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おいしい、が思い出になる頃。私たち二人はもう少しだけ幸せになる。



午前3時ごろコタツで目覚める。向かい側で一緒に寝ていた連れあいと入れ替わる形。どれくらい寝ていたかは不明。連れ合いの言葉によれば午前0時くらいからでは、というから三時間ほどか。夜食のラーメンを食べながら居眠りしていたそうだ。これはわたしのいつものこと、らしい。よだれを垂らして、まるで赤ん坊みたいなのよ、と、その様子を連れ合いは笑って言ってくれる。確かによだれを啜り上げて目覚めた記憶がかすかにある。

布団に入って寝ることもできたが、そのまま起きていることにして日の出の頃までここでの記事のチェックや書き起こし、それにFacebookの閲覧などをしてすごす。眠くなったらまた寝るし、そもそもコタツで寝ていた時間は午前3時より前にもあったはずで、気にしないことにした。7時ごろいつもの快便。甘いお菓子、どら焼きなどを不味いいつものインスタントコーヒーで。連れ合いが起きてきたので即席の袋ラーメンを作る。食べる? と訊けば食べないというので一つだけ。

9時すぎ。電話してみると繋がったので、駅前で寿司を食べることに。正月らしいことをまだ何もしていなかったので、これはいい機会、と二人で盛り上がる。11時ごろバス停から乗る。空は薄曇りで、かなり冷える。確認していないがたぶん摂氏五度ほど。空気が乾燥しているためか息は白くならないが冷気が肌を刺す。乗ったバスの車内も冷え冷えとしている。いつもは暑いくらいなのだが。脱ごうとした防寒着のジッパーを思わず締める。

30分ほどで熱海駅前に到着。かなりの人。店は駅ビルの古い方に入っている。気もそぞろに急ぐ。入店。少し相談しつつ注文。ノンアルコールビールをこれは迷わず頼む。

そして到着。記念に写真を撮る。

文字通り、最高。口の中が、しあわせで、たまらない。大将の見事な手捌き。おかみさんの程よい愛想も心地よい。テンションの高さも相まってとにかく全てに特別感を味わう。店内はなかなかの混み具合。親子連れが日本酒の八海山をオーダーして、娘さんとやっている様が羨ましいようで、でも大変なんだろうなあ、という気が訳もなくする。店を辞して駅前を散策。新しい駅ビルにある吹抜けで広い喫茶店というかパン屋さんで、一服しようと入りさらにペストリーパンや惣菜パンをホットコーヒーでおいしくいただく。

そうやって気の向くままに、食べることを楽しみつつ、バスで午後3時ごろ帰宅。留守番をしていた猫が、めざとく魚の匂いを嗅ぎつけ足元にまとわりついてくる。それに、ごめんなあ、と形ばかりの謝りのことばをかけて。

気がつけば午後8時、五時間は過ぎている、、コタツに入れば眠ってしまうのが基本の、わたしで、いまもぬくぬくと下半身だけ温め、指先にキーボードの冷たさを感じつつ、こうして日記をカタカタと書いている。そうして何をしていたのか、思い出そうとしているのだが。

ちっとも覚えていない。寿司が旨かったことだけが、くっきりとした輪郭を持っている。。でもそれでいいのだと、明日がそのまたあしたになった頃に、あれ、美味しかったよねえと連れ合いと思い出せれば。


今すでに忘れてしまっている、もろもろのことたちも、それで浮かばれるというものなんだろう、妙な言い方だが、と思う。

(店舗情報:すし処 和楽 写真は正月限定の「来宮」)

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