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ホテルの開業準備 その23 予約のスタート

ホテル開業のどのくらい前から予約を受け付けるか? よく聞かれる質問ですが、ホテルの特性や地域性などにそのタイミングは様々です。

日本の場合、建設スケジュールはきちんと守られ計画どおりに進むケースが多いこと、また、大型ホテルでは宴会の収入に占める割合が多く、比較的早い段階から周年行事の取り込みに向けた営業活動を開始する必要が高いことから、ホテル開業の一年くらい前には開業日を決定するケースが多いようです。

一方海外は? とても一括りにはできませんが、私が関わってきたアジアの案件を見ますと、日本のようにしっかりとスケジュールどおりに進まないことが多く、また、開業についても不完全な形でも先ずはスタートし、徐々に整えていく、といったある意味柔軟な対応をするケースが多く散見されますので、開業日の決定も直前まで決まらないケースも少なくありません。

一般的な推奨としては、やはり遅くとも3ケ月前には最低でも開業日を決定し、対外告知とともに予約受付を開始する、というのを一つの目安としています。もちろん早目の開業日決定が、認知度を増し、営業チームの活動を促進することはいうまでもありませんが、取り組んでいるホテルの建設の進捗具合、地域の特性などを鑑み決定していってください。

予約受付の開始にあたって必要なこととしては、概ね以下のような流れになります。

1.価格設定

価格設定の考え方については、以前紹介した記事で詳しく説明してありますのでそちらを参考にしてください。

2.各種契約

予約チャンネルは多岐にわたりますが、旅行代理店やOTA(Online Travel Agent)を通じた予約が必要なホテルは事前に各社との基本契約が必須ですので、前もって候補となる複数のチャネルへアプローチしてください。

3.システム連携

チェーンホテルに属している場合はチェーン共有のプラットフォームを利用しますが、チェーンに属さない個別ホテルでは、独自のウェブサイト等と連動した予約システムの立ち上げが必要になります。予約システム提供会社の中にはウェブサイトの制作も併せて請け負う会社も多いので検討してみてください。

4.対外告知

対外告知については、自社のウェブサイド、SNS、セールス、屋外広告、メディア、プレスリリース、紙媒体、著名ブロガーなど多くのチャネルを通じて行っていきますが、ホテルの組織体制や予算に応じ、対応できる能力も異なってきますので、まずは優先順位を固め、ひとつずつ確実にこなしていくようにしてください。

5.在庫管理

予約受付開始とともに、在庫管理も始まります。販売状況に応じ、予約の開け閉めを行い、価格の調整を進めながら、開業を迎えていきます。予約受付当初は知名度も低く在庫調整の必要性は低いと考えられるかもしれませんが、需要の強いエリア、注目の高いホテル、特定のイベントが決まっている期間などは当初から在庫管理に追われる嬉しい悲鳴も聞こえてくるかもしれませんので、このあたりの管理体制については予め想定をしておいてください。レベニューマネジメントもしくはイールドマネジメントと呼ばれる領域の話しに入りますので、このあたりはまた別の機会に触れていきたいと思います。

今日はこのあたりで。

ホテルマネジメントの達人


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