盲ろう者ガイドヘルパー活動を振り返って
2007年2月26日研修会
県に登録された手話通訳者、要約筆記奉仕員、盲ろう通訳ガイドヘルパーの研修会がありました。
講演は 笹島診療所 藤井克彦氏による「ホームレスとわたしたち」でした。 講演の中で「人間は、他社と共に行きてこそ「人間」であり、物質的に豊かであっても。差別や抑圧があるところでは、豊かではない。共に喜び共に苦しみ、助けあって生きること。そういう社会をつくることが必要ではないか。」がとても印象的でした。
野宿者を排除する社会ではなく野宿をしなくてもよい社会が正常な社会である事を意識しました。 自分の活動に置き換えると「各種の障害がハンデではなく、個性であり、カバーし合える社会の現実」ではないかと感じました。
「ボランティア」と呼ばれる行動が「自然」なものになる事が、ある意味「夢」です。
2007年4月14日初めての派遣
初めて盲ろう者通訳、ガイドでした。
他の方の通訳・ガイド者について話しがありました。
以前、通訳者の人数について二人来ていても一人と紹介することに怒っているとの事でした。
通訳方法から多分、手話・ろう者との交流が多い方で二人=一組と私は解釈したのではと思いましたが結果的には不信感につながり残念でした。
手話通訳、要約筆記では通訳者の健康面から二~三人で通訳するのが一般的かと思います。
手話(指文字)通訳の反省として「一つ一つをはっきり表現しない悪い癖が出て」読み読みにくかった事でした。
最後に「手話」も知っていると聞き「最初にコミュニケーション方法の確認」をしなかった事も反省点でした。
ガイドについて「体の方向をサポートしてほしい」と依頼がありましたので危険が伴なわない限り手出しをせず歩道の左右へ行き時間を要しました。
強風にあおられて介護者の方向を急激に変えるというマナー違反もしました。
本来、介助者が車道側を歩き相手を保護すべきですが・・・
手話、点字、介護について系統的に学んだことはありませんが、基本的に障害内容、特性の把握、相手をいたわり、確認する事が大切かと思います。
今回の経験で一度に通訳と介護を行なう苦労を知った貴重な時間でした。
2007年7月22日派遣
愛知盲ろう者友の会15周年感謝祭の通訳・ガイドに行きました。
通訳方法は手書き文字です。 午前中は 社会福祉法人 光道園の職員の方の講演会があり興味を持つ内容でした。 午後から「将棋」での通訳であり相手が移動した駒を教えることが仕事でしたが、かなり集中力が要りました。また自分及び相手の駒の位置を全て記憶している事には驚きました。
今回で2回目の派遣ですが、依頼者との交流と通じて楽しい時間を過ごす事が出来ました。
2007年11月研修会
2回目の研修会に参加しました。
1回目は派遣制度に関する実務の説明、質疑応答でした。
今回の内容は事例研修会です。
具体的には
(1)体調不良で行けなくなった際の(盲ろう者への)連絡について
(2)一泊旅行での通訳ガイドについて・派遣要綱の最大8時間を越えるため
(3)通訳ガイド者のレベルについて認定試験がないためレベルがまちまちで通訳が出来なかった事例があったそうです。
課題について
色々な意見が出されましたが、根本的な解決策は見つかりませんでした。
何れも「盲とろう」の重複障害のために他の通訳・ガイドでの解決策がそのまま生かせない難しさがあると思われます。
即解決に結びつかなくても他の方の意見、考えを聞ける貴重な場でした。
次回の研修会は講演会です。
2008年度研修
平成20年度 盲ろう者通訳ガイドヘルパー研修会 内容で、参加は任意で参加費は1回500円です。
1. 6月21日(土)特別講演「裁判員制度~もしあなたが選ばれたら~」
2. 8月 2日(土)基調講演「対人支援のあり方(予定)」
3. 8月23日(土)基礎理解「①盲ろう者通訳ガイドヘルプサービス提供の基礎②事例検討会Ⅰ」
4. 9月14日(日)当事者理解「盲ろう者として望む、通訳ガイドヘルパーの姿」
5.10月19日(日)特別研修「聴覚障害を持つ盲ろう者通訳・ガイドヘルパーについて」
6.11月23日(日)現場理解「事例検討会Ⅱ」
7. 2月 7日(土)基調講演「静岡県の盲ろう者の情報保障について」
感想
1.研修会では同じガイドヘルパーが顔を合わせます。終了後の自由懇親会(喫茶店)がないのは残念ですが・・・
2.主催(派遣元)が名身連聴覚言語障害者文化センターのため圧倒的に手話を主体とした通訳者が多い気がしました。
盲ろうになる方は「見えない」からより「聞こえない」からくる方が多いと記憶しています。理由は「通常の音量で耳」を酷使した場合と「目を酷使した場合」では後者の方がダメージを受けやすいためと聞いた事があります。
その他
要約筆記通訳奉仕員(手書き・パソコン)の受講料が25.000円(テキス代、教材費は別途)には驚きました。私が受講した時代は実費程度だったように思います。
2009年6月移動介助研修
県に登録している盲ろう者通訳・ガイドヘルパー向けの研修会として「移動介助の基礎」の実技がありました。
アイマスクと耳栓、ウオークマンでスノーノイズを流しての実技でした。 盲ろう者を体験する側になりました。 思っていたより音が入り地下鉄のアナウンスもはっきり聞こえました。またアイマスクも安全を優先して不安があれば外す事が可能でした。 盲ろう者と言うより高齢者の体験でした。
その中で気づいた事は「私がエスカレータに上る」際に介助者が立ち止まったままになった事でした。 最初は何の事か分かりませんでしたが、講師から「盲ろう者役の人が階段に登る準備が出来たら進んで下さい」と言われた事に気がつき、私が歩行を始めると介護者も進み始めました。
これって・・・、初めての方の場合、上る準備や下る準備が出来たかどうか待ち続けるのもどうかと思いました。
合わせて最初に合図を決めたらとの話しもありましたが、派遣で移動する場合はお会いしてすぐ移動を開始する時間に設定してあります。
約束より5分~10分早く着いた場合でも到着地点に安全確実にいくため相手がよければ(と言うより心情的に)早く出発したいのでやはり現場で「上る」「下る」「信号待ち」等の状況を伝える場合が多いと思いました。
いづれにしても相手の盲ろう者によりって千差万別なので多くの経験を積んで技術より相手のタイプの見極めたいと思います。
講師の方の「技術」より「相手を思いやる気持ちが大切」の話しあり、その通りかと思いました。
2010年4月30日始めての一泊旅行派遣
2010年4月30日,5月1日北陸方面に1泊2日の盲ろう者ガイドヘルパーの派遣依頼が届きました。行き先は観光目的なので見どことろ、食べどころ満載です。
相手の方と打ち合わせをした際に良ければ2泊3日でどうかと話しがありました。私よりベテランの方が多い中、正直恐縮しました。
諸費は全て依頼者負担、その方は「歳なのでお金を持っていても仕方がないので楽しみに使う」そうですので楽しんで頂けるように頑張ります。
行先場所は石川、金沢です。金山駅で7時半に待ち合わせて名古屋駅の西口の噴水前から出発です。
パックでの旅行は初めての体験であり、集合場所では多くの主催団体と参加者でごった返している様子を初めて間の当たりにした。観光地を周り、夕食後に宿に着き入浴の介助を9時過ぎに終えました。
私の通訳方法は手書き文字のため、他の通訳(指点字、触手話)に比べて通訳速度が遅いのが難点かと思えました。相手の方の通訳が1つならやむ得ないが出来れば他の通訳方法も取得したいと感じました。
翌朝は8時出発に向け、バイキング形式の食事を終えバスに乗り込んだ。観光を終え予定の8時より30分以上前に名古屋に到着して、最寄のバス停にお連れして目的のバスに乗り込むのを確認し終了しました。
課題として朝食、観光地、名古屋駅等の人口密集地では通訳より人とぶつからないように介護を優先したが、立ち止まれ場所がなくなかなか通訳が出来なかった事です。
後日2日間の報告書を書き上げ派遣センターに持参して派遣業務は完了しました。一泊2日の観光旅行の通訳・介助は初体験でしたが今後の活動に向けて何かと学べる2日間でした。
2010年7月研修会
第2回目/6回中の盲ろう者向け通訳・介助研修会研修会がありました。
内容は実技「音声通訳・ローマ字式指文字勉強会」で実際に利用者している方が講師でした。参加者10名募集に対して7名の出席です。
「ローマ字式指文字」は初めての体験で、事前勉強をせずアタフタの学習会です。通訳方法はA(あ)・I(い)・・・の母音とK(か)・S(さ)の子音の組み合わせで行います。指文字と表現が一部と違い接触する場所、形が良く分かるず、途切れ途切れで忍耐強く受けて頂き感謝です、
「音声通訳」はチラシの文章、写真、イラストを通訳する勉強をしました。点訳の要領でテーマ、写真、本文(2点)、注意事項を通訳しました。写真の説明が難しかったですが、他の方の表現が参考になりました。
字幕付き映画の時の音楽表現と同じく通訳者により大きく伝え方が異なり文章における「写真」や映画の中の「音楽」の説明は大きなウエイトを占めるだけに今後の研鑽が必要と思います。
語尾の歯切れの悪さを指摘頂き今後の通訳での注意ポイントを知る良い機会になりました。
2010年09月18日研修会
3回目/6回中盲ろう通訳者研修会講習会に13時から16時まで参加しました。
定員15名で参加者は約10名の少ない参加者でした。グループ分けでは初心者向けに配置されました。とは言え自己紹介、簡単な表現が出来るレベルのグループでした。
自分は会話を正確に伝えるレベルではない事に気づきました。しかし全くの初心者より何とか会話できるのであれば通訳か難しくても今後何か出来る事があるのでは思いました。
次回は実技「手書き文字勉強会」があります。前回の「音声通訳勉強会」同様に現在の通訳方法なのでスキル向上のため研修会を有効活用したいと思います。
2010年10月3日研修会
4回目/6回中の研修会で「手書き文字勉強会」がありました。
講師のお二人は以前に通訳介助した方でした。
テーマが手書き通訳のためか参加者が定員の半分でした。
研修会では他の通訳者の良い所、自分の悪い点に気づけ改める良い機会です。
反省点として「0」「8」「ふ」の書き順が悪い事を知り改めれました。
手書き通訳で参考になるのは、相手が点字使用者なら点訳の知識、要約筆記に知識 要約筆記界の大御所のTAKAさんの「TAKAの備忘録」は要約筆記について語られ 「手書き通訳」でも大いに参考になると思います。
2010年11月研修会
研修会は今までの実技編と違い講義のため
比較的に構えずに参加しました。
内容は事例検討、盲ろう者疑似体験と盛り沢山でした。
自分が良かれと思って居た事に対しての問題点、共感を頂いたりと
参考になること、自分の欠点(足りない点)を知る良い機会でした。
自分の行なっている言動について時には返りみる事や常に研鑽をする必要性を感じた研修会でした。
2011年11月20日実技研修
昼から「盲ろう者通訳・介助員研修会」に行ってきました。 内容は実技「状況説明勉強会」です。
2時間の間に休憩を挟んで6つの場面の写真を見ての場面通訳です。 初めにグループで話し合い、次に指名された方が発表しました。
こうした研修会の良さは自分では良いと思っていたことが、まずかったり他の方の発表を見てより良い通訳方法を学べる事です。
最後のまとめは「自分なら何を知りたい」かを念頭に置くでした。
このことは盲ろう者向けだけではなく健常者同士でも言えることかも知れません。各場面で「感性」を磨く事が大切かと感じました。
次回の研修会は2月に講演「通訳介助員としての関わり方」です。こちらも楽しみです。
【総括】盲ろう者通訳・介助員の始まりから終了まで
盲ろう者通訳・介助員資格の更新の案内がありました。 盲ろう者を知り全国盲ろう者協会の会員になったのがかれこれ30年位前だったでしょうか?
当日健在だった岡泉(男性)が代表の北区自主手話で全国盲ろう者大会に参加したのがきっかけでした。
その後に名古屋市でも派遣事業が始まり講習を受けなくても全国盲ろう者協会の会員は簡単な書類に記入するだけでガイドヘルパーになれました、かれこれ10年前位でしょうか。
当日の通訳手段は手話、指文字でしたがある時に、私のスキルでは通訳出来ないと知りました。自主的にスキルアップする方法もありましたが、通訳方法を音声と手書きに変更しました。
その後に愛知県も派遣事業を多分2~3年前に開始され、愛知県の登録も行いました。
名古屋市の研修が数回から数十回位で派遣もそれ位です、中に一泊旅行の同行で美味しいものを食べさせて頂いたこともあります。その方は高齢で歩ける内に全国のあちこちに出かけて美味しいものをガイドヘルパーと一緒に出掛けたいと言われていました。
公的派遣の対象外なので私の旅費と派遣費用を支払われたと思います、盲ろう者の派遣で同行した場合は、ガイドヘルパーの経費は全て盲ろう者負担になります。
勿論、ガイドヘルパーがプライベートで買うものは自腹ですが盲ろう者ガイドヘルパーの派遣中に相手を1人にしてプライベートなことをするのも相手の了解があれば可能ですがトイレを除いては多分あり得ないと思います。
ガイドヘルパーが居ない盲ろう者の環境は真っ暗で音も全くしない世界です、そんな所に1人ぼっちにさせるヘルパーは居ないと思っています。
愛知県の研修は数回で派遣依頼は全くの0でした。 3年毎の更新が平成30年3月にやってきますが、平成29年の半ばに盲ろう者ガイドヘルパーの派遣は勤務体制と気力を考慮して、もうそろそろ潮どきかと感じました。
その時点で資格をお返ししても良かったのですがきりがいい3月の更新時点で辞退しようと、それまで執行猶予の期間を持ちましたが変わらずに愛知県からは一足早く更新案内が届いたので辞退届けを出しました。
資格を持ちながら実質活動を休止をすることも可能ですが、私はそれなりの気構えが必要と考えています、スキルが無くても熱意があればフォロー可能と思いますが、いい加減な気持ちや気が入っていないガイドヘルパーを行えば、時には相手の生命に対して重大な過失をしないとも限りません。
全国盲ろう者協会から無料で定期的に発行物を受け取っていましたが、けじめとして退会して一支援者としてやって行こうと思っています。
全国盲ろう者協会のホームページに「盲ろう者向け通訳・介助員養成講習会指導者のための手引書」が掲載されていましたのでご紹介をさせて頂きます。
益々の盲ろう者の文化向上を願っています。
「盲ろう者通訳」書籍情報
(社)全国盲ろう者協会から次の情報を入手しました。
タイトル: 『盲ろう者への通訳・介助(「光」と「音」を伝えるための方法と技術)』
出版 サブタイトル: 有限会社読書工房から販売
本文: 当協会では、このほど、郵便事業株式会社・年賀寄附金配分事業により『盲ろう者への通訳・介助(「光」と「音」を伝えるための方法と技術)』 を出版しました。
このテキストは、当協会が長年にわたり実施してきた通訳・介助者養成研修会で使用してきたテキストを、改めて全面的に書き直し、集大成したものです。
執筆者には、触手話、指点字、手書き文字、音声通訳等に通じている各盲ろう当事者の方々や、ベテランの通訳・介助者、協会職員が当たりました。
このテキストは一般書店でも手に入ります。詳しくは有限会社読書工房のページをご参照ください。
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