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再現1977〜日本のロックの夜明け前〜ライブレポ

TEXT:平山雄一
PHOTO:三浦憲治 / 三浦麻旅子


このライブレポートは再現のオフィシャルFBで投稿されたものを再編集したものになります

日本のロックの黎明期に聖地・日本武道館で行なわれた画期的なイベント“NEW WAVE CONCERT”が、もうひとつの聖地・日比谷野音に舞台を移してついに再現された。

再現1977〜日本のロックの夜明け前〜
2023.8.19(Sat)
日比谷野外大音楽堂
Char / BOWWOWG2 / 紫 MURASAKI

炎天下の会場にChar、BOWWOW、紫が46年ぶりに顔を揃える。彼らはその後のJ-ROCKにとって重要な役割を果たしてきた。そうしたキャリアを持つ3組が再び競演するのは、日本のロックの歴史をリアルに振り返るという意味を持つ。そしてファンにとっては、今でも現役で活躍するヒーローたちとの再会の場となる。開演前から野音には熱気が渦巻いていた。

Char・・・


最初に登場したのはChar。

出演前の3人(photo 三浦憲治)

自ら開発したピラミッド型のヘッド&スピーカーをかたわらに置いたスタイリッシュな彼のたたずまいは、当時も今もオーディエンスを一瞬にして魅了する。オープニングは82年の名盤『Moon Child』から「APPLE JUICE」だ。

photo 三浦憲治

ストレートなリズムとユーモラスな歌詞で会場を煽る。続いてはローリング・ストーンズの「JUMPIN' JACK FLASH」。どストライクの選曲に、会場はいきなり盛り上がる。「AMANO-JACK」に続いてはCreamのカバー「White Room」。オリジナルと洋楽ロックを交互に演奏する構成で、ギタリストCharの魅力が爆発する。リアルタイムで70年代ロックを楽しんできたオーディエンスたちはもちろん、Char自身が楽しんでいるのがハッピーだ。会場全体が笑顔になる。ラストはジミ・ヘンドリックスの「PURPLE HAZE 」からメドレーでPINK CLOUDの「からまわり」に突入して、大歓声の中、締めくくったのだった。

photo 三浦憲治
photo 三浦憲治
photo 三浦憲治
photo 三浦憲治

BOWWOW G2・・・

photo 三浦麻旅子

BOWWOWは“NEW WAVE CONCERT”直前にリリースされた2ndアルバム『SIGNAL FIRE』(77年7月25日)から、「天国行き超特急」など3曲をたて続けに演奏する。武道館とほぼ同じセットリストだ。
『再現1977』のオファーを受けた山本恭司は当時のライブの再現にこだわった。恭司にとって“NEW WAVE CONCERT”は相当思い入れの強い出来事だったのだろう。

photo 三浦麻旅子
photo 三浦麻旅子
photo 三浦麻旅子

現在のバンド名BOWWOW G2の由来となった相棒の斉藤光浩との気迫のギター・アンサンブルが見事だ。4曲目は今年5月に亡くなったドラマー新美俊宏氏の作詞作曲による「Clown」で、バンドもファンもそれぞれにかつての日々に思いをはせる。

photo 三浦麻旅子
photo 三浦麻旅子

ラストの「Theme of BOWWOW」では山本、斉藤、新美とともにオリジナル・メンバーだった佐野賢二がサプライズゲストとして登場してアジテーションする。応えて恭司はトレードマークの歌舞伎の連獅子のカツラを被ってパフォーマンスする。非常に意義深いセッションとなった。 

photo 三浦麻旅子
photo 三浦麻旅子
photo 三浦麻旅子

紫 MURASAKI・・・

photo 三浦麻旅子 

トリを務めたのは沖縄のレジェンド、紫だった。
この夏、フジロック・デビューを果たし、会心のニューアルバム『TIMELESS』を発表した紫だが、この日は完全に70年代モードだ。1stアルバム『MURASAKI』と2ndアルバム『IMPACT』からのナンバーで固め、BOWWOWと同じく武道館のセットリストを彷彿とさせる内容。フジロックでも歓声を浴びた「Doomsday」からスタートする。

photo 三浦麻旅子 
photo 三浦麻旅子 
photo 三浦麻旅子 
photo 三浦麻旅子 

ジョージ紫(kyd)、”Chibi”(dr)、清正(g)、”JJ”(vo)、Chris(b)という最強の布陣が奏でる正統派ハードロック・サウンドは、時代を超えて健在だ。中で「Mother Nature's Plight」ではChrisがアップデートされたプレイを披露して“紫の今”を強烈に印象づける。残念ながら下地”GG”行男(g)は病気で不参加となったが(代わりに照喜名 薫がサポート参加)、本編最後の「Starship Rock'n Rollers」では”JJ”のボーカルが冴え、”Chibi”のグルーヴが力強くうねり、また清正とジョージの説得力のあるソロで、ベテランの貫禄を十分に示したのだった。  

photo 三浦麻旅子 
photo 三浦麻旅子 
photo 三浦麻旅子 

アンコール・・・

photo 三浦憲治

アンコールは「Double Dealing Woman(Special version feat. Char/Kyoji)」から。紫の代表曲のセルフカバーにCharと恭司がレコーディングに加わり、そのテイクは『TIMELESS』に収録された。

photo 三浦憲治

そんな話題曲をこの日の出演者がステージに勢ぞろいしてのライブ初披露となったので、会場はもちろん大盛り上がり。ジョージ、清正、Char、恭司がそれぞれのソロパートでこの夜の想いをスリリングに表現。1977年以来、ミュージシャンたちの胸に冷凍保存されてきたロックスピリットが解凍され、野音を一気に包み込む。その後、「Black Night」、「Born to be Wild」を会場が一体となって楽しみ、素晴らしい再現ライブとなった。

photo 三浦憲治
photo 三浦憲治
photo 三浦憲治
photo 三浦憲治


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