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人それぞれ同種と差異「お口の中90年」人生経過を比較解説するサービス


■歯科で未だに行われて無いサービス


久々の投稿となります。


現在 2021年1月初旬、コロナ下においてまだまだ落ち着かない状況でありますが、今回は歯科業においても特別な話題を提供いたします。


表題見て、えっそんなサービスあるの ?

と思った方、実は、全国各地探してもそんなサービスは存在しません


ただ私は、個人的に各臨床ケースを行う際、必要に迫られ独自で30年続けて来たところ、個別ケースを製作する際にいつも行っているサービスです。

ところが、本来提供をするはずの

歯科的学問機関・研究機関・個人医院 等では、実はこれら全く進んでなく、学会などでも統一規格などされず、各専門家が対症例に関し個別で判断・対処しているのが実際のところで、今も私自身それら専門職が共通した比較やデータどうして集めないのか ? 驚いているところです。

正直、歯科専門家の中でも多くの方は「そんな研究もう終えているだろう」「現場では患者の必要な治療進めるだけ」とおっしゃる方が意外に多い。(もうさすがに私個人情報力でも国内これら機関で精確なデータとして提供できるほどの蓄積は無いだろうと判断出来ます)

アレ 自分のしていることおかしなことかなと思い続けること30年。今も続けているサービスです。(今は主に主治医との打ち合わせ時や、必要であれば患者さんの特殊性を解説する際のツールとして使用してます)


私は歯科業職人として長年、「口腔内人工物」創り続けていると同時に、「これら各個人お口の中の変遷を」全国各地、様々な地域における状態を比較し続け、6歳幼児期~90歳前後の方や公的施設・個人歯科医院などの各様々な症例 において「統一した基準を定め」拝見してきました。


以前noteにて、書いた簡単な解説記事こちら


そして最近になり、「線維筋痛症せんいきんつうしょう」という難病を咬合及び顎位(アゴの位置の事) によって治療している現役脳神経外科医との出会いがあり、この医療専門家とも対話し合う事で私の中でもこれら以前から行って来た「お口の中に観られる各個人の歯牙・歯列・顎位の特徴を生涯比較する」という作業が、実はとても貴重な研究である事に改めて気づいた訳です。 脳神経外科医との出会いnote記事はこちら


■歯・歯並び・咬み合わせ の特徴およそ3098万通り


では実際にどんな調査方法かと言いますと、

具体的、私が30年ほど行って来た事は、「人の歯の数上下28本ほど(親知らず入れて32本)」これは誰でも常識だと思います。

私が積み重ねて来た判別法は、この28本それぞれ各62項目程度「28×62=1550通り」

加えてそれら「各歯牙が並んだ歯列形状判別」と、ヒトの左と左の歯列はそれぞれ異なり「左右非対称(アシンメトリー)」です、その大まかな分類で「3×7×4×7×4=2352通り」→「1550通り×2352通り=3645600通り」

更に、この左右アシンメトリーの歯列は「上顎と下顎」があり、又、人の顔の長さも個人差ある様に「上顎と下顎の高さの個人差」があり、更にはこれら高さの個人差が咬み合う所謂「かみ合わせという状態も左右非対称(アシンメトリー)」で且つ、「前歯と臼歯(前後的な違い)の差異」もあります。

これらの形状を最低限整理しても「5×5×3×3×3×3×3×2×7=85050通り」

つまり「3645600×85050=およそ3098万通り」



こうして改めて確認するともう、何がなんだか分からない数字です(笑い)



でも、私は毎回、臨床ケースを製作する際には毎度「これら個性の差異」を確認しています(時には計測して数字で違いを統計)。

30年近く比較してきたら、そりゃぁ慣れるものです。



■最新CAD/CAM技術の限界点


こちらが参考までに石膏模型画像です。ちなみに上の右側「犬歯・小臼歯」患者さんは普段観ることの出来ない舌側からの視点で観た「歯の形態」です。

上顎右側小臼歯形態No2(1)

上顎右側小臼歯形態No3(1)

業界の方でしたら毎日見るモノですが、一般の方ほぼ観たこと無いと思います。この石膏模型の情報には「歯の形の特徴」「歯並び3次元的位置特徴」など様々な情報が現われていまして、ほぼ50年以上前からある「お口の中の特徴を再現するツール」でもあります。

最近は、お口の中の人工物製作する際、CAD/CAM と言って三次元的形態情報をデータとして取り込み、意図する形態を設計したり、「削りだし・盛り上げ」することでゼロからカタチを創り出す仕組みも発展してます。

もうCAD/CAM技術も発展してきている事ですし、矯正歯科でもレントゲン・CT・MRI 等駆使し「キレイな歯並び」整える技術も進み、「お口の中の形態・かみ合わせ解析はもう既に終えている」と、思う方いても仕方ありません。(多くの歯科専門家でも、実はそう思っている方多い)

ところが、最新CAD/CAMソフト開発しているエンジニアの方とお話しても現状分かりますが、「実物を印象(型をとる)し再現した石膏模型を上下を合わせ、28本ある各歯牙の咬み合う状態・ズレる状態・髪の毛一本でも入ると接触する感触が変わってしまう微妙な状態 は精確に再現出来ない」と言います。


当然です。


まだソフト開発(データ入力)出来るほど、上記およそ3098万通りの種類、「お口の中で接触・空隙の一日24時間変化」「生涯に渡る歯科治療」「抜歯」「歯牙の摩耗」「歯牙・歯列の移動」「かみ合わせ変化」「顎骨自体に弾性・しなりがあり剛体と異なる」など、容易ではない特徴があり、誰も、どこも一定基準を定め研究したところなど無いからです。


一流の臨床歯科医ほど、各自独自な手法を用い、膨大な治療経験のもと手際よく熟し対処している方が大方です。一般医科疾患(病気)とは異なり、例えばインフルエンザの様な「お薬によるウイルス対処」するでも無く、腫瘍やガンなど慢性疾患に対し「外科的切除」で対処するとも多少異なり、多くの方がほぼ「一生涯付き合い続ける」歯科疾患(齲蝕・歯周病・抜歯・抜歯後補綴処置)など、患者さん各々「年齢の移り変わりと共に」オリジナルな「長期的・継続的なお口の中の疾患」対応するのが歯科的特徴です。

これでは医科の様な「疾患に対するエビデンス蓄積」の様な大規模研究など行われず、各々発生した「歯科的疾患」に随時判断して治療進める、臨床スタイルになるのは当然のことです。

逆に上記、脳神経外科医との対話で私も気付きましたが、これほど「長期の疾患変遷」を追う事、実は矯正歯科のようなキレイな歯並び(決して綺麗だから問題無い訳でも無し) ではない大概の方が「左右・上下・前後アシメトリーな形態どうしの咬み合い・おまけに高さ大きさも個人差アリ」状態の影響がどんなんであるか ? 知る事。比較の為データとして残して置くべき事。これらが歯科業・医療の新たな分野として貴重だなと思う様になりました。(一流の歯科医ほどほぼこれらを忙しさの中無意識で行っています。進歩の為には実にもったいない事実)




■歯牙・歯列・咬み合わせの特徴はアシンメトリー


あらためて上記画像を観てみます

上顎右側小臼歯形態No2(1)

上顎右側小臼歯形態No3(1)

素材や技術は日夜進歩しているはいるのですが。しかし、人が長年受け継いで来た「歯の形態・歯並び・咬み方・顎の位置・歯の摩耗・歯の欠損後」など、「根本物理の具体的データ」無いのが現在です。

2枚画像の犬歯をご覧ください。「高さ」「幅」「形態の特性」「すり減り状態」それぞれ違います。

第一小臼歯・第二小臼歯をご覧ください。尖った部分(舌測咬頭と言います) トンガリ型「傾斜」が違います。「高さ」「すり減り方」など個別特徴が違います。これら多少異なるだけでアゴの動態軌跡や「合わせ方」も当然違い出ます。

大臼歯をご覧ください。歯牙が歯肉から出ている部分「歯冠部形態」小臼歯との並び具合「歯列曲線」咬み合う「傾斜面角」個別特徴的です

「歯の形態」「歯の並び」又、この画像では分かりませんが、人体正中からの位置はそれぞれアシンメトリー前後的位置も左右非対称です。健康予防としてよく耳に入る「身体のバランス整えましょう」という情報。実は「お口の中の咬むバランスの取り方」はとても高度な仕組みである事殆ど知られてません。私の場合、長年の比較からこれらの本来の貴重性を理解しました。




私の解析手法詳細は見せられませんが、ほんの少しだけ具体例をお見せします。


こちらご覧ください。

歯列彎曲の疑問提言画像No2

下顎模型三つのケースを並べたモノです。

水色のラインはそれぞれ「歯が並んだ曲線」をおおまかになぞったラインです。

すべて異なるでしょ。みなさんだいたいこんな感じです。右の歯列・左の歯列でも異なりますし、小臼歯と大臼歯のラインも微妙に曲線が異なります。

上顎も当然こんな感じです。

この上顎と下顎の「複雑な曲線どうし」の「かみ合わせ」も、当然みなさんだれもがオリジナル。普段の日常時「身体を動かしている際」「デスクワーク」「歩行時」「睡眠時」「食事」などの時には、歯を接触させたり・微妙に空かせ(非接触)たり・下顎を微妙に前後・左右スライドさせたり している訳です。




■未解明「ガイドとディスクルージョン(接触と非接触)」の凄さ


と、ここまでダラダラ概要紹介だけとなりましたが、この記事最後に、業界の方でさえ(業界トップクラスの識者でさえ) 日常用語として使っているものの、実は本質が捉えられてはいない取って置きの「お口の中の物理用語」ご紹介します。(素人さんの方もこの難解で未だ詳細には解き明かされてない物理を多少でもイメージしてみて下さい)


「お口の中のガイドとディスクルージョン」

歯科専門用語で、お口のなかでのバランスの取り方のことです。所謂「歯の接触している側(ガイド:接触誘導側)」に対する「少し空隙のある側(ディスクルージョン:非接触空隙側」のことを指します。

画像7

工業界では、一般的に「歯車」を回転させる為には、中心軸がしっかり固定され「キレイな均等な形態の刃」が「接触」することでスムーズに回転します。言ってみれば「中心軸がブレること無く」「ガイド(接触)の刃」「ディスクルージョン(非接触)の刃」「均等に触れ合う」事でこれらメカニカルスムーズに動かす事可能です。

しかし実際、関節・筋肉・腱 等 剛体とは異なる機構で動かしている私達のお口の中では ? 実際の「歯の形態」はこうです

下顎左側大臼歯形態13WEB2

この様に複雑「均等でもなく(実はマクロで観るとアシンメトリー)

歯が並んだ状態「歯列の形態」ではこうです。

斜面高低差モデルNo3

「左右位置で非対称」「前後位置で非対称」「上下高さで非対称」複雑且つ精細です。

メカニカルな回転ギアと比較し、私達は「軸」「動作機構」「合わせる歯」など以下のような仕組みで動作を行っています。

可動域の大きい左右顎関節を軸

筋肉・腱という弾性体サポート

個別アシンメトリー形態な歯牙・歯列形態不均衡に接触・非接触

上下・左右・前後方向に動かす

これらを私達は、普段「スムーズに回転・動かし」「食べ物咀嚼・飲み込み」「お口の中で咬んだり・開けたり」の動作をほぼ無意識に行っています

このお口の中での接触と空隙「ガイドとディスクルージョン」。実はこれらは専門家でもイメージ難しい口腔内特徴です。
そこで以下の動画は、主に専門家向けに私が製作した動画ですが、素人さんでもイメージするには役立つかと思います。どれだけ複雑に「お口の中で歯が接触・非接触」しているか参考にされて下さい。




■新たな口腔内治療の可能性について


以上、一部のみ紹介でしたが、現在、歯科治療時においてはこれらに関しては未だ解明されて無く、進歩もしていないと言うのが実際のところです。

どうして「お口の中の物理を詳細に知る必要あったのか ? 」(自身で30年前、何かピンと来る必用だなとの勘から始めたのがきっかけでしたが) 、私にその具体的必要性を改めて教えて下さったのが以下の事例です。

上記、脳神経外科医が歯科学会にて発表した内容こちら(ブログ記事から)

http://blog.livedoor.jp/doctor_arai/


概略だけ。

原因不明で治療法もまだ確立してない難病「線維筋痛症」を発症。投薬でも症状改善しない状態から、「口腔内領域による顎位・咬合治療」により短期間で「線維筋痛症」に伴う全身の疼痛症状が寛解。治療を終えました。その具体的治療法というのは、主に「異常と思われる顎位(アゴの位置)を修正」しただけです。

私も自身全国多くの名立たる歯科医治療方法を「拝見」しておりますが、この新居医師場合、これまでどの歯科医師も行って無かった方法「近代医学の根拠に元ずく診断・確認法」で顎位補正及び調整 を行います。正直、私自身大変驚きました(学会で発表された症例は私自身拝見させて頂いたケースでありますが治療の詳細は省かせて頂きます)

因みに、現在多くの臨床家で行われている「顎が右・左に片寄っている」「咬み合わせが低い」等 だけではありません。もう少し分類種は多いと考えて下さい。

例えば、私が30年ほど顎位の偏位(アゴの片寄る方向)を調査しますと、歯科関連書籍・学会等では得られ無い「カテゴリー」が観察されます。これらは実際に時間を掛け努力し、比較・研究した者でしか得られない事実であり、歯科業界においてそもそもその様な「顎偏位の種類」すら知らない臨床医が殆どだったにも関わらず、新居医師の場合、(神経スペシャリストであるのは当然、本人はもともと何にでも追及し実践する質であったとご謙遜しておりましたが) 、この事実を、ご自身の体験をもとに具体的療法を開発し、既に「治療に応用」診断・確認・顎位補正・調整 等行っていた事に、私は驚いたものです。

又、それらを対治療に活用「疾患発症の作用機序」まで求め、診断に基づく対処法によって原因不明の疾患を「自律神経のメカニズムを応用した手法(詳細は語れませんが顎の位置異常補正による自律神経の異常を調整する手法)」による治療を実際活用し行っている事。これらは今後歯科診断において「顎位及び咬合異常の正確解析の必要性がある事」を証明してくれました。

まだ現在のところ新居医師本人しか行われて無い特殊な治療法です。もし興味を持った方は上記サイトにて直接連絡先問い合わせしてみて下さい。

逆に言えば、現在の臨床現場ではこの様な可能性あまり考慮しない状態で多くの治療が行われている事は事実です。(余談ですが、上記学会に数回新居医師は発表されおり、国内における最先端治療者の集まりにも関わらず、医学的な神経学neurologyと結びつけられて無い、本当に理解されている方は少ないでしょうとの事)

私自身これらを目の当たりにし、「口腔内の物理とも言うべき人工物製作する仕事」とは、実は「工業製品と同様に創造・熟練・新たな製品作る」仕事とは異なり、医業のひとつ、疾患への対症状治療(対処療法)らに加え、病を減少させる(予防的医療向上)ことも本来、大事な役目だと気付きました。(医と同様、この様な原因不明疾患を治療もし得うる可能性を持った仕事)   

おそらく、こんな事を継続して続けて来たのは私意外にいない様ですし、技術として活用できる方もそうはいない様ですし、もうチョット進めていこうかと思います。ではまた。




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