見出し画像

ホテルの開業準備 その26 スタッフのショーアップ

本日は、スタッフレベルの採用後のショーアップのプロセスについて説明します。

一般的に、ラインスタッフのショーアップのタイミングはホテル開業の2~3ケ月前が標準です。ショーアップから開業までの2ケ月程度で、ホテル文化の浸透、基本的な館内ルールの説明、各部門ごとの専門教育を体系的に積み上げていく必要があります。少し細かく見ていきます。

(1)ホテル文化の浸透

新しいホテルですから基本的な情報はまだまだ限定的で、もちろん初めて入社するスタッフ達はほとんど自分たちのホテルの事を何も知らない状態で入ってきます。また、ホテル勤務経験がある人間でも、ホテルチェーンによって、或いはオーナーや総支配人のポリシーによって運営形態は様々ですから、大量採用で纏まって入ってくる人間への初期教育はとても重要です。ホテルチェーンの歴史やミッション、運営にあたり大切にしていきたいこと、ホテルの施設概要や営業時間、組織構成など基本的な教育を多少時間をかけてでも行っていくことが、開業に向けて統一感のあるサービスを提供していくためのまたとないチャンスとなります。トレーニング責任者が中心で進めますが、マネジメントチームも積極的に関与し、ホテル文化を醸成していってください。

(2)館内ルールの説明

新しいホテルですから、館内ルールについてもきちんと説明をしていく必要があります。従業員用の駐輪場の場所、従業員出入口やユニフォームの受け渡し場所、ロッカーの使用方法や禁止事項、喫煙場所、従業員食堂の利用時間その他諸々、これまで準備期間を通じ人事部が作成してきた社内規定のインプット情報をアウトプットし始めるタイミングです。日本のホテルでは、就業規則といったお堅い規程で情報を整理しているケースが多いようですが、海外のホテルの多くは、従業員ハンドブックといった形で就業規則のみならず上述のホテル文化、サービス方針なども含めた総合的なブックレットを作成しスタッフへ手交することが多いようです。

(3)各部門毎の専門教育

上述の一般教育と同時に各部門ごとの専門教育と実地訓練が行われます。部門ごとに覚える内容は異なりますが、共通している点としては、部門毎に作成した Policy & Procedureの教育です。理屈でいえばスタッフが覚えるべきすべての内容はこの P&P に要約されているはずですから、新しく来るスタッフは部門の P&Pを把握すれば基本的な知識としては十分というのが理想になります。実際にはこれら座学を通じて学んだ情報を、サービスという形で具現化していかないといけませんので、早めに座学ステージを終了し、実際の機器類の使用方法の理解、実際に正面にゲストがいる状況での再現などに多くの時間をさけるように配慮していってください。

これらの訓練の集大成として、開業前の試泊があり、そしていよいよ開業当日を迎えることとなります。

ホテルマネジメントの達人







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?