配りだと思います。
自主トレ指導したものの、実施経過を追わなければ「まずやらないもの」と思ったほうが良いです。
指導した後日に、ぜひ「やってみましたか?」と聞いてあげてください。
返ってきた答えが「やってみた」なら、わからない部分がないか聞いて、少しやっておくと後々にいい影響があるということをフィードバックし、この調子で継続していきましょう!とモチベーションを維持させることが大切です。
もしも、「やってない」と答えた場合、少なくともセラピストが指導してくれたのにやらなかったという事実が残ります。
はじめの「やってみた」を引き出すまで、わかりやすい資料作りをしてみたり、自主トレの難易度を調整したり、家族と一緒に行ってもらえるよう家族にも指導してみたり、多方面からアプローチしてみましょう!

最後に

色々と手を尽くしても、自主トレを生活に取り入れられない人ももちろんいます。
日常場面で動いている方であれば、比較的運動量が保たれているので良いのですが、ほとんど自分から動かない場合は、受動的なリハビリを求めている可能性があるので、運動に対する認識から変えていかないといけません。

ですが、少しでも「自分で動いてよくならないと!」と思ってもらえたら、上記のようなポイントを押さえながら指導すると、生活に取り入れてもらえる可能性が上がるかもしれませんね?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?