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ホテルの開業準備 その27 試泊

ホテルのオープンの2ケ月ほど前からいよいよホテルのスタッフが揃い、ホテル館内での実地トレーニングが始まります。施設の完成状況にもよりますが、開業まで残り1ケ月を切ったあたりからスタッフによる試泊、そして実際のゲストを招いての試泊を何度か繰り返し本番に備えていくこととなります。今日はこのあたりについて。

開業まで残り一か月、スタッフへの座学が概ね終了し、実際にシステムを使いながらの接客トレーニングが始まる時期です。まだまだプロセスを手繰るのが精一杯で目の前のお客様への対応に目が届かない状態のスタッフも多いでしょう。館内も施設上の不具合の調整やら備品の搬入などで業者の出入りも多いタイミングですが、このあたりで、スタッフの商品知識の向上と現場スタッフのトレーニングを兼ねた試泊会を数回行いたいところです。

当日試泊に選ばれたスタッフは、実際のお客様のように外部から車や徒歩で入ってきてもらい、ベルで出迎え、レセプションでチェックインをして、部屋への案内とともに入ってもらいます。客室内でのチェックリストには、施設上の不具合のチェックのほか、匂いや水圧など実際に使ってみないとわからない点も色々書きこんでもらいその後担当部署が個別につぶしていきます。これまで散々チェックしていたはずも、実際に湯船につかりその目線で見ると初めて分かる汚れなどもありますので、極力、全部屋の試泊が数回できるように調整してみてください。

このプロセスが完了するといよいよ外部のお客様を迎えて行う試泊となり、これが準備の最終段階となります。対象は、ホテルオーナーの関係者、旅行代理店、メディア、主要な企業の予約担当の方などです。本番さながらに玄関廻りの装飾なども取りそろえ、チェックインの時間もランダムにしていただきます。翌朝は、オペレーションチェックも兼ねて実際の朝食を提供し、ご意見をいただくまたとないチャンスです。館内スタッフと同様のチェックリストの記載を依頼するのは難しいケースが多いので、むしろフリースペースに滞在中気づいたところを自由に書いていただく方式の方が、よりお客様目線のご意見をいただける良い機会になるでしょう。

朝食の提供をする関係上、準備室の予算にはこれらの経費をあらかじめ見込んでおく必要があります。試泊の回数の考え方はホテルによって色々ですが、朝食オペレーションのトレーニングを兼ねるとすると、最低でも2回、理想的には3~4回できると自信をもって開業を迎えられることとなるでしょう。

今日はこのあたりで

ホテルマネジメントの達人

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