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ジェイン・オースティン『自負と偏見』について

 めちゃ面白かった。古典って読みにくいイメージがあるが、本作はその限りではない。サマセット・モームが本作について、「大した事件が起こらないのに、ページを捲る手を止められない」と評したそうだが、自分もそんな感じだった。

 なぜこんなに面白くて読みやすいのか、自分なりに考えてみた。第一に、会話のテンポが良く、読みやすい。本作は、登場人物の会話でどんどん進行していくのだが、テンポが良いうえに、程良く毒が含んであって、それもまた魅力だと思う。これに加え、会話文以外の人物描写も丁寧かつ適度に有毒で面白く、本作を読むことを楽しくしている。

 第二に、登場人物がとても魅力的なところだ。個人的に、コリンズ、ウィッカム、ミセス・ベネットなど、クセの強い人物やろくでもない人物が面白くて大好きである。コリンズなんか、最初はうっとおしくてしょうがないのだが、登場人物たちに小馬鹿にされてるところが面白くなり、逆に出てくるのが楽しみになってきたくらいだ。こういう人たちって自分の身の回りにもおるなあと、勝手に重ねて楽しむこともできた。

 テーマとしては、多分「恋愛と結婚」ということになるのかなと思う。自分たちにとって、かなり身近なテーマである。『カラマーゾフの兄弟』のように、神の存在や尊属殺人のような重いテーマでもなく、『白鯨』のような大海を股にかけた壮大な復讐劇でもない。当時のイギリスの、平凡な中産階級の人々の恋愛劇である。これをここまで魅力的に、面白く書けるなんて、神業だと思う。

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