【ホツマの論点】 アシツ姫はシンデレラか? 創喜 <74号 平成26年8月>
世界中に継母が夫の連れ子を陰湿にいじめ、自分の子を溺愛するという物語りがあります。
その中で最も有名なものに、ドイツのグリム童話『灰かぶり(フランス語でシンデレラ)』があります。
グリム兄弟は童話集を出すに当たって、16世紀のイタリア人作家、ジャンパテスタ・バジーレの物語り集『ペンタローネ』と、18世紀のフランス人作家、シャルル・ペローの作品を参考にしたということがわかっています。
シャルル・ペローの作品の中に、『灰かぶり』またの題名を『ガラスの小さな上靴』と呼ばれるものがあります。
この2つは同一の物語りで、グリム兄弟はこの物語りを『灰かぶり(Ascehnputtel)』という表題を付けて、かの有名な『赤ずきん』などの物語りと共に出版しました。
ペローから遡ること約1000年ほど前、中国では9世紀の唐の時代、段成式という作家が『葉限物語り』を書いています。
明治の偉人南方熊楠は、これがシンデレラ物語りの基ではないか、と指摘しました。
しかし、本冊子の著者である朝間ひらく氏は、早くから越後地方に『越後のシンデレラ』と呼ばれる『ヌカフク・コメフクの昔話』が、口承の民話として越後の山村で語り継がれていることから、この民話こそホツマのコノハナサクヤ姫を基に作られたもので、同様にシンデレラ物語りや葉限物語りもしかり、だと主張されています。
ホツマの研究者ならお分かりと思いますが、コノハナサクヤ姫の本名は、アシツ姫と言い、
英語のアッシュ(ash)、ドイツ語のアッシェ(asche)と音が似ています。
アッシュは灰と言う意味ですから、フランス語ではシンデレラ(cendrillon)となります。
フランス語の発音は文字で書くとサンドリヨンですが、フランス人が発音するのを日本人が聞くとシンデレラと聞こえます。
つまり、『灰かぶり』も『シンデレラ』も、アシツ姫の名前から連想され、名付けられたと考えられるのです。
そして、ホツマに記載されているアシツ姫の物語りは、中国の『葉限物語り』よりも遥かに古いことは異論の無い所ですから、シンデレラ=アシツという仮設は、我々ホツマ研究者にとって、研究するに足る課題なのではないでしょうか。
ちなみに『ぬかふく、こめふく昔話』は、1964年に水沢謙一氏が、『越後のシンデレラ』という本に纏められて、野島出版から出版されています。
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平成26年夏号に、初代編集長が寄稿した「コノハナサクヤ姫=シンデレラ」説の小論考です。興味深いですね。
シンデレラ説も深い謎ですが、コノハナサクヤ姫と磐長姫の異母姉妹説は、ホツマ研究者にはかなり受け入れられている見解です。コノハナサクヤ姫の実母は、早世してしまったのでしょうか。父のオオヤマツミ神の言動も、少し不可解なところもあり、その後、イワナガ姫にオロチのハヤコが憑依するというホツマ物語の展開は、かなり衝撃的です。
竹取物語、かぐや姫の物語も、富士山が舞台です。幻想の舞台なのですね。
富士山の季節が始まっていますが、美しい霊峰を眺めつつ、古代の不思議を味わうと楽しいですね。
灰かぶりの意味がよくわかる ↑
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