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加齢に伴う睡眠状態の変化

訪問リハビリで利用者さんと関わる中で運動することだけがリハビリではありません。
利用者さんの困っていることに対応する幅広い知識や経験が必要になるのですが、今回はその中でも睡眠についてお話していきたいと思います。

一般的に言われる最適な睡眠時間

成人の場合、6~8時間の睡眠をとる方が多いです。
成人の場合の理想的な睡眠時間は7時間で、6時間以下になると脳機能が低下し、集中力が低下してしまうことがわかっています。

加齢に伴う睡眠の質の変化

高齢者(65歳以上)の最適な睡眠時間

成人の頃と比較して、徐々に必要な睡眠時間は減少します。
これは、運動量や基礎代謝の低下によって必要とするエネルギーが少ないため、睡眠時間が少なくても補うことができることが影響しています。
そのため、5~6時間程度が最適といわれています。

早寝早起き

加齢に伴って、睡眠状態に変化が訪れ、いわゆる早寝早起きの方が多くなります。これは体内時計の加齢に伴う影響といわれており、病的なものではありません。
夜になって自然に入眠して、朝自然に起きるということであれば、あまり気にせず、朝からゆっくりと支度を始めるのがよいです。

中途覚醒

高齢者の睡眠時の脳波を計測したところ、浅い睡眠のレム睡眠の時間が延長し、深い眠りのノンレム睡眠の時間が短縮することがわかっています。
そのため、ちょっとした物音や尿意などで目が覚めてしまう。いわゆる中途覚醒が増えるようです。

昼夜逆転

よくあるのが、夜眠れないからと言って深夜帯に睡眠導入剤を服用し、
朝から昼過ぎまで入眠してしまい、夜間に覚醒してしまうという昼夜逆転現象です。
お昼ご飯を食べた直後も、血糖値の一時的な上昇に伴って急激な眠気に襲われますが、その際に1~2時間ほど眠ってしまっても、寝つきが悪くなってしまいます。

なぜ眠れなくなるのか?

生活習慣の変化

運動不足や外出の機会の減少など、高齢になってくると眠気をいざなうホルモンであるメラトニンの分泌量が少なくなってきます。
また、眠くないのに寝床につくようになったり、昼寝の時間が長くなったりして、夜間の睡眠の質が低下するような行動を知らず知らずにとりやすくなっていることも一因です。
また、カフェインやアルコールなど若い時には摂取しても影響のなかったものにも、加齢に伴って反応しやすくなっているので注意が必要です。

睡眠環境が整っていない

夜寝る前なのに蛍光灯の明かりがまぶしいほどについていたり、
ベッド周りで枕の高さが合わず寝返りがしにくかったり、
布団をかぶっていても肩が冷えて痛みが出てきたり。。。
どんな環境で眠っているのかという評価が必要です。

睡眠の質を高める10の法則

・就寝環境を整える(室温・照度)
・朝バナナでセロトニンの摂取
・午前中に日光を浴びる(散歩も良い)
・入床、覚醒時刻を規則正しく整える
・食事時刻を規則正しく整える
・昼寝を避ける(20分程度はOK)
・身体を動かして、ほどよい疲労感を得る
・夕刻以降に過剰の水分を摂取しない(控え過ぎは注意)
・アルコール、カフェイン、ニコチンの摂取を避ける
・痛みに対処する(姿勢や冷えなど)

最後に

利用者さんから「よく眠れない」と訴えがあることが多々あります。
こうすれば絶対よく眠れるようになる!というものはありませんが、
・加齢に伴って、必要な睡眠に変化が起こることを知ってもらう
・睡眠時間を気にするよりも熟睡感が得られるように、運動や日光浴、昼寝の時間を見直し、入眠前の入浴など生活リズムを整える
・眠りやすい環境を整える
ということを意識しながら、利用者さんの抱える不安を一緒に考えてもらえたらと思います。

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