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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ㊳「やまさかみ」と「うをまさ」 <123号 令和4年10月>

ウツロヰの神は、捉えどころの難しい神さまです。

ホツマに登場する神々は、そのほとんどが「人格神」であり、生前は「○△守」「○△主」という意味の「カミ」として地方や役職を司る方々でした。つまり、元は生身の人間です。逝去した後も、偉大なる貢献をした「○△神」として祀られるという存在です。

しかし、「自然神」として天地の威力を象徴する神々や、一種の「霊格神」として時間や空間、あるいは健康や幸福を象徴する神々も認識されていました。

「やまさかみ/八将神」は、人間生活において主要に影響を及ぼす八つの「自然神・霊格神」を総称したものです。

1.ウツロヰ (空)  2.シナトベ (風)  

3.カグツチ (火)  4.ミヅハメ (水)  

5.ハニヤス (土)  6.オオトシ (豊作) 

7.スヘヤマズミ (治水・治山)  

8.タツタメ (鎮火・鎮浪) 

「あいうえお」の五大を構成する「空・風・火・水・土」が、各々神となり、また、それらを制御することで自然災害から人々を守り、福祉と豊穣をもたらす力を同様に神と称えました。

ウツロヰは、「八将神」の筆頭に位置づけられています。空間、時間を司る神格で、雷(ハタタ神)や地震も支配していたと認識されていたようです。ニニキネのニハリ宮建造を邪魔してアマテルから「八将神からの降格」を申しつけられそうになりましたが、ニニキネが懇願して許されました。

その縁で、ニニキネを尊崇し、ニニキネの偉業を助けます。「うをまさ/をまさきみ/うおまさかみ」は、ウツロヰが、ニニキネから賜った名です。

ウツロヰは「うつろもり/空守」です。「うつろ」は時空間の「ま/間=魔」を埋める存在なので、計り知れない力を秘めているとみなされます。欠けると整わない、制御しないと祟られる、厄介な神さまなのです。

火山爆発もウツロヰの仕業です。雷は天からの爆発で、噴火は地からの爆発だからです。一方では鉱物は火山活動と関係があると認識されていましたから、ウツロヰは「金神」でもあります。

『鳴神の 主 東北守 ウツロヰの 大将君 とぞ トシノリに やしろ賜わる』ホ21

「をまさきみ/大将君」が後世に「大将軍」となり、東北=丑寅の「金神」と民間信仰で畏怖される神格となっていきます。

(駒形「解読ガイド」千葉「甦る古代」参照)

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 本稿「ほつま辞解」の㉛番で「やまさかみ」を書きましたが、「八将神」と陰陽道での「大将軍」との関わりを再度押さえておこうとして、書き足した考察です。
 ウツロヰ神の別名で、ヲマサカミ・ウヲマサカミとホツマでは記述しますが、「ヲ」「ウヲ」を漢字で、「大」と翻訳したために「大将軍」となっていったのですが、もともとの「ヲ」は、「央」「中央」であり「央坐神」と考えられます。
 「からっぽ」の中央神であり、「魔境」の主宰神です。つまり、
 「空きを埋める帝王・穴埋め大王」のような意(駒形一登)。
『一年これ "ヱ・ト" に侍る 三十の守 日々に替りて 六十日守る 六還の嘗事』ミ7文
『ウツロヰの 年越瀬前 大晦日 初六日・十四日 五月の三十日 総べ一年守る 嘗事ぞこれ』ミ7文
『もしや汚曲の 障いせば あらかねの埴を ウツロヰの 大将神の マサカリや』ミ8文
 などといった「遊行性」「方位性」「金との親和性」がミカサフミに記述されており、それが外地において様々な宗教観と習合し、後にまた我が国に里帰りしたうえで複雑な神学形成がなされました。 

複雑に習合した展開がこれ ↑ 泰山府君はクニトコタチ、盤牛王は天御祖神であると押さえて視聴すれば、それが縄文日本起源であるとよくわかる

通常は撮影禁止の展示室を丁寧に撮影しているので、必見 ↑

大勝利八神社以外も、サラリと参拝しましょう ↑

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