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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜  ⑫「みたけはしら」と「なかはしら」その② <98号 平成30年8月>

 ホツマ世界観にとって大切な存在である「はしら」。次に「なかはしら(中柱)」について考察します。

「中柱」は、「天(あ)」と「地(わ)」を結ぶ、聖なる絆となるものです。「あま恵み届く御柱」或いは「あめつち繋ぐ中串(なかくし)」とも表記され、単に「みはしら」とも「なかくし」とも記述されます。また、人体にある「中管(なかくだ)」も、天地の「中柱(なかはしら)」と密接に相関するものであり、「くだ」が中柱を意味して記述されることもあります。

 【アメミヲヤの「初の一息」によって混沌たるアワ・ウビに時計回りの回転が生じ、宇宙の創世が始まるが、その回転の中心に立つ柱。この柱から陰陽が分かれ生じる。この柱は天の「陽」階層と「陰」階層を貫通し、地球世界とも連絡しており、内部の管(九の輪) を通して、陽と陰のエネルギーの息(精霧=さぎり)を地球に運ぶ。この陽エネルギーと陰エネルギーのバランスによって四季が生じる。】と、駒形『解説ガイド』は解説していますが、大変難解なホツマ世界観の、まさに中心に立つ存在です。

 宇宙創成に発現した
①「柱」 まっすぐと中心に屹立し、
②「串」 天地・陰陽を貫くものとして、
③「管」 常に何かが巡り通う、

 見えないけれども「常立ち」している「絆であり道」である中心軸。この「中柱」は、盤石不動でいて、同時に激しく旋回運動をともなう流動的な構造をしているようです。その旋回は、時間や季節をも差配します。

『初の一息 動く時 東上りて 西下り(略)泡・泥の 巡れる中の みはしらに 裂けてメヲなる』14文
『元々明の ミヲヤ神 居ますウラには 北の星(略) トの神 居ます そのウラが 中柱立つ』23文
『アメノミヲヤの(略)身の光 元々明の アメ恵み 届く柱は 透き通る 中の管より 運ぶ息』ミ6文
『「ト」は夏に 月の陰還す 春秋ぞ 天譲る日は 天(あ)の精霧 地譲る月 地(わ)の精霧』ミ6文

 日本人は、「はしら=柱」が大好きです。お祭りにおいては、必ずといって良いほど、柱を立てます。

 五重塔の「心柱」、どんど焼きの青竹柱、神仏習合な護摩の火柱、祇園祭の山車の鉾、これらはすべて、この中柱を可視化、再現しようとするものです。座禅は座り、神輿は立ちますが、どちらも己の身体を中柱として捧げる行為であると観ることが出来るでしょう。
(駒形「ほつまつたゑ解読ガイド」参照)

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「はしら」を考える辞解の第二段は、「なかはしら/なかくし」です。宇宙や生命を、「うずまき」で考えることは昨今ひとつの常識化していますが、その巡りは、平面上、二次元ではなく、ひとつの方向性、進行方向をもつ性格があります。

宇宙や生命を、「あめつち」としてとらえていた縄文人は、それをつなぐ「管」「道」「筋」を幻視していていました。それが、「中柱」「中串」です。

五重塔では、心柱が中心に据えられるのですが、それは、「はしら」といっても建築用の構造物ではありません。何も支えていないのです。ただ、まっすぐ立っているだけです。ただ真っ直ぐ屹立することが重要で、それが、「中柱」の役割だったのです。

アメノミナカヌシ(天御中主)神という御神名も、大宇宙のなかの「中柱」という概念が表現されたお名前だったのだと考えられます。

上記の「構造」 ↑ 動画は、少し長いけれどもたいへん見応えがあります。地震に強いという特性も、かなり衝撃的な記録として残されています。
ちなみに、「五重」の意味は、ホツマ世界観を基本づける「五大」つまり「あいうえお」構造を表現していると観て間違いないでしょう。


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