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日系海外進出ホテル その9 藤田観光

海外に進出する日系ホテルチェーンの進出状況を紹介していきます。掲載内容は基本的に各チェーンホテルのホームページやリリース情報をもとに解説していきますが、一部の情報は筆者の主観も含まれます。原則、海外展開ホテルの状況に特化していきますが、ホテルの成り立ちなどチェーンの概略情報も適宜加えております。

本日は、藤田観光についてご紹介します。

藤田観光の歴史

藤田観光の歴史は長く1946年創業の老舗企業です。社名のとおり、観光事業を中心とした展開を進めており、宿泊事業については、旗艦である椿山荘を筆頭に、ビジネスホテルや観光旅館など幅広い展開を進めています。統一ブランドでビジネスホテルチェーン展開をしたのは藤田観光が初なのだとか。観光分野への多角的事業を継続する同社ですが、運営受託によるブランド展開が主流のホテル業界においては、今や限られた昭和型のビジネスモデル、といったら怒られるでしょうか、そんな印象を筆者は持っています。

主要ブランドはワシントン

上述の通り、ビジネスホテルカテゴリーでのチェーン展開をいち早く始めた企業でワシントンホテルは現在も国内に30を超える店舗を展開しています。なお、藤田観光としての海外展開はワシントンではなく、後述の「グレースリー」ブランドでの展開です。

グレースリーホテル

現在、同社の海外展開はソウルおよび台北の2ケ所、2店舗。ブランドは「ブレースリー」です。ワシントンブランドとの差別化ポイントして、「サードプレイス」というどこぞのコーヒーチェーンのようなコンセプトで進めているようですが、要は男性中心のビジネスホテルよりも、よりレジャーなど多目的な利用、女性を意識したブランドなのでしょう。そうゆう意味では、海外店舗においては、ワシントンよりはグレースリーの方が同社の方針にマッチしていたのでしょう。ただ、正直、施設やサービス面の特徴はあまり見受けられず、ともすると中途半端なポジショニングに陥ってしまう危険性はあるのかもしれません。ソウルも台北も日系ホテルの進出激戦区ですから、よりそのコンセプトワークは重要になってきますね。

狙いはインバウンド

同社の海外展開ですが、ホームページなどを見るに、主たる狙いは海外での収益源を拡大していく、というよりは、むしろ国内誘致のための一環という向きが強いように思えます。もちろん、個々の店舗の収益化が大前提ではあるでしょうが、国内需要の先細りを背景に、海外での収益拡大へ積極的に投資を進める企業、そこまで積極的とはいわないまでも国内へのインバウンド引き込みの手段とする企業、そういった2グループに今後は二極化していくような気がします。

今日はこのあたりで。



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