第12回アイドル楽曲大賞2023

アイドル楽曲派の皆さま、こんにちは。
この度初めてアイドル楽曲大賞に投票してみて2023年度(2022年12月〜2023年11月)のアイドル楽曲を振り返る非常に良い機会となったので、記事として書き残しておこうと思います。

ちなみに「楽曲派」という言葉に抵抗のある方も大勢いると思いますが、この言葉は聞き手の形容としては何ら問題ないと考えています。つまり「楽曲派アイドル」という使い方ではなく「アイドル楽曲派(のオタク)」です。
「このアイドルは楽曲派である(楽曲が優れている)」ではなくて「私がアイドルを見るときに重視しているのは(ダンスやビジュアルよりも)楽曲である」ということです。主観的な表現を客体(アイドル)に向けて使うから事がややこしくなるのであって、主体(自分たち)に向けて使う分には何も違和感がないです。

どうでもいい前フリは置いて、投票内容を振り返ってみます。メジャー部門にも投票はしましたが、よく聴くのはインディーズなのでインディーズのみ深く触れようと思います。

あくまでも楽曲を選ぶので、作編曲に着目しています。「応援してるから」とか「歌が上手いから」とかは評価から外したつもりです。歌の上手さも楽曲、パートの一部ではあるので難しいところですが・・・。

1位(2.5pts.) I love it ! / あいらび

全体を通じてピアノ、オルガン、ホーン、ストリングスなど音色が豊かで、Bメロの少し独特なコード感からサビのポップなメロディおよびリズムに流れていくのが見事です。ポップスへのジャズ要素の組み込み方が素晴らしいです。

2022年11月に結成して2023年10月に解散してしまったグループです。知ったのは先月=解散当月でした。イントロから掴まれてしまい、一体誰が作っているのかと思ったらアカシックの奥脇さんでした。
曲の良さもありつつ、特に天音まりかさん(@iloveit_marika)の声の伸びが良いです(歌は評価しないと言いつつどうしても)。Xアカウントが残ってくれているので今後の活動をウォッチしていこうと思いました。
そう思ったら11/30当日に事務所退所との報が・・・どこかで歌っていてほしいです。

2位(2.5pts.) あいしてクレヨン / 疾走クレヨン

Jロック風なギターバッキングとともにヨナ抜き音階のメロディで始まったと思いきやあっという間に4つ打ちポップなサビが出てきてリズムの心地よさとテンションコードの不安定さが共存する絶妙なバランス感が素晴らしい楽曲です。

作曲は藤田卓也さん。ヨナ抜き音階で始まりクサめかと思いきや、サビで急激にポップになるところが初めて聴いたときに刺さりました。あとメロディの追いかけがかつて存在したロックバンド「he」っぽいなと、誰も思わないことを思いました。ほかのアイドル楽曲にも見られる兆候で、興味深いなと思ってます。※追いかけというよりもメロディそのものが似ているのかもしれません。

3位(2.5pts.) we are in the dance music / WT☆Egret

勢いのあるピアノのイントロで明けてコーラスワーク豊かなサビから始まり、下転調とクローズドハイハットによる締まったAメロ、転調しながら進行する妖しいBメロというドラマチックな展開が凄まじいです。

箱推し部門でも投票した一推しのWT☆Egret。音源でもライブでも何度も聴いていますが、あらためて分析的に聴いてみるとすごい楽曲であることが分かりました。これは投票とは関係ないですが、最後のアウトロで「we are in the music」を繰り返す間に歌の余白があるのは聴衆のレスポンス待ちと思われるのも、計算されているようで巧いです。作詞作曲は当グループおなじみ、Aleile所属のynzさん。

あまりに良い曲なので自分でもドラムコピーしちゃいました。

4位(1.5pts.) VEGA / パピロジェ

90年代Jポップのようなきらびやかなシンセアレンジ、女声としては中低音域が中心となるエモーショナルなAメロ〜Bメロ、一転して駆け抜けるようなサビが印象的です。シンコペーションなどリズムトリックも盛り込まれた豊かな楽曲です。

2023年6月に解散してしまった福岡のグループです。解散直前にリリースされている「EVANESCENT」というEPより。端的に言うとJanne Da Arcのような「あの頃」を感じさせるキラキラサウンドです。サビ終わりの「VEGA」が裏キメなのもいいですね。力強い歌声も映えます。作曲は蟻地アリさんですが、正体が謎に包まれています。

5位(1.0pts.) Shangri-LA / スパンコールグッドタイムズ

イントロは明るい頭打ちビートながらもどこか哀愁漂うコード進行で始まり、Aメロで一旦落ちてからBメロの上昇進行とオンコード感で何かが始まる予感を起こし、サビに戻ってくるという展開が良いです。

アイドルフェスライブでたまたま見て知って、「こんな楽曲のアイドルがいるのか!」と衝撃を受けたグループです。作詞作曲はメルクマール祐さん。ライブアイドルシーンでは盛り上がりのために重要なコール・MIX文化がありますが、このテンポの頭打ちビートでは為す術もないのが逆張りの美学という感じがして最高です。

その他部門

アルバム部門

1位『UNIVERSE』 / 九州女子翼
2.5pts.
おしゃれ楽曲目白押し。ソウル、ディスコなどが好きな人は必聴です。
2位『FLOWER』 / CUBΣLIC
2.0pts.
本来あまり好きではないフューチャーベース要素のある楽曲が並びますが、ポップさが打ち勝ってとても良いです。
3位『airattic』 / airattic
1.5pts.
邦ロック感満載のアルバムです。

メジャー部門

1位 楽の上塗り / CYNHN
3.0pts.
2位 来世なんて待ってらんない / DIALOGUE+
2.5pts.
3位 ドラマチックメモリー / 手羽先センセーション
2.0pts.
4位 ナニモノローグ / ARCANA PROJECT
1.5pts.
5位 ブルーガール / 友希
1.0pts.

終わりに

インディーズ部門の1〜3位は得点としては同じ2.5pts.ですが、気持ちの順位として1から並べました。

6位以降にも個人的にノミネート作が大量に控えているので、いつか紹介したいと思っています。

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