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訪問リハビリテーションってどんなサービス?

私自身訪問リハビリテーション(以下訪問リハビリ)に携わって数年が経過しますが、
「訪問リハビリっていうものがあること自体を知らなかった」
「リハビリって聞くけど、どんなことやるのか心配だった」

という利用者さんの声を耳にします。

そもそも訪問リハというサービス自体を知らないという方は多いです。
ということで今回は、訪問リハはどんなサービスなのか?対象者や費用、などなど基本的な情報を解説します。

訪問リハビリテーションのサービス内容

訪問リハビリは理学療法士/作業療法士/言語聴覚士などの専門職が利用者さんのご自宅にお伺いして、実際に生活している場所でリハビリを行います。

訪問リハビリを利用できるのは、高齢者などで、施設や病院への通院が困難な方、あるいは施設や病院からの退所・退院後の日常生活が不安な方などです。

訪問リハビリの内容は主なものとして以下の5つです。
①健康状態や生活状況の観察
②身体機能を向上するための練習
③生活動作を上手に行えるようになるための練習
④嚥下やコミュニケーションの練習
⑤住環境・福祉用具の整備

医療機関や施設ではできない、実際に生活する場面でのリハビリを行えるということが訪問リハビリの強みです。
そして、楽に動けるように支援しながら、利用者さんの生活をより豊かにするのが訪問リハビリの役割です。

訪問リハビリの対象は?

訪問リハビリのサービスは介護保険下で行うものがほとんどで、
「要支援・要介護の認定を受けた方」で対象となっています。
要支援1・2は予防訪問リハビリ
要介護1~5は訪問リハビリ
つまり、65歳以上で要介護認定を受けていれば(第1号被保険者)特別な疾患名がなくてもサービスを受けることができます。

ただし、40~64歳までの方は、脳血管障害やがんなど特定疾病が原因で要介護認定を受けた(第2号被保険者)場合に利用することができます。

要介護認定を受けられない場合でも、主治医の指示があれば医療保険で訪問リハビリを受けることができます。
※こちらは「在宅患者訪問リハビリテーション管理指導」という名称です。

訪問リハビリは医師の指示のもとリハビリを実施します。
下記のようなことから、リハビリをしたいと思ったら、
主治医もしくは担当のケアマネジャーに相談してください。

  • 筋力が低下して歩きにくくなった

  • 体の一部に麻痺や拘縮の症状が見られる

  • 食べ物を飲み込むのが難しくなった

  • 口の動きが悪く話しにくい

  • リハビリはしたいがやり方がわからない

  • 体の動きが良くなく思うように動けない

  • 福祉用具の使い方がわからない

  • 日常生活に不安がある

訪問リハビリで来る専門職とは?

訪問リハビリに携わる職種は3つあります。

理学療法士(PT)

身体機能や基本動作の専門家です。関節や筋肉の構造を熟知し全身状態を整えたり、起き上がり~歩行などの基本動作を円滑・安定化を図るために、機能の強化・動作練習や指導を行ってくれます。

作業療法士(OT)

日常生活動作の専門家です。日常で行うすべての動作(食事や排せつなど)の円滑化を図るために、心身面~日常生活動作、趣味活動など幅広いアプローチを行ってくれます。

言語聴覚士(ST)

言葉や嚥下の専門家です。コミュニケーションを取る方法や嚥下などの口腔機能に関係する機能へのアプローチを行ってくれます。

主に身体面や動作面のリハビリを希望した時には理学療法士/作業療法士
嚥下やコミュニケーションのリハビリを希望した時には言語聴覚士が訪問します。

訪問リハビリのメリット

自宅で訪問リハビリを受けることには大きなメリットがあります

生活空間でリハビリができる

これが訪問リハビリ1番の強みと言っていいです。
家には段差があったり、家具が置いてありますね?
手すりの位置も病院や施設とは異なります。
実際の場面で動いてもらうことで、日常生活に特化したリハビリができます。

個別リハビリを受けることができる

通所サービスとは異なり、利用者さん・家族さんと向き合う時間にしっかりと費やせるため、マンツーマンで個々の状況に応じたリハビリを受けることができます。

リハビリ施設に通う時間や費用を節約できる

通院時間や交通費用がかかりません。
1回のリハビリ時間は40分程度のため、その他の予定も立てやすいです。
また、曜日を決めて訪問するため、「生活の中にハリがでる!」というお声も頂いております。

自宅でリラックスしてリハビリを受けられる

普段の生活と変わらない環境下で安心してリハビリを行うことができます。まわりの目を気にする必要がありません。見ず知らずの方々との接触が苦手な方などは、通所リハビリよりも訪問リハビリが向いていると言えるでしょう。

訪問リハビリのデメリット

使用できるリハビリ機器が限られる

病院や施設にあるような平行棒やエルゴメーター、高性能なリハビリ機器は使えません。
自宅環境を把握したうえで、リハビリに必要な道具を持っていくようにしています。

緊急時の対応

訪問リハビリでも緊急時の対応は整えていますが、医師がいる環境ではないため、異常があったときはすぐに判断ができない場合があります。
ケアマネ等と連携しながら対応していきます。

他の利用者との交流ができない

自宅でのリハビリとなるため、療法士以外に交流の幅が広がりません。
人によっては息苦しさを感じる場合もあるかもしれません。
そういった場合は、外に一緒に散歩に行くリハビリをしたり、通所リハビリの利用も考えてみると良いかもしれません。

訪問リハビリを利用するまでの流れ

  1. 担当ケアマネジャーに相談して、訪問リハビリを依頼する事業所を決める

  2. 担当ケアマネがケアプランを作成

  3. 訪問リハビリ事業所と正式に契約する

  4. 医師に訪問リハビリが必要な旨の指示書を書いてもらう(介護保険を使う場合は3カ月に1回、医療保険を使う場合は1カ月に1回の発行が必要)

  5. 訪問リハビリ事業所の療法士と医師が実施計画書を作成する

  6. 実施計画書に基づきリハビリテーションを受ける

実施計画書は、進捗状況を初回はおおむね2週間以内に、その後は3月ごとを目途に評価し、必要に応じて見直されます。

要支援や要介護の方は地域包括支援センターor居宅介護支援事業所の担当ケアマネジャー
医療保険で受けたい場合は主治医や市役所の障がい保健福祉課に相談してみてください。

所要時間や頻度、料金の目安

訪問リハビリの頻度や所要時間、自己負担額の目安を見ていきましょう。
訪問リハビリの利用頻度は、ケアマネジャーが作るケアプランで日数が決まります。ただし、1回20分・週6回以内が限度とされています。1回40分であれば週3日までです。

自己負担は原則1割です。ただし、一定以上の所得がある場合は2割または3割となります。

ここでは訪問リハビリの単位表を確認します。
※1単位は10円前後で地域により異なります。
 事業所によっては、他にも加算を算定している場合があります。

1割負担で考えるのであれば、週1回なら3000円/月程度、週2回なら6000円/月程度(※退院後3か月以内は9000円/月程度)を見ておくと良いでしょう。
※介護保険は2年に1度介護報酬改定があるため、訪問リハビリの料金に変更がある場合は、その事業所の担当者が説明してくれるはずです。

まとめ

ここまで訪問リハビリの基本的な導入部分を訪問リハビリに携わる立場で記しておきました。
訪問リハビリがどんなサービスなのかわからない方
事業者がパンフレット等を作りたいといった場合の参考になるかと思います。

これからも訪問リハビリのあれこれを綴っていきたいと思いますので、フォローよろしくお願いします!!

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