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ホテルの開業準備 その22 現場でのトレーニング

前回の記事で引渡し検査についてお話しました。この引き渡し検査が完了するとホテル現場の管理責任が施工会社(オーナー)からホテル管理会社へ移るとともに、いよいよ開業前の現場でのトレーニングが開始されることとなります。ホテルの開業準備室の仕事もここからがいよいよ本番、各現場は一気に忙しさを増してきます。

現場に入ってから慌てないように準備オフィスにいる間にできるだけ入念な準備が求められるわけですが、そうは言っても実際に現場に入り、具体的なサービス導線や物品の使い勝手を確認してようやく認識する課題も多く、実際にはそう理屈通りにはいきません。ましてや引渡しは受けたものの一部不完全な部分の調整も行いながら、というのが通常ですから、時に妥協点を見出しながらの対応となるわけです。いくつか実例を見ていきましょう。

1.SOPの手直し
これまで積み重ねたきたSOPなども実際の動きを確認しつつ修正が必要です。実際の機材の配置などをみて、フロントカウンターの作業工程、レストランのテーブルのセットアップ、ブッフェ台のプレゼンなど矢継ぎ早に確認、時に修正を行い、オペレーションの標準化を図るべくSOPの修正も行っていきます。標準的な作業工程などを写真にとり、作業の再現性を高めていくプロセスもこのタイミングで行われます。

2.ロールプレイ
実際の現場を用いたロールプレイもここから本格化します。準備室のタイミングで行われていたロールプレイがおままごとに感じるくらい、実際の現場で実際のシステムを利用しながら行うロールプレイは実践そのものですから、いかにこうした実践の場面を多く作れるかがオープン後をスムーズに乗り切るポイントとなります。まだ館内にゲストがいないため自由にロールプレイができる環境は非常に貴重です。この時期を無駄にしないようにしたいものです。

3.試泊
俗にドライランと呼ばれる時期の締めくくりは、ホテル内外の関係者にホテルの一部施設を実際に利用していただき、施設の不具合のチェックと、対外告知を進めていくプロセスです。ここまでくると実際に開業後に利用していただける可能性のあるポテンシャルゲストも含まれているので、スタッフとしては本番さながらの対応が求められます。あくまでテストだから、というわけにはいきません。とはいえ、やはり様々な不具合に遭遇することでしょう。仮想ゲストの意見を速やかにオペレーションに反映させることができるか?このあたりがスムーズなオープニングを迎えられるかのポイントとなってくるわけです。

さてさて、こうしているうちにオープンの日がそこまで近づいてきました。開業準備も佳境を迎えてきます。

今日はこのあたりで。

ホテルマネジメントの達人


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