とらさん原田峰虎

縄文叙事詩『ほつまつたゑ』の研究同人誌編集長。『はじめてのホツマツタヱ』(三部作)出版…

とらさん原田峰虎

縄文叙事詩『ほつまつたゑ』の研究同人誌編集長。『はじめてのホツマツタヱ』(三部作)出版プロデューサー。かざひの文庫より『フトマニ歌占い』『縄文の神々の言葉88(仮題)』を上梓。毎月お茶の水で、ホツマツタヱお話会を開催。 うまい日本酒と山岳信仰のある山歩が大好き♡ 滝行のご指南も!

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【ホツマ辞解】  ⑭「はつひみかげ」と「はつひまつり」 <100号 平成30年12月>

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑨「あがたぬし」と「つうじ」 <96号 平成30年4月>

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑦「うらなふ」と「ましない」 <94号 平成29年12月>

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その⑤「ほつま」と「やまと」続編 <92号平成29年8月>

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その④「ほつま」と「やまと」中編 <92号平成29年8月>

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【ホツマの論点】 アマテル大神の性自認 <127号 令和5年6月>

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神代文字で記された古代文献は我が国に複数ありますが、ヲシテ文献がその他の雑多な古文書と一線を画するひとつの特徴は、「アマテル大神が男性神」であることです。ウリフ姫を含むと十三妃を局に入れたアマテルは、歴然とした男性神ですが、記紀もその「性」を女性に改竄して今に伝えます。天界の大神は、この錯誤をどうお感じになっていることでしょう。

GW明けの自民党総務会は「LGBT理解増進法案」の修正案を強引に推

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 元旦に初日の出を拝むことが出来るとその一年が佳き年になる。信じて多くの日本人は手を合わせます。

『天の初日の 御影さす 両神思い 計らずも 光を抱く 心地して みたけ潤い 孕みます』ミ逸文

 日嗣御子の誕生を祈願していたナギナミ両神が、初日の出に感じ取った「思い」は如何ばかりだったでしょう。「はつひ(初日)」はその月の初日ですが、新年の初日は、特別です。「みかげ」は「お陰様」の「おかげ」のこ

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑬「みやはしら」「みはしら」 <98号 平成30年8月>

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 神社神道で尊貴な神呪として奏上される『大祓詞(おおはらへことば)』には、「ヤスクニと定め奉りて(略)みやはしら(宮柱)太しく建て」というくだりがあります。天降った天孫が、地上に拠点としての都を拓き、「宮」を建造する=統治を開始する宣言をなす局面を表現しています。

 ヲシテ文献では、「みやはしら」と云う語句は見当たりませんが、「宮」の建造に「はしら建て」が重要であることは、念入りに記述(21アヤ

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜   ⑫「みたけはしら」と「なかはしら」その② <98号 平成30年8月>

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 ホツマ世界観にとって大切な存在である「はしら」。次に「なかはしら(中柱)」について考察します。

「中柱」は、「天(あ)」と「地(わ)」を結ぶ、聖なる絆となるものです。「あま恵み届く御柱」或いは「あめつち繋ぐ中串(なかくし)」とも表記され、単に「みはしら」とも「なかくし」とも記述されます。また、人体にある「中管(なかくだ)」も、天地の「中柱(なかはしら)」と密接に相関するものであり、「くだ」が中

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜   ⑪「みたけはしら」と「なかはしら」その① <98号 平成30年8月>

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「はしら」は、ホツマ世界観にとって大切な存在ですが、「みたけはしら(身丈柱・御丈柱)」と「なかはしら(中柱)」について考察します。

 身丈柱は、人が亡くなった時に、その骸(おもむろ)を囲んで殯(もがり)の儀式を執り行い、埋葬した後に、故人の(骸の)身長に合わせて柱を切り出し、その後の霊祭(たままつり)の際に、依り代木(神籬・ひもろぎ*ただし「ひもろぎ」は日本書紀の用語であり、ヲシテ文献では未詳)

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜  ⑩「むら」「さと」「まち」「いち」 <97号 平成30年6月>

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜  ⑩「むら」「さと」「まち」「いち」 <97号 平成30年6月>

 前々号で「くに(州)」「あがた(県)」「あれ(郷)」について、前号では「あがたぬし(県主)」「くにつこ(国造)」「つうじ」「よこべ」「めつけ(目付)」などを解説し、ホツマにおける行政区画の階層や行政官の分掌などを読み解いてきました。これらの精緻な分析が、ホツマ時代の中央と地方との関係性を浮き彫りにし、また、その後の外来統治制度との[違い]、あるいは[混ざり合い]を考察する貴重な視座を与えてくれま

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑨「あがたぬし」と「つうじ」 <96号 平成30年4月>

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑨「あがたぬし」と「つうじ」 <96号 平成30年4月>

 前号の当欄で「くに(州)」「あがた(県)」「あれ(村)」について解説しました。ホツマ伝承では、行政区画の階層は、定量的に組織化されていたように記述されています。

 まず、五世帯からなる組を、ヲサである「てべ/てゆび」が取りまとめます。その「てべ」八十人、都合四百世帯を仕切るのが「あれをさ(村長)/あれべ」です。さらに、その「あれをさ(あれべ)」八十人、都合三万二千世帯の首長が「あがたぬし(県主

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑧「くに」と「あがた」と「あれ」 <95号 平成30年2月>

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑧「くに」と「あがた」と「あれ」 <95号 平成30年2月>

 二月十一日は建国記念の日。明治維新後に定められた「紀元節」です。この日を「紀元」と看做すのはホツマ的には諸々異説も生じるところですが、今回は、暦ではなく「国・県・村」のお話しです。

 「くに」は何処からの視点で見るかによって意味が変わります。「あめ」に対しての「くに」は、「天地」の「地」を意味します。人の住む物質世界。この世。地球。大地を称するものであり「クニトコタチ」の「クニ」もこの意味と云

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑦「うらなふ」と「ましない」 <94号 平成29年12月>

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流を探る〜 ⑦「うらなふ」と「ましない」 <94号 平成29年12月>

 「ふとまに」の辞解は難解で、解釈も諸説有ります。その解明の前に「うらない」と「まじない」をホツマで考えてみましょう。

 名詞の「占い」は原典に記述が残りませんが、「うらなふ」という用言は、数例あります。

『うらなひて つきかつらきの いとりやま』ホ4
『ココトムスヒは 占ひて 佳き日に因み 調ゑて』ホ16
『コヤネふとまに うらなえは やせ姫よけん やひのゐは なかのやとなる』ホ27
『きみ

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【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流をさぐる〜 その⑥「たかま」と「みやこ」 <93号 平成29年10月>

【ホツマ辞解】 〜大和言葉の源流をさぐる〜 その⑥「たかま」と「みやこ」 <93号 平成29年10月>

 天照大神をはじめ「キミ(君)」として我が国を治める神々がいらっしゃるところ、その計りごとをなされる議場を「たかま(高天)」と尊称し、その土地を「みやこ(都)」と敬称します。

 現代語では「タカマガハラ(高天ヶ原)」と通読されることもありますが、『古事記』においてもその冒頭に、「訓高下天云阿麻下效此」とあり、天は「アマ」と読むように指定があるとおり、「マガ」ではあり得ません。

 記紀神話のよう

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その⑤「ほつま」と「やまと」続編 <92号平成29年8月>

【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その⑤「ほつま」と「やまと」続編 <92号平成29年8月>

「やまと」とイサナギとの考察です。

 ホツマツタヱにおける「やまと」(という語句)の初出は、2アヤです。オモタル・カシコネの御代について、

【 オモタルの神 カシコネと 八方を巡りて 民を治す ヲウミ安曇の 
中柱 東はヤマト 日高見も 西は月隅 葦原も 南阿波ソサ 北は根の 
ヤマトホソホコ チタル国 及べど、、、】とあります。

 ここで「ヤマト」は二回表記されますが、この「ヤマト」は美称

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その④「ほつま」と「やまと」中編 <92号平成29年8月>

【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その④「ほつま」と「やまと」中編 <92号平成29年8月>

 ヲシテ文献で使用される大和言葉を取り上げ、今に伝わる言葉との差異や、その言葉が生まれる成り立ち、深い意味、関連する言葉との比較などを探ります。

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 地名としての「ほつま」は、元々は東国(琵琶湖以東)全体を指していましたが、勿来以東がヒタカミに、安倍川以西がコヱとして区分されるようになり、今日の関東地方と、富士山周辺地域を云うようになりました。

 一方の「やまと

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その③「ほつま」と「やまと」前編 <91号 平成29年6月>

【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その③「ほつま」と「やまと」前編 <91号 平成29年6月>

 「ほつま」は、叙事詩の本名。「やまと」は我が国の国号に所縁ある重要語句で、ともに深い意味をもちます。

 どちらも、もともとは「徳治」を美称する同義語であり、「優れて調い、秀でた円満(なる治政)」を意味し、「和を以て貴しとす」の「和」を表す言葉です。

 「ほつま」は、「秀つ真」(すぐれた誠)とみるのが素直ですが、「ほ(陽・穂・秀)」が「建つ・積む」の意を含むと観ることも出来そうです。生長や成熟

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【ホツマ辞解】~大和言葉の源流をさぐる~ その②「ひな」と「やつこ」 <90号 平成29年4月>

【ホツマ辞解】~大和言葉の源流をさぐる~ その②「ひな」と「やつこ」 <90号 平成29年4月>

ヲシテ文献で使用される大和言葉を取り上げ、今に伝わる言葉との差異や、その言葉が生まれる成り立ち、深い意味、関連する言葉との比較などを探ります。

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 三月三日のひな祭りが、ホツマの縄文時代にすでに年中行事(なめこと)のひとつとして定着していたことがホツマ伝承を読むとわかります。その主人公は、「モモヒナキ」と「モモヒナミ」の夫婦神であったわけですが、その「ひな」は、「

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【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その① 「ことは」と「ヲシテ」 <90号 平成29年4月>

【ホツマ辞解】 ~大和言葉の源流をさぐる~ その① 「ことは」と「ヲシテ」 <90号 平成29年4月>

 ヲシテ文献には、「ことは」と「ことのは」の表現がありますが、

「ことのはなくて」ホツマ1綾
「ほとのことのは」フトマニをやま
「ことのはお」ミカサ

として使われる「ことのは」は、文字数を(五七に)調整するために「の」が加えられたもので、原型は「ことは」であると考えられます。

 「ことは」は、現在は主に「言葉」と漢字表記されますが、「ば」でなく「は」が、原型でしょう。「口に出したもの」「表現

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【ホツマの論点】 アシツ姫はシンデレラか? 創喜 <74号 平成26年8月>

【ホツマの論点】 アシツ姫はシンデレラか? 創喜 <74号 平成26年8月>

 世界中に継母が夫の連れ子を陰湿にいじめ、自分の子を溺愛するという物語りがあります。

 その中で最も有名なものに、ドイツのグリム童話『灰かぶり(フランス語でシンデレラ)』があります。

 グリム兄弟は童話集を出すに当たって、16世紀のイタリア人作家、ジャンパテスタ・バジーレの物語り集『ペンタローネ』と、18世紀のフランス人作家、シャルル・ペローの作品を参考にしたということがわかっています。

 

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